農林水産部 森林・林業振興局 林業試験場の工程表
基本的事項
所管組織、所管責任者
所属名 林業試験場 所属長名 大北 誠 電話番号 0858-85-6221
組織ミッション
森林資源の循環利用を担う「自立した林業・木材産業」の実現に向けた研究・技術開発
1.政策内容と目標
(1)政策内容
安全かつ低コスト林業推進のための搬出・造林・保育・育苗技術、森林病虫害の被害防止技術、県産材の加工利用・用途拡大等に係る技術等に関わる研究開発、「県立21世紀の森」の管理運営など
(2)今年度の目標
1 低コスト再造林・保育技術の開発
・低密度植栽による効率・コストの調査・解析(現状3,000本/ha植栽 → 2,000〜1,000本/haの調査)
・下刈り方法別の効率・コストの調査・解析(従来の低刈(H=15cm)→高刈(H=50cm)の調査
2 ドローンを利用した技術の開発
・架線集材におけるリードロープ架設の実証試験(架設作業・時間の軽減)
・森林現況調査(定点撮影、自動航行撮影試験)・
3 早生広葉樹等の育苗及び植栽技術に係る実証試験
・早生樹、有用広葉樹等の育苗・育林技術の開発(センダン、コウヨウザン等の育苗試験、植栽試験)
4 高齢広葉樹林の萌芽更新技術の開発
・高齢・大径化した広葉樹林の萌芽力及び萌芽成長試験(ナラ類、シイ・カシ類の萌芽率・成長量・枯損調査)
5 特用樹木の効率的増殖技術の開発
・トチノキ、クワ、コウゾのさし木による効率的増殖技術開発(発根促進剤の使用による発根試験)
6 山地災害リスクを回避・軽減する現地判定技術の開発
・山地の潜在的な危険度を把握する技術の開発(GIS利用による山地の災害発生リスクの評価技術)
・災害リスクの現地判定技術の開発(植物指標による災害リスクの判定技術)
7 樹木根系を考慮した防災林配置技術の開発
・山地の微地形と樹木根系分布状況の関係解明
8 コンテナ苗生産技術及び植栽実証試験
・コンテナ苗の育苗技術試験(挿し木の発根試験、植栽後の活着率・成長量評価)
(参考)該当する長期的目標
政策項目 | 元気づくり総合戦略 | 将来ビジョン | 環境イニシアティブプラン | アクションプラン(教育振興基本計画) | その他 |
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●所属で設定する長期目標(設定がある場合のみ)
低コスト林業技術の開発、森林病虫獣の被害防止技術の開発
2.測定指標
指標1
指標名 | 指標の分類 |
低コスト再造林・保育技術の開発 | 成果指標 |
| 基準値 | 年度当初値 | 今年度目標値 | 今年度実績値 | 長期的目標値 |
数値 | − | | | | 技術提案数1 |
時点 | H26 | | | | H31.3 |
根拠となる計画等 | その他計画の名称 | 計画指標の選定理由 |
| | 新技術の開発が組織ミッションであるため選定。目標値は現研究課題の終期を設定。 |
指標2
指標名 | 指標の分類 |
ドローンを利用した技術の開発 | 成果指標 |
| 基準値 | 年度当初値 | 今年度目標値 | 今年度実績値 | 長期的目標値 |
数値 | ― | | | | 技術提案数1 |
時点 | H29から新規取組 | | | | H31.3 |
根拠となる計画等 | その他計画の名称 | 計画指標の選定理由 |
| | 新技術の開発が組織ミッションであるため選定。目標値は現研究課題の終期を設定。 |
指標3
指標名 | 指標の分類 |
早生広葉樹等の育苗及び植栽技術に係る実証試験 | 成果指標 |
| 基準値 | 年度当初値 | 今年度目標値 | 今年度実績値 | 長期的目標値 |
数値 | ― | | | | 技術提案数1 |
時点 | H29から新規取組 | | | | H34.3 |
根拠となる計画等 | その他計画の名称 | 計画指標の選定理由 |
| | 新技術の開発が組織ミッションであるため選定。目標値は現研究課題の終期を設定。 |
指標4
指標名 | 指標の分類 |
高齢広葉樹林の萌芽更新技術の開発 | 成果指標 |
| 基準値 | 年度当初値 | 今年度目標値 | 今年度実績値 | 長期的目標値 |
数値 | ― | | | | 技術提案数1 |
