多里層ノジュール列
( たりそう のじゅーる れつ:tari-so nojuru-retsu )
日南町に分布する多里層は、中期中新世初頭(1,600〜1,500万年前)の「西黒沢海進」によって日本列島が広く海におおわれた時期に堆積した地層である。ここに含まれる多里層ノジュール列は、長径50〜70cmの楕円形をしたノジュールが60〜95cm間隔で配列する。産出化石とともに、日南町多里地区がこの時期に海に覆われたことを証拠づける貴重な古地理・古環境指標といえる。
また、多里層ノジュール列を含むN5層は浅海域[-5〜-20m]に堆積していたが、現在の海抜高度は480mとなっていることから、地殻変動によって約500m隆起したことを示す。これらは、中国地方各地に分布する海進期堆積物とともに、中国山地の形成史を解明するための貴重な高度データを提供するものである。
さらに、石灰質ノジュールの成因として、炭酸カルシウムの拡散および濃集モデルが知られているが、多里層のノジュール列を特徴づける「等間隔配列」・「二重構造」や広域的分布は、ノジュール成因論に新しい素材をあたえるものとして期待される。
このようにノジュールの成因や中国山地の形成史を解明する上で学術的価値も高く、県指定文化財(天然記念物)にふさわしい。
文化財の種別 |
記念物
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区分 |
指定
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指定種別 |
県指定天然記念物
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分類 |
県指定の地質鉱物
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所在地 |
日野郡日南町新屋 |
指定年月日 |
平成29年10月10日 |
所有者等 |
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参考文献 |
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参考リンク |
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問合せ先 |
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備考 |
日南町新屋のうち実測25平方メートル |