大原家文書
( おおはらけもんじょ:oharake monjo )
智頭町大原家に伝わった戦国時代(15世紀前半から16世紀後半)を中心にした18通の中世文書である。内訳は、土地の売券14通、寄進状1通、譲状1通、指出(さしだし)(所有地の情報を大名などに報告するもの)2通である。
内容は、いずれも土地の所有に関わる文書で、文書中に見られる地名から、大原家が所有したのは智頭町智頭の千代川流域と考えられる。
文書のうち、大原家を宛先とするものは2通のみで、大部分は智頭宿の旧家宮本家を宛先とする。当時は土地の売買の際、新たに証文を作成せず、売手の所持していた売券を買手に渡すことで売買が証明されることがままあったようで、大原家が多くの宮本家宛ての文書を有するのはこのためと推定される。
記載内容の特徴として、契約が守られない場合を見越して、「我等の子々孫々中(私たちの子孫のなか)」に「違乱の者、出できそうらはば(契約をやぶって秩序を乱すものが出てきたなら)」、「堅く御成敗あるべくそうらう(厳しく処分がくだされるべきです)」などと書くものが多く見られる。
契約違反者を「御成敗」する主体として、「公方(地域の支配者)」と「地下(村落共同体)」がある。『智頭町誌』は、永正14年(1517)年以降の8通において、両者を併記するようになることを指摘し、村落が秩序維持機能を担う存在へと成長していったと解している。
武家を中心に交わされることの多いこの種の文書が、中世村落のなかでもやりとりされていたことを示す大原家文書は、当時の土地所有の在り方を示す希少な史料群である。
文化財の種別 |
有形文化財
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区分 |
指定
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指定種別 |
県指定保護文化財
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分類 |
県指定の古文書
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所在地 |
八頭郡智頭町ちえの森ちづ図書館 |
指定年月日 |
令和3年6月18日 |
所有者等 |
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参考文献 |
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参考リンク |
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問合せ先 |
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備考 |
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