時点 | H28 | | | | H33.3 |
根拠となる計画等 | その他計画の名称 | 計画指標の選定理由 |
| | 新技術の開発が組織ミッションであるため選定。目標値は現研究課題の終期を設定。 |
指標5
指標名 | 指標の分類 |
特用樹木の効率的増殖技術の開発 | 成果指標 |
| 基準値 | 年度当初値 | 今年度目標値 | 今年度実績値 | 長期的目標値 |
数値 | ― | | | | 技術提案数1 |
時点 | H28 | | | | H31.3 |
根拠となる計画等 | その他計画の名称 | 計画指標の選定理由 |
| | 新技術の開発が組織ミッションであるため選定。目標値は現研究課題の終期を設定。 |
指標6
指標名 | 指標の分類 |
山地災害リスクを回避・軽減する現地判定技術の開発 | 成果指標 |
| 基準値 | 年度当初値 | 今年度目標値 | 今年度実績値 | 長期的目標値 |
数値 | ― | | | | 技術提案数1 |
時点 | H28 | | | | H33.3 |
根拠となる計画等 | その他計画の名称 | 計画指標の選定理由 |
| | 新技術の開発が組織ミッションであるため選定。目標値は現研究課題の終期を設定。 |
指標7
指標名 | 指標の分類 |
樹木根系を考慮した防災林配置技術の開発 | 成果指標 |
| 基準値 | 年度当初値 | 今年度目標値 | 今年度実績値 | 長期的目標値 |
数値 | ― | | | | 技術提案数1 |
時点 | H30 | | | | H34.3 |
根拠となる計画等 | その他計画の名称 | 計画指標の選定理由 |
| | 新技術の開発が組織ミッションであるため選定。目標値は現研究課題の終期を設定。 |
指標8
指標名 | 指標の分類 |
コンテナ苗生産技術及び植栽実証試験 | 成果指標 |
| 基準値 | 年度当初値 | 今年度目標値 | 今年度実績値 | 長期的目標値 |
数値 | ― | | | | 技術提案数1 |
時点 | H27 | | | | H32.3 |
根拠となる計画等 | その他計画の名称 | 計画指標の選定理由 |
| | 新技術の開発がミッションであるため選定。目標値は現研究課題の終期を設定。 |
3.目標を実現するための主要事業・主要制度
番号 | 主要事業・主要制度 | 事業概要・スケジュール |
1 | 低コスト再造林・保育技術の確立 (予算額(事業費)667千円) | 再造林にかかる経費を低減する植栽方法・保育手法を検証し、コスト低減が可能な造林・保育技術を確立する。 |
2 | ドローンを使った森林現況解析及び架線集材におけるリードロープ架設の実証試験 (予算額(事業費)908千円) | ドローンによる所有林境界や森林現況の解析試験、及び架線集材用リードロープの運搬・架設試験を行う。 |
3 | 早生広葉樹等の育苗及び植栽技術に係る実証試験 (予算額(事業費)514千円) | 早生樹を利用した短伐期林業の技術体系化に必要な育苗・育林技術開発、及び有用広葉樹の育林技術を確立する。 |
4 | 高齢広葉樹林の萌芽更新技術の確立 (予算額(事業費)533千円) | 高齢・大径化したナラ類を主とする広葉樹林の萌芽力試験等を行い、広葉樹林を適切に循環利用する萌芽更新技術を確立する。 |
5 | 特用樹木の効率的増殖技術の開発 (予算額(事業費)520千円) | 里山や耕作放棄地での植栽・栽培が期待される特用樹木(トチノキ、クワ、コウゾ等)について、さし木による優良品種の効率的な増殖技術を開発する。 |
6 | 山地災害リスクを回避・軽減する現地判定技術の開発 (予算額(事業費)400千円) | 森林・林業の現場となる山地の潜在的な危険度を把握する技術、及び山地危険度に対応した作業システムの選択技術を開発する。 |
7 | 樹木根系を考慮した防災林配置技術の開発 (予算額(事業費)600千円) | 気候変動に伴う集中豪雨の増加によって山地災害の潜在的発生リスクが上昇しているなかで、安全安心な森林に導くため、森林の立地環境と樹木根系の分布特性を明らかにし、立地環境を重視した新たな防災林配置技術を開発する。 |
