興禅寺庭園
( こうぜんじ ていえん:kouzen-ji teien )
鳥取市栗谷町に位置する龍峰山興禅寺は、鳥取藩池田家の菩提寺として高い寺格を持ち、陸奥伊達家の大年寺、長門毛利家の東光寺とともに黄檗三叢林と称された。
興禅寺の伽藍は中国黄檗山に倣った壮大なものであったというが、享保5年(1720)以後三度の火災によって文書や寺宝は失われ、さらに明治維新後その伽藍の大部分を失い、現在残される江戸期の建造物は旧藩主御霊屋(位牌堂)を改造した本堂のみである。
庭園は庫裏の背後(北側)に位置し、庫裏(書院)から観賞する池庭である。主要庭園部の面積は約1,300uで、江戸時代初期頃、池田光政により菩提寺として建立された国清寺の庭園を継承するものと推定されている。
庭園は、久松山系の山裾の谷地形を活かして構成され、樹林を背景として中央に富士山形の高い築山を配し、その下部には湧水を導いて東西に細い園池を設けている。築山には芝が張られ、刈り込み仕立てのサツキツツジやヒラドツツジなどの低木が彩りを添えているが、注目すべきは力強い石組である。立石を主として構成された枯滝石組は、鶴を象った鶴石組であるとみられ、また園池の出島が亀島に見立てられている。このことから本庭園は、鶴亀石組によって蓬莱山を表現した庭園であると解釈されている。
かつての鳥取藩主家菩提寺の庭園であるという歴史的価値、ならびに久松山系の地形や植生・石材を巧みに活用した意匠構成は優れており、芸術的・歴史的価値を有していることから、鳥取県名勝に指定するものである。
文化財の種別 |
記念物
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区分 |
指定
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指定種別 |
県指定名勝
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分類 |
県指定の庭園
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所在地 |
鳥取市栗谷町 |
指定年月日 |
平成29年10月10日 |
所有者等 |
興禅寺 |
参考文献 |
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参考リンク |
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問合せ先 |
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備考 |
栗谷町のうち実測23,161平方メートル |