令和2年度の取組 | 成果 |
【湖山池の湖内流動の解明】
①超音波ドップラー流向流速計を用いた3次元流況調査
②遡上した海水の追跡調査 |
①大潮等潮位の高い期間(→湖山池に海水が遡上する期間)を中心に、超音波ドップラー流向流速計を用いて、湖内に設定した測定点で3次元流況調査を行うとともに、湖内東側の海水流入経路の断面上に設定した2本の測線上の測定点で流向流速の鉛直分布を連続的に測定し、湖内の流向流速データを蓄積した。
②①と同じ次期に、湖山池の東半分の区域で 水質の集中メッシュ調査(33地点で塩分や溶存酸素濃度等の鉛直分布を毎日測定)を実施し、データを蓄積するとともに、①のデータと合わせて、遡上して湖内に入った海水の動きを追跡し、以下の知見が得られた。
・表層部と底層部とで異なる流向流速で流動している等、湖内の複雑な流動状況が判った。
・湖山川を遡上して湖山池内に入った塩水(海水)が池口から最深部に向かって流入していく様子や海水の通り道が示唆された。さらに、海水が底層を通って湖内に流入し塩分躍層を形成した後、風で攪乱混合するまでの様子が把握できた。
③その他
これまでに蓄積した流向流速や水質データについて、ソフトウェアで2次元及び3次元でわかりやすく視覚化する方法(表現手段)を検討した。
以上の取組で得られた知見について、学会(水環境学会シンポジウム)で発表して発信・研鑽するとともに、湖山池会議や湖山池環境モニタリング委員会等の場で報告して関係機関(特に行政機関)の理解を深めるとともに、施策検討(特に次期水質管理計画策定)に向けた水質シミュレーションや塩分管理方針決定のための基礎資料になっている。 |
【水環境における生物多様性の保全と再生に関する研究】
①これまでの環境DNA分析の調査結果等に基に、保護団体や関係機関と保全方法等検討
②モバイルリアルタイムPCRによる環境DNA分析に関する情報収集
③環境DNA分析を用いた選定した希少種(ミナミアカヒレタビラ)の生息状況の確認 |
①国交省や米子県土整備局と連携し、当該機関が実施する河川調査に同行してミナミアカヒレタビラの生息確認や試料採取等を実施するとともに、調査結果を提供して情報共有した。
②モバイルリアルタイムPCRの分析条件を決定し、タイリクバラタナゴ等共存する近縁種に対して誤反応(増幅)しないことを確認した。
③日野川水系のミナミアカヒレタビラの生息域について環境DNAによるモニタリングを四半期毎に行った結果、環境DNAの検出エリアを概ね特定できた。当該エリアで捕獲調査を行った結果、タイリクバラタナゴ、オイカワ、ギンブナ、モロコ等が捕獲されたが、ミナミアカヒレタビラは捕獲できなかった。
⇒モバイルPCRの分析条件を設定し、河川水中の環境DNA分析によるモニタリングによって、日野川水系のミナミアカヒレタビラの生息域が推定された。
⇒なお、検出されたエリアでミナミアカヒレタビラを捕獲できていないため、ポジティブコントロールの確認ができていない。
④その他
以上の取組で得られた知見を環境DNA学会でポスター発表した |
【写真画像による赤潮等判別の実証研究】
①水質分布推定方法の検討(ディープラーニング、機械学習等を利用した水質分布推定)
②人工衛星データの解析
③リアルタイムPCR装置を用いたA.ostenfeldii(貝毒産出赤潮プランクトン)の判別方法検討 |
①実施取りやめ。
②
◇これまでの研究で湖山池のクロロフィルa濃度(赤潮等植物プランクトン濃度を示す)が波長700nmと670 nmの光の反射率差と相関関係があると判っていることから、これら近辺の波長の光に対するセンサーを搭載する人工衛星「Sentinel-2」がクロロフィルa濃度分布を把握可能と考え、当該人工衛星から得られるクロロフィルa濃度を、湖山池の船上からの水質計による500m×500mメッシュ調査で得られたクロロフィルa濃度データと比較した。その結果、精度面で検証の余地があるが、両データ間に矛盾は無く、人工衛星から得られる濃度分布の方がより詳細なマッピングができていることが判った。
◇別の人工衛星「Landsat-8, 9」のデータからは、気象条件がよい場合の画像に限り、湖山池のクロロフィル濃度分布を概ね把握できることを確認した。
