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白磁[保持者:前田昭博]


 ( はくじ まえた あきひろ:hakuji maeta akihiro )

陶芸[保持者:前田昭博]の写真
陶芸[保持者:前田昭博]の写真




 「白磁」(平成7年5月31日指定)は、陶石や磁土を主原料として成形し、その上に長石・石灰等を調合した釉薬をかけて焼成する陶芸技法で、我が国では17世紀初頭に有田で磁器の焼成が始まって以来、格調の高い白磁が各地で焼成され、その伝統技法が現代に伝えられている。
 前田氏は、鳥取県八頭郡河原町(現・鳥取市)に生まれ、大阪芸術大学工芸学科で陶芸を専攻し、卒業後郷里に築窯し、独立して作陶に専念した。以来、白磁の制作技法や表現について独自に研究を続け、活発な創作活動を展開しながら技を錬磨し、高度に体得して今日に至る。
 同氏の制作技法は、天草産の陶石を原料とし、轆轤で造形した後、土が乾燥する前に器の表面から手指によって圧力を加え、面取りや捻れ状の動きのある凹凸を器面に施し、さらに光沢を抑えた半透明の釉薬を施して焼成し、白磁の白一色に深みのある陰翳を与えて完成させるものである。この作風は、伝統的な技法を踏まえつつ豊かな芸術性を備え、かつ現代感覚に溢れており、白磁の世界に新たな展開を示すものとして高い評価を受けている。
 同氏は、平成12年の第47回日本伝統工芸展において朝日新聞社賞(優秀賞)を受賞、同15年の第50回同展において第50回展記念賞(優秀賞)を受賞した。同じく同15年に第20回記念田部美術館大賞「茶の湯の造形展」田部美術館大賞を受賞し、同16年に日本陶磁協会賞、同17年に第60回新匠工芸会展新匠工芸会60回記念大賞を受賞するなど、多方面から高い評価を得ている。また、平成19年には紫綬褒章を受章した。このほか、海外にも積極的に作品を発表し、高く評価されている。
 このほか、平成18年第53回日本伝統工芸展で鑑査委員(以後4回歴任)を務めるなど、後進の指導・育成にも尽力している。

文化財の種別 無形文化財
区分 指定
指定種別 重要無形文化財
分類 国指定の工芸技術
所在地 鳥取市河原町本鹿 やなせ窯
指定年月日

平成25年9月26日

所有者等

前田昭博

参考文献

『前田昭博 白瓷の造形』鳥取県立博物館2009
文化庁文化財部監修『月刊文化財(600号)』第一法規2013

参考リンク やなせ窯
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