8 | 初期成長の優れたコンテナ苗生産技術及び植栽実証試験 (予算額(事業費)588千円) | 優良な造林用苗木生産及び低コスト再造林を推進するため、初期成長が優れた「コンテナポット苗」の生産技術を確立するとともに、現地植栽における活着率・初期成長の向上による「伐採〜地拵え〜植栽」の「一貫作業システム」づくりを目指した実証試験を行う。 |
4.評価
■最終評価(年度末時点)
進捗評価 |
○(予定どおり) |
達成度の評価 |
7 |
評価理由 |
ほぼ当初計画の通り実施できた |
H30年度の取組 | 成果 |
1.低コスト再造林・保育技術の確立 | 下刈工程の解析、植栽木の成長量調査を行った。結果は過去4年と同様の傾向が見られ下刈方法の違いによる植栽木の成長への大きな影響はないという結果となった。 |
2.ドローンを使った森林現況解析及び架線集材におけるリードロープ架設の実証試験 | ドローンによる連続空中写真からのオルソ画像作成試験の結果、平面的な位置精度は確保できた。撮影から、画像処理までのフローを整理し良好なオルソ画像の制作が可能となった。 |
3.早生広葉樹等の育苗及び植栽技術に係る実証試験 | 雪害(幹折れ)を受けたセンダン植栽木は、幹の折損部から萌芽の発生がみられるが成長は不良であった。また標高200m以上では梢端の枯れ下がりが顕著だったことから、寒冷な積雪地での植栽にはリスクがあると考えられた。 |
4.高齢広葉樹林の萌芽更新技術の確立 | ○既存の調査より高齢木でも、適期に伐採すれば萌芽する可能性が高いことが確認された。
○根からの萌芽を含めると伐採後、数年間、萌芽が発生することが分かった。
○反対に適期を外すと、萌芽更新は期待できない。
○伐根上部から萌芽した場合、成長の良い萌芽枝は風雪により折損、枯死する場合がある。
○調査の結果、高齢木からの萌芽では、根元付近や根から萌芽が重要であることが示唆された。 |
5.特用樹木の効率的増殖技術の開発 | ○クワについては、発根促進剤、排水性の良い用土を使用することで発根性が向上する
○コウゾについては、発根促進剤、排水性の良い用土を使用することで発根性が向上する
従来の春先の挿し木直前に採穂したものより、前年12月に採穂したものを保存して春先に挿し木することで発根率が向上する
○トチノキについて、団子挿しにより得苗率が向上した |
6.山地災害リスクを回避・軽減する現地判定技術の開発 | 山地災害リスクに応じたゾーニング手法を検討した。土石流の到達距離と斜面の崩れやすさから危険度に応じて4区にゾーニングする手法を開発した。 |
7.樹木根系を考慮した防災林配置技術の開発 | ○地下構造の違いによる根系分布を3タイプに類型化した
○崩壊地の土質と根の進入角度について調査を行った |
8.初期成長の優れたコンテナ苗生産技術及び植栽実証試験
| 植栽2年経過後のコンテナ苗の成長調査を行い、裸苗と比較した。根鉢サイズが大きいコンテナ苗は裸苗と同等の成長であったが、根鉢サイズが小さいと裸苗よりも成長が劣っていた。 |
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課題 | 今後の取組 |
1.低コスト再造林・保育技術の確立 | 本研究成果を公開し、下刈作業の省力化が可能な手法として普及させる
下刈手法の問題点に留意したマニュアル作成を行い普及させる。 |
2.ドローンを使った森林現況解析及び架線集材におけるリードロープ架設の実証試験 | 本研究テーマで試作した装置と操作について索道架設を行う事業体へ協力と情報提供を行う
オルソ作成については撮影から画像処理までのマニュアルを作成し普及させる |
3.早生広葉樹等の育苗及び植栽技術に係る実証試験 | センダン及びコウヨウザン等の植栽試験地について継続調査を行い、植栽適地を明らかにしていく。 |
4.高齢広葉樹林の萌芽更新技術の確立 | 森林として、実生を含めた萌芽更新の可能性を調査・検討するとともに、萌芽数年後に枯死率が高まるとの指摘を検証していく |
5.特用樹木の効率的増殖技術の開発 | 調査で得られた増殖技術を生産者普及する |
※「進捗」欄には、年度当初のスケジュールに対する3月末での進捗を「◎:予定以上」、「○予定通り」、「△やや遅れ」、「×大幅遅れ」のいずれかを記載しています。