農林水産部 農業振興戦略監 中小家畜試験場の工程表
基本的事項
所管組織、所管責任者
所属名 中小家畜試験場 所属長名 津森 宏 電話番号 0859-66-4121
組織ミッション
1 本県独自の畜産物の開発。 2 周辺環境と調和した畜産経営の確立。 3 畜産経営を継続するための新技術導入等への支援。
1.政策内容と目標
(1)政策内容
市場に打って出る魅力あるオリジナル品種、高付加価値化技術の開発
(2)今年度の目標
1 食味官能評価を加えた肉質の良さなどを解析し、県産豚肉のアピールポイントの提示を行うと共に、県内養豚農家に対して精液および繁殖候補豚を供給する。
2 種畜性の高いバークシャー種を選抜・供給する。大山ルビーの肉質及び食味向上を図ることで大山ルビーのブランド価値向上を目指す。
3 (1)「鳥取地どりピヨ」の雄系種鶏群を維持しながら、さらに改良を加え、その産子となる「鳥取地どりピヨ」の雌の増体性能向上を図る。(2)旨み向上試験については、生体内アラキドン酸合成素材の飼料給与試験を行う。(3)県内の地どり生産農家に良質なピヨのヒナを供給する。
4 高病原性鳥インフルエンザ等の発生に備え、遺伝資源の保存技術を確立する。
(参考)該当する長期的目標
政策項目 | 元気づくり総合戦略 | 将来ビジョン | 環境イニシアティブプラン | アクションプラン(教育振興基本計画) | その他 |
○
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●将来ビジョンの取組の方向性(該当所属のみ)
番号 | 大項目 | 取組みの方向性 |
1 | T 【ひらく】地域で・県外で・国外で新時代に向かって扉をひらく | H本県の特徴である多様な農林水産物の生産に対応した生産基盤の整備を促進します。
また、高品質な県内農産物の生産・加工を通じた輸出拡大や、食品加工産業への県内農林水産品の供給拡大、新品種や機能性食品など付加価値の高い新商品開発を通じた、農林水産物供給・加工の一大生産・供給拠点を目指すフードバレーの取組を推進し、農家所得の向上を目指します。
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●所属で設定する長期目標(設定がある場合のみ)
1県内外における、「鳥取産オリジナル豚(大山ルビー)、鳥取県産豚」のブランド確立
2県内外における、「鳥取地どり」のブランド確立
2.測定指標
測定指標なし
3.目標を実現するための主要事業・主要制度
番号 | 主要事業・主要制度 | 事業概要・スケジュール |
1 | 鳥取県産豚の美味しさ解析試験 (予算額(事業費)17609千円) | 1 LWD種およびD種の肥育試験を行い、肉質分析、食味官能評価などを調査し、美味しさを解明する。
2 県内養豚農家が希望する品種の精液および繁殖候補豚を計画的に供給する。 |
2 | 鳥取県産ブランド豚品質向上試験 (予算額(事業費)10715千円) | 1 バークシャー種雄の直接検定試験を実施し、能力の高い雄の選抜を行う。
2 オリジナル豚(大山ルビー)の食味向上と飼養管理技術の統一を図るため肥育試験を実施。本年度は、大山ルビー生産農家において、ヒマワリ種子の給与試験を実施し、大山ルビーのアピールポイントを提示する。 |
3 | 「鳥取地どりピヨ」の改良試験 (予算額(事業費)8981千円) | 1「鳥取地どりピヨ」の体重性別格差改善試験
地どりの雌が好まれる市場があり、生産現場から「鳥取地どりピヨ」の雌の出荷重量増加の要望があることから、その雄系交雑種鶏群について維持を行いながら、出荷重量増加への改良を行う。
2旨み向上試験
他県産地どりとの差別化を図るため、アラキドン酸含有率を目標とした飼料給与試験を実施する。
3ヒナ生産試験
ピヨのヒナ供給は平成24年度で7,755羽のヒナ供給を行ったが、県下生産者の増産要望に対応し、H24年度中に鶏舎を増設し、年間14,000羽規模を目標に供給する。(H28年度は年間12,150羽を供給予定)。 |
4 | 「鳥取地どりピヨ」の遺伝資源保存技術の開発 (予算額(事業費)648千円) | 地どり精液の凍結保存技術の開発において各種耐凍剤を検討し、受精率、孵化率の向上を図る。 |
4.評価
■最終評価(年度末時点)
進捗評価 |
○(予定どおり) |
達成度の評価 |
8 |
評価理由 |
1鳥取県産豚の美味しさ解析試験:県産豚はオレイン酸等が高い値を示した。種畜は計画的な更新実施し、精液や繁殖候補豚も計画的に供給した。