③実施取りやめ。
④その他(リアルタイム観測システムの運用状況)
◇湖山池に一眼二波長カメラを用いたリアルタイム観測システムを設置し湖面のモニタリングを行い、システムの耐久性に問題がないことを確認した。また、湖面を撮影した毎時の波長データがクラウドサーバにアップロードされ、クロロフィルの濃度を波長700/673の値としてリアルタイムでモニタリングできた(クロロフィルa濃度への自動換算までは至らず)。 |
【焼却残渣の無害化技術の実証及び環境安全性評価手法の構築】
①焼却残渣(焼却灰、ばいじん)中の重金属等の不溶化技術の実証(室内実験で実証)
・不溶化技術の確立(薬剤等による処理条件の検討)
・不溶化処理物の安定性確認
②不溶化処理物の環境中での安全性評価手法の確立
・カラム通水試験等による不溶化処理物の溶出特性の把握 |
①
◇焼却灰に鉄粉を加えて硫酸でpHを約4とした後、3種の薬剤(AC-1、AC-3、TKS105)それぞれで「不溶化処理」した処理物について溶出試験を実施、クロムと鉛は不溶化して溶出試験の基準値を達成したが、ほう素はわずかに基準値を超過する場合があり、不溶化できていない(薬剤AC-1は他の薬剤に比較してほう素の溶出を抑制)。
◇添加する硫酸濃度の違いにより、クロムと鉛、ほう素の溶出挙動が異なることが判明した。
硫酸濃度が上昇するにつれクロムと鉛は不溶化してほう素が溶出しやすくなった。
②
◇異なる溶出傾向を示すクロム・鉛と、ホウ素の全ての溶出量が最少となる条件を「最適な不溶化条件」と考え、当該条件で生成した不溶化処理物について、X線回折法で物質(結晶)を判定しようとしたができなかった。
◇この不溶化処理物をカラムに充填して通水し溶出特性を把握する「カラム通水試験」に着手したが、年度内に完了することができなかった(測定が完了せず)。
⇒測定は年度明けに実施し、環境安全評価を行う予定。 |
【水銀の迅速分析法に関する研究】
廃棄物に関する水銀の溶出試験及び含有量試験の迅速分析法として、試料の前処理や溶出法、及び水銀測定法(加熱気化分析法及び蛍光X線分析法)を検討することとし、公定法による分析結果と比較し、迅速分析法としての評価を行った。
①溶出試験の迅速分析法(超音波溶出+加熱気化分析法)の評価
②含有量試験の迅速分析法(凍結乾燥・粉砕+蛍光X線分析法)の評価
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①溶出液中の水銀濃度の迅速測定法として導入を検討する、加熱気化水銀分析装置の精度について、JLT46の水銀の基準値0.0005mg/Lまで測定できることが確認でき、簡易法(加熱気化法)による分析値と公定法(還元気化法)による分析値とが直線的に対応しており、両方を比較して遜色無いことを確認した。
②水銀含有試料として、ほうきリサイクルセンター集じん灰(水銀含有量10~30mg/kg前後)を用いて、試料の前処理方法を検討し、ほうきリサイクルセンターの焼却残渣の水銀含有量について四半期毎にモニタリングを行った。
◇試料の乾燥温度による水銀含有量分析値への影響を確認したところ、以下のとおり、熱をかけると試料中の水銀は容易に揮発する一方で、凍結乾燥は水銀の揮発が無く効果的であることを確認した。
・-20℃:水銀のロスなく乾燥
・室温:水銀のロスはないが乾燥は不十分
・105℃:乾燥は十分だが水銀はロス
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【鳥取県におけるPM2.5発生源寄与解析】
①本県でのPM2.5の由来を解明し、季節ごとの動向の違いを把握する。
②他自治体による過去の解析結果や昨年度までに当所で実施したPM10の解析結果と比 較し、本県におけるPM2.5の汚染実態を把握する。
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9月段階と同じ。
◇当所の新型コロナウイルスの検査体制強化対応に伴う人員不足のため、今年度の計画を取りやめ。来年度から実施項目を追加・強化して実施することとし、これに向けた解析方法の検討や情報収集を行った。 |