生活環境部 衛生環境研究所の工程表
基本的事項
所管組織、所管責任者
所属名 衛生環境研究所 所属長名 若林健二 電話番号 0858-35-5411
組織ミッション
○県民の安全確保と豊かな環境確保のための調査研究拠点機能の発揮 ○危機管理対応として、県民の安全確保に資する調査研究の実施 ○環境の保全・再生と活用に資する研究・調査の実施 ○住民・NPOの環境学習・環境活動の支援 ○試験検査精度の信頼性確保
1.政策内容と目標
(1)政策内容
環境の保全・再生と活用に関する調査研究
(2)今年度の目標
1 湖沼の水質浄化や環境の保全・再生に関する研究の実施
・湖山池の底泥溶出特性の把握や有害プランクトンの増殖特性の把握など。
・安価な水質センサーによるモニタリング技術の要素技術を検討。
・淡水動植物(カラスガイ、セキショウモ)の再生手法の要素技術を検討。
・湖沼画像の自動解析技術を構築し、地域住民向けの分かりやすい水質情報提供システム構築に向け、その要素技術の検討。
2 廃棄物のリサイクルに資する研究の実施
・廃棄物リサイクル製品について、環境安全性に関する、迅速検査法の開発に向け、要素技術の検討。
・旧岩美鉱山で発生する処理が必要な抗廃水の水質等の将来予測を行い、持続可能な抗廃水処理技術の確立に向け、水質調査等各種データを収集。
3 地球環境問題と地域環境への対応に資する研究の実施
・粒子状大気汚染物質の由来推定に向け、本県の汚染実態の把握。
(参考)該当する長期的目標
政策項目 | 元気づくり総合戦略 | 将来ビジョン | 環境イニシアティブプラン | アクションプラン(教育振興基本計画) | その他 |
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○
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●所属で設定する長期目標(設定がある場合のみ)
1 湖沼の水質浄化や環境の保全・再生に資する研究の実施
2 廃棄物のリサイクルに資する研究の実施
3 地球環境問題lと地域環境への対応に資する研究の実施
2.測定指標
測定指標なし
3.目標を実現するための主要事業・主要制度
番号 | 主要事業・主要制度 | 事業概要・スケジュール |
1 | 湖山池の汚濁機構解明 (予算額(事業費)2250千円) | 湖山池の水質汚濁の要因を分析し、汚濁機構原因の究明を目指すとともに、本湖で問題となっている有害プランクトンの増殖特性の把握を目指す。これらを通して、「湖山池将来ビジョン」の達成に向けた今後の湖沼管理に関する施策に資する。(H28〜30) |
2 | 工学的手法を取り入れた湖沼の環境モニタリング技術の開発 (予算額(事業費)848千円) | 湖沼のモニタリングの効率化に向けて、安価なセンサーネットワークを利用した常時監視システムの開発を目指す。(H28〜30) |
3 | 水環境における希少動植物の保全に向けた研究 (予算額(事業費)990千円) | 特定希少野生動植物のカラスガイと、東郷池で復活が望まれているセキショウモ(水生植物)の再生手法を確立し、湖沼の希少動植物の保全に係る施策に資する。(H29〜30) |
4 | 水質観測技術の実用化に向けた研究 (予算額(事業費)1761千円) | ドローンや固定カメラ等で撮影した湖沼画像から抽出した水質情報を基に、地域住民や行政機関に対して、「迅速に」「分かりやすく」「的確に」湖沼の広域的な水質情報を提供するシステムを構築する。(H29〜30) |
5 | 旧岩美鉱山坑廃水の水処理及び汚泥資源化技術の開発 (予算額(事業費)1139千円) | 旧岩美鉱山で発生する処理が必要な抗廃水の水質等の将来予測を行い、持続可能な抗廃水処理技術の確立を目指す。(H29〜31) |
6 | 廃棄物再生材の環境安全性に関する迅速試験の開発 (予算額(事業費)1402千円) | 廃棄物リサイクル製品について、環境安全性に関する、迅速検査法の開発を目指す。(H29〜31) |
7 | 鳥取県における粒子状大気汚染物質の実態解明に関する調査研究 (予算額(事業費)1467千円) | 本県における粒子状大気汚染物質による汚染実態を解明するため、年間を通じた粒子状大気汚染物質の採取及び成分分析を行い、汚染実態(季節的な特徴や越境汚染の影響等)の解明、PMF解析等を用いた粒子状大気汚染物質の由来の推定を行う。(H29〜30) |
4.評価
■最終評価(年度末時点)
進捗評価 |
○(予定どおり) |
達成度の評価 |
7 |
評価理由 |
各項目とも一定の成果を出すことができた。 |
H30年度の取組 | 成果 |
【湖沼の水質浄化や環境の保全・再生に資する研究】
