農林水産部 農業振興戦略監 農業試験場の工程表
基本的事項
所管組織、所管責任者
所属名 農業試験場 所属長名 坂東 悟 電話番号 0857-53-0721
組織ミッション
「食のみやこ鳥取県」のブランド化と農産物の生産安定を実現するため、水稲等の新品種及び生産にかかる新技術を開発する。
1.政策内容と目標
(1)政策内容
消費者の求める安全・安心、高品質な農林産物の生産技術の開発
(2)今年度の目標
1 有機・特別栽培技術関係
(1) 有機栽培農家の実態を調査・検証し、優良事例を収集
水稲・大豆・野菜等の現地実践事例調査の精査
実践者主体の研究会との連携
(2) 有機栽培における除草技術・病害防除技術・栽培法の確立
水稲栽培におけるイトミミズを利用した除草対策技術の検討
有機栽培に好適な水稲品種の検索
野菜栽培における光防除によるチョウ目害虫対策技術の効果把握
転換畑有機栽培に適する新品目の検索および病害虫・雑草防除技術の検討
(3) 農業試験場体系化技術の展示実証
イトミミズを利用した水田除草対策の実証、展示
ラッキョウ栽培における太陽熱処理による抑草法の実証、展示
2 病害虫防除技術関係
(1)水稲の細菌性種子伝染性病害(イネもみ枯細菌病等)の防除対策の確立
各種防除資材の効果検討(種子消毒剤、微生物農薬等)
(2)イネいもち病薬剤耐性菌発生下における防除技術の確立
薬剤耐性菌発生状況の把握
新規剤の防除効果と実用性確認
(3)ムギ類・ダイズにおける病害虫防除技術の確立
ダイズ紫斑病→既存剤の耐性菌検定
マメシンクイガ→要防除水準の策定と多発要因の解析
(4)生産安定のための省力防除技術の確立
イナゴ類→育苗箱施用剤の防除効果と実用性確認
イネ縞葉枯病(ヒメトビウンカ)→新規剤の防除効果と実用性確認、被害解析
無人マルチコプターによる水稲病害虫防除→紋枯病、ウンカ類、斑点米カメムシ類の実用性確認
(参考)該当する長期的目標
政策項目 | 元気づくり総合戦略 | 将来ビジョン | 環境イニシアティブプラン | アクションプラン(教育振興基本計画) | その他 |
|
|
|
|
|
○
|
●所属で設定する長期目標(設定がある場合のみ)
鳥取県有機・特別栽培農産物推進計画、鳥取県米ビジョン、鳥取県農業生産1千億円達成プラン
2.測定指標
測定指標なし
3.目標を実現するための主要事業・主要制度
番号 | 主要事業・主要制度 | 事業概要・スケジュール |
1 | 有機栽培技術開発試験 (予算額(事業費)2711千円) | 有機栽培技術の確立及び普及に資するため、以下を実施する。
1)県内の有機栽培農家の実態を調査・検証し、優良事例を収集する。また、難航事例の問題点を把握する。
2)収集した優良事例及び問題点をもとに、農家が取り組みやすい技術メニューを確立、拡充する。
3)確立した技術メニューを実証、展示し、農家への普及を図る。あわせて、難航している有機栽培農家への技術支援も行う。
4)事業の取り組みを県内有機栽培農家のネットワークや県内外の研究機関との連携、協働によって推進する。 |
2 | 水稲・麦・大豆の高品質・安定生産を目指した病害虫防除技術の確立 (予算額(事業費)1127千円) | 本県の水稲・麦・大豆栽培における病害虫を対象に、効率的防除法を確立する。
1)水稲種子伝染性病害(もみ枯細菌病)の防除対策の確立
2)イネいもち病薬剤耐性菌発生下における病害技術の確立
3)大豆における病害虫防除技術の確立
4)生産安定のための省力防除技術の確立 |
4.評価
■最終評価(年度末時点)
進捗評価 |
○(予定どおり) |
達成度の評価 |
8 |
評価理由 |
予定した取り組みは、概ね達成できた。 |
