日南町神福のサクラソウ群落
( にちなんちょうかみふくの さくらそうぐんらく:nichinanchokamifuku no sakurasou gunraku )
サクラソウは、サクラソウ科サクラソウ属の多年草であり、北海道南部から九州にかけて高原や原野のやや湿潤な草原に分布する。地下茎によりしばしば群落を形成し、四月から五月にかけてピンク色や白色の花の群落が美しい。
サクラソウは、遺伝的な変異により、花の形や色の濃淡に違いがみられるため、江戸時代から園芸栽培され、乱獲を招いてきた。現在では、近代化に伴う里山管理の変化とともに自生地は減少し、全国で100地点程度が点状に残っているのみである。
中国山地では、鳥取県西部から岡山、広島両県にかけて小規模なサクラソウ自生地がいくつか知られている。日南町内では以前は約二キロメートルにわたって生育していたとの記録もあったが、個体群は大幅に衰退し、鳥取県内におけるサクラソウの確実な自生地は現在、江府町、日野町、日南町内二か所の計四か所のみである。
サクラソウは種内の遺伝的変異が大きいため、各地域で遺伝的な系統が分かれており、当地で育まれた遺伝的変異を持つ群落を保全していくことが重要である。特に日南町神福のサクラソウ群落は規模及び生育状況の点から最も良好であり、絶滅に瀕した植物の自生地として貴重である。
文化財の種別 |
記念物
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区分 |
指定
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指定種別 |
県指定天然記念物
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分類 |
県指定の植物
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所在地 |
日野郡日南町神福 |
指定年月日 |
令和2年5月22日 |
所有者等 |
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参考文献 |
鳥取県 (2012) レッドデータブックとっとり改訂版-鳥取県の絶滅のおそれのある野生動植物−. 鳥取県生活環境部
鳥取県西部希少野生植物保全調査研究会 (2018) サクラソウの生育実態及び保護管理調査報告書
鷲谷いづみ (1998) サクラソウの目 –保全生態学とは何か−. 地人書館 (東京)
鷲谷いづみ (2006) サクラソウの分子遺伝生態学 エコゲノム・プロジェクトの黎明. 東京大学出版会(東京) |
参考リンク |
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