令和3年度工程表
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農林水産部 畜産振興局 中小家畜試験場の工程表

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基本的事項

所管組織、所管責任者


 所属名 中小家畜試験場 所属長名 福田孝彦 電話番号 0859-66-4121

組織目標

豚ゲノム育種価や鶏PGC技術といった新技術に取り組むとともに、豚肉・地鶏肉の食味や環境に関する研究を通じて、県内の畜産農家の生産性向上と高品質化の実現を目指します。

1.政策内容と目標

(1)政策内容

市場に打って出る魅力あるオリジナル品種、高付加価値化技術の開発

■SDGsのゴール

09 産業と技術革新の基盤をつくろう

(2)今年度の目標

1 「大山赤ぶた」のゲノム情報および生産成績を収集する。また、農研機構との共同研究によってゲノム育種価を算出する体系を構築する。
2 導入した高能力バークシャー種精液の交配により産子を生産し、後代の能力調査を行う。
3 「大山ルビー」の理化学分析と分析型官能評価を実施し、それらの相関分析により「大山ルビー」に特徴的な旨み成分を特定する。
4 「鳥取地どりピヨ」の雄系種鶏群を維持しながら、県内の地どり生産農場に良質なヒナを供給する。また、日本獣医生命科学大学との共同研究によってピヨの食味の特徴を調査する。
5 高病原性鳥インフルエンザ等の発生に備え、PGCを利用した新たな遺伝資源保存技術に取り組む。

測定指標

測定指標なし

目標を実現するための主要事業

番号主要事業・主要制度
1銘柄豚「大山ルビー」の育種改良に関する研究 (予算額(事業費)22039千円)
2鳥取地どりピヨの改良試験 (予算額(事業費)9600千円)

2.評価

■最終評価(年度末時点)

進捗評価
△(やや遅れ) 
達成度の評価
7
評価理由
豚のゲノム育種価、バークシャーの新系統の作出について、データの収集や交配が遅れている。大山ルビーの旨み成分、鳥取地どりピヨについてはほぼ計画どおりに進められている。 