令和2年度の取組 | 成果 |
有機栽培技術の確立、有機栽培の普及に資するため、以下の取り組みを実施する。
・水稲・大豆・野菜等における有機栽培を実践している生産者の現地実践ほ場の概要調査を行い、優良技術や問題点の抽出・解析を行う。また、体系化した開発技術や解析技術の現地実証及び実用性評価を行う。
・有機農業推進ネットワーク」の支援にも努め、生産振興課と協力して、ネットワーク強化の働きかけを継続する。
| 優良事例の調査をほぼ滞りなく行い、解析・検証を進め、問題点の整理等を行った。また、体系化できた技術については、現地実証し、技術の普及に努め、年度初めの「目論見どおり」ほぼ進捗させることができた。
・水稲有機栽培の雑草対策として、早期湛水によりトロトロ層の形成が良好で、有効であることが、複数の現地事例でも検証できた。また、現地生産者との情報交換会を開催し、検証の効率化が図れた。
・畑作の雑草対策として、太陽熱を利用した秋蒔き露地野菜での抑草技術の検証を継続して行い、成果情報として取りまとめた。また、砂丘畑(ラッキョウ)においても有効性を確認した。
「有機農業推進ネットワーク」の支援にも努め、生産振興課と協力して、ネットワーク強化の働きかけを継続している。 |
有機農業の推進および生産安定を図るための技術メニューの開発・拡充を図る。
・水稲・大豆・野菜の有機栽培において問題となる雑草・病害虫等の防除方法について検討する
・長期的な視点に立ち、有機的な田畑輪換法の確立をめざした、適品目の選定、雑草や害虫の防除技術と土壌の変化等を検討する。 | ・緑色LED灯光防除器材を利用した虫害防除を検討し、場内及び現地ほ場にて虫害軽減効果を検証した(データ蓄積)。
・イトミミズが形成するトロトロ層の抑草メカニズムを明らかにするとともに、トロトロ層形成の技術の解明及び問題点を明らかにした。
・畑地での雑草対策として、らっきょう栽培において、除草効果が高く、省力化が可能な簡易除草具評価を進め、成果情報として取りまとめた。
・生産者グループの要望に対応し、水稲有機栽培向けの品種の実用性評価を行い、その結果を取りまとめ、生産者グループにフィードバックを予定している。
その他の転換畑適品目選定試験等についても、データを蓄積・解析を進めている。 |
水稲・麦・大豆の高品質・安定生産を目指した病害虫防除技術の確立
・鳥取県の水稲・麦・大豆栽培において被害につながる病害虫を対象に、本県に最も適した効率的防除法および省力防除法を確立する。 | 1.水稲種子伝染性病害(もみ枯細菌病)の防除対策の確立(各種防除資材の効果確認)
2.イネいもち病薬剤耐性菌発生下における病害技術の確立(新規剤の効果確認、H30〜R2の発生状況を生産現場へ情報提供)
3.大豆における病害虫防除技術の確立(ダイズ紫斑病の耐性菌発生状況を確認)
4.生産安定のための省力防除技術の確立(イナゴ類とウンカ類に対する新規剤の効果確認(一部を成果情報化) |
課題 | 今後の取組 |
見込みが立った取り組みについては、試験研究を発展させ、早期に技術確立に繋げる。
天候等により解析が不十分で、継続して取り組む必要のある課題が一部ある。 | 解析が不十分であった課題については、本年の取り組み状況を分析評価し、試験設計を協議・熟考し、改善を図る。そして、次年度スムーズに試験研究が進めるように準備を進める。
進捗が良好な試験については、その活用法等試験研究の発展性や実用化を視野に入れた試験設計となるよう検討し、実施し、技術の早期実用化を目指す。 |
※「進捗」欄には、年度当初のスケジュールに対する3月末での進捗を「◎:予定以上」、「○予定通り」、「△やや遅れ」、「×大幅遅れ」のいずれかを記載しています。