陶芸〔保持者:坂本 章〕
( とうげい ほじしゃ さかもとあきら:togei hojisya sakamoto akira )
陶芸は、陶土あるいは磁土を主原料としたものを成形、焼成して、いわゆる陶磁器を作る技術の総称である。主原料の配分、ロクロや手びねりなどの成形方法、焼成方法、釉薬や絵付などの加飾技法などにより、様々な種類の陶磁器が作られている。
県内では、藩政期以来続く窯元をはじめ、昭和期に民藝運動の影響を受けた窯元、その他本県の自然と歴史に喚起された創造性豊かな個人作家らにより多様な作陶活動が展開されている。
保持者の坂本章氏は、昭和40年(1965)生まれ。中井窯2代窯元である父實男氏に師事し陶芸を始めた。中井窯(現「因州・中井窯」)は吉田璋也(1898〜1972)の指導を受けた窯であり、印象的な染め分けに代表される新作民藝の器で全国的に著名である。坂本氏はその3代窯元として民藝陶器の表現と技術を深く体得しており、平成16年(2004)には鳥取県伝統工芸士にも認定された。
一方、近年では、高度な技術と表現性を青瓷の制作に活かし、伝統工芸の分野で高い評価を得ている。 青瓷は、鉄を着色剤とし、還元焼成により釉薬を青緑色に発色させた焼き物で、素地に陶土を用いるものを指す。
坂本氏は、「雨過天青」と詠われた北宋期の青磁を理想としながらも、素地土や釉薬の調合などに工夫をこらしながら柔らかく洗練された独自の青瓷を追求している。例えば、釉薬の薄さを微妙に調整することで実現する放射状の筋のような文様は、中井窯の掛け分けの技法から着装を得た加飾表現であり、中井窯で培った技術を青瓷に昇華させようとする試みといえる。
民藝陶器の作り手としてすでに全国的に注目された存在でありながら、新たな表現性を求めて全国規模の公募展へ精力的に出品し、後進の指導にも熱心に取り組む活動は、鳥取県の陶芸文化に大きく貢献するものと評価できる。
文化財の種別 |
無形文化財
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区分 |
指定
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指定種別 |
県指定無形文化財
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分類 |
県指定の工芸技術
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所在地 |
鳥取市河原町鳥取市河原町中井 |
指定年月日 |
令和5年6月13日 |
所有者等 |
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参考文献 |
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参考リンク |
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問合せ先 |
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備考 |
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アクセス方法 |
鳥取道・河原ICから車で5分
JR鳥取駅車で25分
日ノ丸バス(西郷線)中井入口バス停下車
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公開状況 |
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