2鳥取県産ブランド豚品質向上試験:ひまわり種子の農家実証試験では再現性が不十分。バークシャー種の系統維持については概ね達成。
3鳥取地鶏ピヨの改良試験:1)血統固定化試験:体重は昨年より向上したが、雌雄差が拡大した。2)旨み向上試験:アラキドン酸含有率は増加したが有意差なし。3)ヒナ供給は要望に対し100%達成
4「鳥取地どりピヨ」の遺伝資源保存技術の開発:耐凍剤試験で受精率67%と実用化が十分期待できる試験結果。深部注入で従来法より受精率、孵化率とも高かった。 |
H28年度の取組 | 成果 |
1鳥取県産豚の美味しさ解析試験
1)LWD種(県産豚と県外豚との比較)の肥育試験
系統豚「大山赤ぶた」由来の県産豚と県外豚を比較試験、食味官能評価など調査。
2)系統豚「大山赤ぶた」と他品種の肉質特性比較試験
系統豚「大山赤ぶた」とLWD種、ブランド豚(大山ルビー、バークシャー種)の肉質比較
3)精液および繁殖候補豚の供給
県内養豚農家の希望に応じた精液および繁殖候補豚を計画的に供給。 | 1)県産豚の肉質成績はオレイン酸含量が44%、ビタミンB1含量は1.55mgと高い値を示した。
2)「大山赤ぶた」の肉質は雄系統による大きな差は認められなかった。また、品種比較では水分、ドリップロス、肉色、筋肉内脂肪について差が認められた。特に「大山赤ぶた」の筋肉内脂肪は5.3%と高かった。
3)平成28年度、精液は1409本、繁殖候補豚は19頭供給した。 |
2鳥取県産ブランド豚品質向上試験
1)バークシャー種の系統造成は、最終選抜し系統維持を行う。
2)バークシャー種雄の体型調査を行い、能力の高い雄の育成選抜実施。
3)「大山ルビー」への県内産ひまわり油粕、及び種子の飼料添加試験。 | 1)バークシャー種雄の体型調査を11頭実施し、雄1系統を更新した。
2)ひまわり種子添加でドリップロス等の低減効果が認められたことをうけ、農家実証試験を行い、肉質調査を行ったが、再現は得られなかった。 |
3「鳥取地どりピヨ」の改良試験
1)交雑種鶏群の維持を目指して12世代の生産、飼養管理を行う。
2)旨み成分のアラキドン酸増加を目指して、ピヨ給与飼料への油脂添加試験を行う。
3)ヒナ生産試験ではヒナ配布を希望する地どり生産者協議会員に月1回年間12回供給。 | 1)交雑種鶏12世代の育成成績を分析中。世代鶏全体の98日齢体重は雄2900g、雌2211gであり、雌雄とも昨年度の成績を上回ったが、体重の雌雄差は増加した。
2)γリノレン酸の飼料添加により、モモ肉中のアラキドン酸含有率は増加したが、有意差は認められなかった。
3)平成28年度は9,112羽(要望の100%)を出荷した。 |
4「鳥取地どりピヨ」の遺伝資源保存技術の開発
精液凍結保存技術の開発において、凍結に使用する耐凍剤の比較試験とともに、授精に用い る器具の改良試験を実施する。 | 耐凍剤比較試験において、メチルアセトアミドを用いた区が受精率67%、孵化率60%であった。授精器具の改良試験は従来のものより、より深部に注入できるように改良した区が受精率66%、孵化率49%と高い値になった。 |
課題 | 今後の取組 |
1鳥取県産豚の美味しさ解析試験
鳥取県産豚の機能性成分が高い可能性が示唆され、さらなる研究が必要。 | 来年度からの試験において、機能性成分等に着目した研究を行う。また、今後も県内養豚農家の希望に応じた精液、および繁殖候補豚を計画的に供給する。 |
2鳥取県産ブランド豚品質向上試験
課題の一つとして、ブランド豚の背脂肪厚改善。 | 来年度からの試験において、背脂肪厚が低減するように、バークシャー種雄の影響調査および適した飼育方法を調査研究する。 |
3「鳥取地どりピヨ」の改良試験
1)交雑種鶏の98日齢体重の雌雄差が広がった。
2)油脂添加試験での肉質調査による効果測定。
3)種鶏の飼養管理時間の短縮 | 1)次世代鶏の雌98日齢体重の改良目標値を見直し、性別体重格差が改善されるか確認する。
2)油脂添加試験結果の分析等による旨み向上への取り組み方法等を検討する。
3)受精、孵化の成績に見合った生産計画の見直し。 |
4「鳥取地どりピヨ」の遺伝資源保存技術の開発
融解後の受精成績の一層の向上 | 来年度からの試験において、さらなる受精成績の向上を目指して技術の改良を行うとともに、万一の場合に備えて保存精液を作成、備蓄を行う。 |
※「進捗」欄には、年度当初のスケジュールに対する3月末での進捗を「◎:予定以上」、「○予定通り」、「△やや遅れ」、「×大幅遅れ」のいずれかを記載しています。