農林水産部農業振興戦略監畜産試験場の工程表

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基本的事項

所管組織、所管責任者

　所属名　畜産試験場　所属長名　安藤　功　電話番号　0858-55-1362

組織ミッション

「食のみやこ鳥取県」を支える畜産物のブランド化と安全・安心な高品質畜産物の安定供給のため、肉用牛・乳牛の生産に関する新技術の開発を目指します。

１．政策内容と目標

（１）政策内容

鳥取和牛のブランド化と高付加価値化に向けた技術の開発

（２）今年度の目標

・第１２回全共で、審査の重点度が高まる「脂肪の質」や和牛肉の価値を高める新たな指標として注目されている「小ザシ」の向上を目指す。
・和牛版ゲノム育種価の開発・新たな形質に関するＤＮＡ解析や遺伝的多様性の評価、牛の生産性阻害要因の解析などを行う。
・牛枝肉中の水分含量やグリコーゲン、香りなどを調査し、新たな牛肉の価値を創出につなげていく。

（参考）該当する長期的目標

政策項目	元気づくり総合戦略	将来ビジョン	環境イニシアティブプラン	アクションプラン（教育振興基本計画）	その他
○

●将来ビジョンの取組の方向性（該当所属のみ）

番号	大項目	取組みの方向性
1	Ⅰ 【ひらく】地域で・県外で・国外で新時代に向かって扉をひらく	⑧県産椎茸のより一層の品質向上を進め、県産ブランド椎茸の生産拡大・有利販売を目指します。育種改良や飼養技術の向上等により、「鳥取和牛」「大山赤ぶた（デュロック種）」「鳥取地どりピヨ」など、おいしい鳥取ブランドを形成します。子牛・肉牛の出荷頭数の増加や高価格販売により「和牛王国鳥取」の復活を目指します。県内産の自給粗飼料を給与し、生産・加工を県内で行い、安全で安心な付加価値の高い牛乳を生産します。

２．測定指標

測定指標なし

３．目標を実現するための主要事業・主要制度

番号	主要事業・主要制度	事業概要・スケジュール
1	鳥取和牛ブランド向上試験　（予算額（事業費）9854千円）	「全国和牛能力共進会（以下、全共）　肉牛の部」における優秀成績の獲得による鳥取和牛のブランド向上を目指すとともに、飼育期間の短縮により期待されるコスト低減での肥育経営の安定化のため、黒毛和種（以下、和牛）肥育牛の短期肥育技術を確立する。
2	優良遺伝子を活用した新鳥取和牛の創造　（予算額（事業費）5797千円）	市場価値の高い「新鳥取和牛」を創り出すために、産肉性や種牛性に関わるゲノム上の特徴を探索し、種雄候補牛や優良雌牛の選抜に活用して、優秀な種雄牛の造成を図る。
3	鳥取和牛肉うまみ開発試験　（予算額（事業費）9369千円）	「うまみ」のある和牛肉を求める消費者ニーズに応えるため、またTPPの大筋合意を受け海外産牛肉との差別化を図るため、鳥取和牛肉のおいしさにかかる様々な「うまみ」を調査し、最終的に簡易測定機器を開発することで、新たなブランド化の創出や、鳥取和牛の育種・改良手法の開発につなげていく。

４．評価

■最終評価（年度末時点）

進捗評価
○（予定どおり）
達成度の評価
8
評価理由
概ね計画通りの成果が得られた。

令和元年度の取組	成果
１　（１）短期肥育における脂質向上対策、小ザシ向上対策について検討する　　　（２）超音波肉質診断のAI化について鳥取大学と共同研究を行う	（１）　脂質向上対策にかかる試験牛２頭、小ザシ向上対策にかかる試験牛２頭について、肥育試験を実施した。チモシー飽食給与による脂肪質への影響は確認できなかった。肥育後期飼料のTDN濃度を下げたが、小ザシへの影響は確認できなかった。（２）診断データを収集し、鳥取大学へデータを提供したところ、データ数が増えるほど予測精度が高まることがわかった。
２　優良遺伝子を活用した新鳥取和牛の創造	（１）枝肉形質ゲノム育種価と実測値との関連について関西畜産学会で発表した。（２）県内繁殖雌牛及び雌子牛、雄候補について産肉能力形質についてゲノミック評価を実施。（３）全国和牛登録協会からのＳＮＰタイピングの受託契約を締結、150検体を実施した。（４）京都大学、琉球大学、全国和牛登録協会とゲノム共同研究契約を締結。（５）国コンソーシアム事業（イノベーション事業）を活用した新たな遺伝病の探索のため、当場で繋養している遺伝保因牛の生体反応試験を実施。（６）当場で整備したゲノミック評価システムをR１年９月に稼働させた。
３　鳥取和牛肉うまみ開発試験	（１）国コンソーシアム事業（先導プロ）における肉のうまみに関する材料収集（官能評価試験用：１７検体、網羅的分析用８０検体）及び試験を実施。（２）九州大学とポータブル味覚センサー開発に係る共同研究契約を締結。（３）牛肉の香気成分を分析し、当該分析手法において同定可能な化合物の絞り込みを実施。（４）牛肉のおいしさに関与する物質として、官能評価値との関係からグリコーゲンを有力候補として挙げた。５,６６２頭分のデータから、グリコーゲンの遺伝率を算出（０．３９）。

課題	今後の取組
１　（１）短期肥育における脂質向上対策、小ザシ向上対策について検討する　　　（２）超音波肉質診断のAI化について鳥取大学と共同研究を行う	（１）次年度は脂質向上について、３種類の資材による影響の確認を行う。（２）鳥取大学との共同研究を継続し、AIによる予測精度を高めていく。
２　優良遺伝子を活用した新鳥取和牛の創造	（１）県内繁殖雌牛及び雌子牛について産肉能力形質についてゲノミック評価の継続。（２）全国和牛登録協会からのＳＮＰタイピングの受託分析の継続。（３）京都大学、琉球大学、全国和牛登録協会とゲノム共同研究の継続。（４）国コンソーシアム事業（イノベーション事業）を活用した新たな遺伝病の探索研究の継続。（５）当場で整備したゲノミック評価システム稼働の継続。
３　鳥取和牛肉うまみ開発試験	（１）牛肉の香気成分について、おいしさに関与する成分の絞り込み。（２）その他、微量の牛肉中うまみ形質測定を可能にする新たな検出方法の確立。