紙本墨画群鯉游泳図六曲屏風
( しほんぼくがぐんりゆうえいずろっきょくびょうぶ:shihonbokuga gunriyuueizu rokkyokubyobu )
作者の黒田稲皐(1741〜1807)は藩士林家に生まれたが、支封池田家の家臣黒田家を継ぎ、池田仲雅の近習となった。名は、文祥という。はじめ稲葉、のち稲皐と号した。幼少の頃から画を好み、藩絵師土方稲嶺について写生を学んだ。武芸全般に長じ、落款には「弓馬余興」の印を用いたが、仲雅没後は、致仕して画業に専念したという。
文政7年(1824)作の本屏風は、広々とした葦辺に群泳する鯉たちを墨と淡彩により表現する。画面下方に水平的に配置された魚群が葦の葉越しに見え隠れする様は池の水面をのぞくように自然である。
鯉図という主題は師の土方稲嶺から受け継いだものだが、稲嶺が一匹ないし数匹の鯉を描くことが多かったのに対し、稲皐は鯉一匹の形態はもちろん、それが群れをなしたときの複雑な動きの再現により強い関心を抱いていたといえる。池に鯉を泳がせてその生態を観察写生したというエピソードもうなづける。
同じく県保護文化財の絹本著色群鯉図 (県立博物館)とともに稲皐の鯉図を代表する優品である。
文化財の種別 |
有形文化財
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区分 |
指定
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指定種別 |
県指定保護文化財
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分類 |
県指定の絵画
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所在地 |
鳥取市東町(鳥取県立博物館) |
指定年月日 |
昭和51年8月3日 |
所有者等 |
鳥取県立博物館 |
参考文献 |
『鳥取画壇の祖 土方稲嶺―名月来タリテ相照ラス―』鳥取県立博物館、2018年。 |
参考リンク |
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問合せ先 |
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備考 |
六曲一双(各) 縦160.0cm×横375.5cm |