つくり育てる漁業・沿岸漁業・内水面漁業の調査研究や技術開発及び漁場環境の監視に取り組み、「食のみやこ鳥取県」の魅力ある水産物の創出と持続的な漁業生産を可能とし、本県
水産業の発展を目指すとともに、地元の水産物を最大限に利用した産業育成及び豊かな県民生活の実現に繋げる。
| 令和3年度の取組 | 成果 |
| 【イワガキ資源】イワガキ礁の利用が見込まれる地区にイワガキ礁の継続的な利用方法について提案する。
【ナマコ増殖】採苗器の設置、効果検証 | 【イワガキ資源】イワガキ礁の継続的な利用について漁業者への指導等を行い、今年度は9月に県漁協酒津支所の漁業者がイワガキ礁の岩盤清掃を行った。泊、長和瀬、夏泊、田後でも小規模な岩盤清掃を行い、酒津も含め、その効果について継続的なモニタリングを行っている。
【ナマコ増殖】境港港内に設置した採苗器に1箇所当たり最大272個体の稚ナマコを確認。天然採苗方法の確立に向け、ある程度の道筋がたった。 |
| 【東郷池ヤマトシジミの増殖と資源管理】
・東郷湖漁協と連携し東郷池内の水質を、環境に悪影響を与えず、ヤマトシジミの増殖に望ましい水質(DO・塩分)で管理する。
・東郷池のヤマトシジミの資源量調査等の実施。 | ・DOについては長時間の貧酸素は確認されず良好に管理ができたが、塩分は管理目標を下回る期間が長かった。管理目標をやや上回った8月に産卵、幼生が多く発生した。R2年生まれの稚貝は夏季に減少したものの、一部は順調に生育し資源量がやや回復した。
・5月と9月にヤマトシジミ資源量を把握し、東郷湖漁協へ持続可能な漁獲可能量の提言を行った。 |
| 【湖山池ヤマトシジミの増殖と資源管理】
・湖山池のヤマトシジミの資源量調査等の実施。 | ・6月と9月にヤマトシジミ資源量を把握し、湖山池漁協へ持続可能な漁獲可能量の提言を行った。
・ヤマトシジミ資源量の増加に伴い、昨年よりもやや減少したものの漁獲量は200tを維持した。 |
| 【アユ】
・アユ遡上量の把握
・千代川漁協による早期小型種苗放流の実施
・産卵親アユ保護のためのテグス設置、親魚放流試験を実施 | ・3河川において遡上調査を実施。日野川、天神川において遡上数がわずかに増加に転じた。両河川では解禁後から比較的大型の天然アユが釣られていることが確認された。
・当センターが提案した早期小型種苗放流を千代川漁協が実施。実施地区において、友釣りでの好釣果が確認された。
・千代川において重機を用いた産卵場造成を行い、カワウから親魚を保護するためのテグスを設置。その後、成熟した親魚を試験的に放流したところ、放流後に親魚の群れと卵を確認。これらの結果から、@産卵場造成、Aテグス設置、B親魚放流を組み合わせることにより、アユの再生産が促進される可能性が示唆された。 |
| 【小型底曳網漁船による試験操業や市場調査等による資源調査】
・調査漁具を用いた試験操業によるヒラメ、マダイ、ナガレメイタガレイ、ムシガレイ等稚魚の発生状況を把握した
・漁業者が水揚げした漁獲物(ヒラメ、マダイ、サワラ、マアジ、ウマヅラハギ、キジハタ、ソデイカ、アワビ、サザエ、バイ等)を卸売市場内等で測定する市場調査により、漁獲物組成及び放流魚の混獲状況を把握した
・漁業者の漁具を用いた漁期前の試験操業による漁獲対象魚種の分布・来遊状況を把握した
・資源動向や漁獲統計、海洋環境等から沿岸重要魚種の漁況予測を実施した | コロナ禍のため漁業者に対する対面での説明会は出来なかったが、HP・FAXを活用して各種漁期前調査結果や市場日記の更新を行った。漁獲物組成や稚魚の発生状況等については、年報やアニュアルレポートにより成果を取りまとめた。 |
| 課題 | 今後の取組 |
| 【イワガキ資源】イワガキ礁の管理についてはさらに取組地区を増やしていく必要がある。また、岩盤清掃の効果についてはイワガキ稚貝の付着不良や付着後の食害の影響等により不確実性が高く、精度向上に向けた調査、研究を進めていく必要があると考えられる。
【ナマコ増殖】より効果が高い天然採苗方法の確立に向けた調査・研究を進める必要がある。 | 【イワガキ資源】イワガキ礁の継続的な利用について引き続き、漁業者への指導を行う。またR3年度実施した岩盤清掃の効果について引き続きモニタリングを行い、その手法の問題点や今後の改善点等について明らかにしていく。
【ナマコ増殖】来年度も採苗器を設置し、より採苗効果の高い設置適期や水深帯等について明らかにしていく。また、再来年度以降の漁業者主体での取組について漁協、漁業者等と準備を進める。 |
| 【東郷池ヤマトシジミ】
・ヤマトシジミの増殖と資源管理
| ・東郷湖漁協と連携し東郷池内の水質を、環境に悪影響を与えず、ヤマトシジミの増殖に望ましい水質(DO・塩分)で管理する。
・東郷池のヤマトシジミの資源量調査を実施し、東郷湖漁協へ漁獲規制等について提言する。
・ヤマトシジミ資源増殖要因を検証する。 |
| 【湖山池ヤマトシジミ】
・ヤマトシジミの増殖と資源管理 | ・ヤマトシジミ資源量等を把握し、湖山池漁協へ漁獲規制について提言する。
・ヤマトシジミ資源増殖要因を検討する。 |
| 【アユ】
・海域における減耗原因の解明
・天然資源回復策の検討 | ・これまでの調査結果から、海域における餌料環境が仔魚の生残に大きく影響している可能性が示唆されている。今後もこの点について調査を継続する。なおR4年度はR3年度と同様、(国研)水産研究・教育機構 水産技術研究所との共同研究(受託)として調査を進める。
・現在のところ、天然資源の回復策として、可能な限り流下仔魚量を増大させ、長期間にわたって海へ流下させることが有効と考えられる。そのため、流下仔魚量を増大させる手法として、親魚放流試験に引き続き取り組むほか、漁協が行う産卵場造成やテグス設置等の対策について助言や支援を行う。 |
| 【小型底曳網漁船による試験操業や市場調査等による資源調査】
資源評価対象種やTAC魚種の拡大に伴う調査体制の拡充 | 国の資源評価委託事業の予算を受け入れ、市場から魚体購入を行い精密測定を開始する。調査内容については、水産・研究教育機構と調整していく。 |