絹本着色阿弥陀三尊来迎図
( けんぽんちゃくしょくあみださんぞんらいごうず:kenpontyakusyokuamidasanzonraigouzu )
本図は、画面の中央に立ち姿の阿弥陀如来、左側に合掌する勢至菩薩(せいしぼさつ)、右側に往生者を乗せるための蓮台を掲げた観音菩薩(かんのんぼさつ)の三尊のみを描く。現在の絹本は縦89p、横39pである。
三尊はそれぞれ来迎雲(らいごううん)の上に緑色の踏み割り蓮台にのって、斜めを向く。
三尊の体は金泥(きんでい)で塗られ、衣には卍つなぎや麻葉文などの文様が金泥で繊細に描き加えられている。また、三尊の頭光や阿弥陀から発する光明などには、細く切った金箔が貼り付けられ、頭光の輪郭をかたどる細い線状の金箔(截金)には、朱線を沿わせ、その内側を雲母でぼかして、淡い輝きを表現する。ほかに来迎雲は白色であり、銀泥の使用は目視では確認できない。雲の尾が二股に分かれて揺曳する。
顎の張りが弱い細面の顔の形や、二菩薩のかぶる冠の繊細な装飾、長く尾をひく来迎雲の表現などには硬さがなく、形式的になりきっていない点が注目され、制作時期は14世紀後半(南北朝時代)に遡ると推測する。
鳥取市内の旧家の所蔵品であり、その家に代々伝来し盆の期間にだけ懸用されてきたものである。明治20年代に、画面の損傷の激しい部分を切り詰めるなどの修理が行われたと想定されるが、修理後の表装の状態は安定しており、そのときに作られたと思われる箱や鑑定書も、本作例の歴史を伝える資料として貴重と考える。
以上、本図は、鳥取県下にはまれな、14世紀後半にさかのぼる作例である。そして、県下の旧家で守り伝えられてきたことがわかる点でも、鳥取県の指定文化財とするにふさわしい一点と考える。
文化財の種別 |
有形文化財
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区分 |
指定
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指定種別 |
県指定保護文化財
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分類 |
県指定の絵画
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所在地 |
鳥取市 |
指定年月日 |
平成26年4月15日 |
所有者等 |
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参考文献 |
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参考リンク |
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問合せ先 |
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備考 |
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