令和3年度の取組成果
1 ゲノム育種価を活用した「大山ルビー」の育種改良 (1)ゲノム育種豚 11頭、試験用肉用子豚 19頭を農家へ販売した。     試験場で35頭を肥育し、農家と合わせて  頭の試験豚出荷を行った。 (2)SNP-192検体、蛋白質-99検体、水分・脂肪抽出-24検体 の分析を行った。 192検体のSNPを解析することができた。
2 バークシャー種の外部精液導入による新規系統作出試験 場内豚(G0)に外部精液を人工授精し産出した第1世代(G1)44頭について、30kg〜100kgで産肉成績を調査した。 産肉成績調査後、雌4頭去勢12頭については出荷、買取後、サンプルを採材し各種肉質分析を行った。 一日増体量(DG)の増加・背脂肪厚(BF)の減少・ロース芯面積(EM)の増加・筋肉内脂肪含量(IMF)の増加を改良目的とし、次世代の親となる豚をG1から選抜し交配を行った。 DG・BFに関して推定育種価を算出し、優れた成績を持つと思われる豚4系統を選抜した。 BFに関してEMとは高い負の相関(-0.81)、IMFとは正の相関(0.57)があることがわかり、BFを改良することでEMの改良は容易だが、IMFの改良が難しいことが分かった。
3大山ルビーの新たな旨み成分に関する研究 (1)大山ルビー生産農家が出荷した枝肉48頭(大山ルビー24頭、普通豚24頭)からロース肉サンプルを収集し、理化学分析を行い、官能評価を食肉科学技術研究所に依頼し実施した。 (2)豚肉の食味に関与する筋肉内脂肪含量を高める飼養管理方法を確立するため、場内の大山ルビー肥育豚12頭を用いたアミノ酸バランス法の肥育試験を実施した。 (1)官能評価及び理化学分析によって大山ルビーと普通豚を比較した結果、以下の特徴が見られ    た。    ア さっぱりとした口溶けの良い脂で、うま味や香りを含めた総合評価が高い    イ ロース肉中の脂肪含量が高く、加熱損失が低い    ウ 脂肪酸組成はパルミチン酸が高く、飽和脂肪酸が高い    エ 甘味やうま味に関与するアミノ酸に差はないが、苦味や雑味に関係するアミノ酸が低い    オ 官能評価と関連の深い項目は、筋肉内脂肪含量、多価不飽和脂肪酸、エタノールアミン       だった。 (2)パン粉等を飼料に混合しアミノ酸バランスを調整することで、発育や枝肉成績に悪影響なく豚肉  の筋肉内脂肪(対照区2.3%、試験区3.3%)を向上させ、一価不飽和脂肪酸含量を高められるこ  とが分かった。
4鳥取地どりピヨのブランド向上に関する試験 (1)鳥取地どりピヨ(当場+2生産農場)及びブロイラー(1生産農場)計64羽の理化学分析を実施し、日本獣医生命科学大学に官能評価等を依頼した。 (2)ピヨ雌増体向上させるため、雌雄分離飼育を実施し有効性を検討した。 (1)ムネ肉(皮なし、皮つき)とモモ肉(皮なし、皮つき)の一般成分割合(水分、粗脂肪、粗蛋白)は生産農場により違いがあるものがあった。脂肪酸組成についての生産者間の違いは、ムネ肉(皮なし、皮つき)で6項目、モモ肉(皮なし、皮つき)で9項目程度であることが分かった。 (2)8週齢以降、雄のみの区と雌のみの区、雄雌混合飼育区に分けて飼育試験を実施したところ、雄雌分離飼育区よりも混合飼育区の方が大きくなることが分かった。
5「鳥取地どりピヨ」の遺伝資源保存技術の確立 万一の場合の鳥取地どりピヨの復元を効率的に行うため、ピヨの父方種鶏GSRの始原生殖細胞(PGC)を採取し備蓄を行った。作製したPGCを用いてWRの2.5日胚へ移植しキメラ鶏を作製した。 16世代及び17世代の受精卵からPGCを採取し、10,900個を凍結保存した。分散管理のため、うち2,000個を畜産試験場に移動した。9個のWR2.5日胚にPGC移植を行い、うち4羽孵化した。
課題今後の取組
1 ゲノム育種価を活用した「大山ルビー」の育種改良 (1)肉質分析が遅れている。訓練群データ育種価の計算が出来ていない。 (2)農家でのゲノム育種豚の評価が分かれている。また、繁殖成績の取りまとめが遅れている。 (3)「大山赤ぶた」の血縁係数の上昇が進んで来ている。(1)訓練群データの収集と分析進め、育種価の算出に取り組む。 (2)農家から導入後の豚の情報をフィードバックしてもらい、農家の要望にあった豚の生産出荷に取り組む。 (3)血縁に配慮しつつ、脚弱やヘルニアなどの不良形質を極力排除しながら系統維持群の更新を進める。
2 バークシャー種の外部精液導入による新規系統作出試験 G0世代の人工授精の受胎率が50%と低いことにより、G1世代の豚の数やデータ数が少なく、産肉成績以外の推定育種価が算出できない他、血縁の急激な上昇が懸念される。通常の種豚同様に朝のみだった発情チェックを朝昼の二回行うことで、正確な発情適期に人工授精を行えるようにする。 また、G1世代同士の交配だけでなく、G0世代にさらに別の外部精液を導入し受胎数を増やすことで、豚の数やデータ数を増加させ、血縁の上昇を防ぐ。
3 大山ルビーの新たな旨み成分に関する研究   (1)大山ルビーの美味しさに関する方向性の検討   (2)大山ルビーの飼養管理マニュアルの作成(1)試験結果を基に大山ルビー生産者との検討会を行う。今後の大山ルビーの食味の方向性や生産者間の差を少なくするために各生産者がどのように取り組むかを検討する。 (2)特定した官能評価と関連の高い分析項目(筋肉内脂肪含量、多価不飽和脂肪酸含量、エタノールアミン等)を制御する飼養管理技術を検討し、肥育試験を実施する。
4鳥取地どりピヨのブランド向上に関する試験 (1)鳥取地どりピヨの美味しさを数値により明らかにする。 (2)鳥取地どりピヨ雌鶏の増体向上のための飼育管理方法の検討(1)鳥取地どりピヨの理化学分析と官能評価の関連性について調査し、ピヨ生産農場に情報提供する。他県産地鶏との比較も行う。 (2)農場で問題となっている雄鶏のツツキ対策として有効と思われる有色LEDを用いた鳥取地どりピヨの飼育試験を行う。
5鳥取地どりピヨの遺伝資源保存技術の確立 PGCを移植し孵化したヒナを育成し、後代検定を行いキメラの作製率を検証する。

※「進捗」欄には、年度当初のスケジュールに対する3月末での進捗を「◎:予定以上」、「○予定通り」、「△やや遅れ」、「×大幅遅れ」のいずれかを記載しています。



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