@水質モニタリング等により、湖山池の汚濁要因分析に繫げるとともに、有害プランクトンの増殖特性把握を目指す。
A安価なセンサーを利用した、湖沼の常時監視システムの開発に向け、実証試験を行う。
Bカラスガイの自然再生手法の検討の他、セキショウモの再生手法の確立を目指す。
C湖沼画像の自動解析手法の検討の他、撮影手法の検討を行う。 |
@湖山池底泥の栄養塩の溶出について、底泥の溶出試験を行い、過去に行われたシミュレーションの結果と比較した。その結果、窒素はシミュレーションの結果と概ね同程度であったが、リンについてはシミュレーションの値より大きくなり、りんの溶出量は貧酸素状態がある期間で大きく左右されることが明らかとなった。
A微小電気機械システムとIoT技術を取り入れた湖沼モニタリングシステムの開発を目指した。小型コンピュータ「ラズベリーパイ」を使用して、3G回線により、水温、水位センサーで取得したデータをインターネットに送信するシステムを構築した。
B淡水ビオトープ候補地においてカラスガイ稚貝の生残試験を行った。その結果、福井候補地においては全滅、オアシスパーク候補地においては数個体生残したが、冬季の水位低下により年度途中で撤去した。両候補地ともにヌートリアやコイ等の捕食圧が高く、泥の堆積や水位確保等問題がありカラスガイの生存には厳しい状況であることが確認された。
C写真画像・分光データの蓄積及び解析を行い、その結果を解析プログラムに反映させ、赤潮マッピングの精度向上を図った。その結果、写真画像から赤潮マッピングを行い、さらに画像から得た情報をweb上で共有するプログラムを構築できた。 |
【廃棄物のリサイクルに資する研究】
D旧岩美鉱山の将来予測のための水質データ等の収集の他、水処理、澱物の資源化技術の検討を行う。
E原材料の迅速選別技術の開発の他、製品の迅速試験法の検討を行う。 |
Dこれまで得られたデータの解析や現在の水質の詳細な分析を行い、将来水質予測を行った。その結果、鉄、銅に比べてpHは排水基準を満たすまでに時間がかかり、廃水処理が不要になるまで数百年から千年程度かかることが分かった。
E蛍光X線分析による廃瓦の鉛含有量の判定方法やディスクキレートを用いた溶液中の重金属の測定について検討を行った。その結果、鉛については、環境基準値の濃度の溶液をディスクキレート・XRFを用いて検出することに成功した。一方、カドミウムについては、ディスクキレート・XRFでの検出が困難であることを確認した。 |
【地球環境問題と地球環境への対応に資する研究】
F粒子状大気汚染物質の由来解明などのため、年間を通じて、サンプリングと成分分析を行う。 |
F年間を通じて粒子状大気汚染物質のサンプリングを行い、ランダム抽出した日について、金属及びイオン成分の分析を行った。更に、成分分析の結果を基に、統計的な手法を用い、粒子状大気汚染物質の季節的な特徴、越境汚染の影響の把握、由来の推定を行った。 |
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課題 | 今後の取組 |
【湖沼の水質浄化や環境の保全・再生に資する研究】
○水質シミュレーションに重要な、湖内流動があまり把握されていない。
○カラスガイは、水槽で人工飼育を長時間続けると生殖機能が退化すると言われており、このままでは生殖機能を失うおそれがある。
○赤潮マッピングは、現在、人が判断せざるを得ない工程があり、その処理の迅速性に欠けている。 |
○湖山池の詳細な湖内流動の実測データを取得するため、定期モニタリングに加えて集中的な観測を行い、貧酸素水塊形成や高塩分化に寄与する遡上海水の挙動の把握を目指す。
○カラスガイ自生地における稚貝の垂下飼育を検討し、カラスガイの保全に努める。
○湖沼画像の自動解析にディープラーニングの適用を試み、完全自動化し迅速性の向上を目指す。 |
【廃棄物のリサイクルに資する研究】
○旧岩美鉱山の将来の水質変化にともなう適切な水処理、澱物の資源化技術の検討が必要。
○廃棄物受入検査や土壌汚染状況のスクリーニング等における溶出液の有害金属分析について迅速化が望まれているが、鉛・カドミウム以外の金属についても検討する必要がある。 |
○将来の水質変化にともなって水処理に供する薬剤について種類、コスト等の評価等を行い、環境、経済性の両面での最適解の提言を目指す。
○迅速化が見込めるディスクキレートを用いたクロム、水銀等の有害重金属の測定方法について検討し、迅速化方法の確立を目指す。 |
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※「進捗」欄には、年度当初のスケジュールに対する3月末での進捗を「◎:予定以上」、「○予定通り」、「△やや遅れ」、「×大幅遅れ」のいずれかを記載しています。