染織(保持者:吉田公之介)
( せんしょく(ほじしゃ よしだこうのすけ):sensyoku hojisya yoshida konosuke )
染織とは、布等の繊維製品を生産する技術および工芸である。染織には古来よりさまざまな技法があるが、大きくは色彩や文様をあらわすための「染め」、布に細かい皺をつくったり柄をかすらせる「織り」、刺繍や摺箔などの「装飾」に分けることができる。
保持者として、倉吉市の吉田公之介氏が挙げられる。吉田氏は、染織家である父・吉田たすくが研究復元した「風通織(ふうつうおり)」の技法を受け継ぎ、かつて倉吉で行われていた複雑で高度な織り方を体現することができ、鳥取県の工芸史上特に重要な地位を占めるものといえる。
そして、風通織を含めた複数の織り方、様々な糸素材、多彩な色を組み合わせて、常に新しい表現を模索して積み重ねている。特に次第に色が変わっていくグラデーションを得意とし、綿密な計算に基づいた織り方に加え、糸の染め方や配列を工夫し、美しく存在感のあるデザインを織り出している。2017年に第72回新匠工芸会展富本賞受賞に示されるように、総じて芸術上特に価値の高いものといえる。
加えて、30年にわたり、鳥取短期大学絣研究室において、数多くの後進を育てており、絣を基本とした織物技術の普及や伝承にも大きく貢献している。