[ナビゲーションはここまで]
現在の位置: 文化財課 の とっとり文化財ナビ の 湯梨浜町のトウテイラン群落

湯梨浜町のトウテイラン群落


 ( ゆりはまちょうのとうていらんぐんらく:yurihamachou no touteiranngunnraku )

トウテイランの写真
トウテイラン群落の写真
トウテイランの写真




 トウテイランは、オオバコ科クワガタソウ属の多年草で、海岸の草地や松林の下に生える。和名は「洞庭藍」で、花の色が中国の洞庭湖の水のように美しいというたとえから名付けられた。花期は8月で、茎の先に穂状の青紫色の花を付け、白色の綿毛でおおわれた葉や茎とともにその姿が美しい。
 京都府、鳥取県の日本海側の海岸と島根県隠岐にのみ自然分布する日本の固有種であるが、湯梨浜町の個体群は3自生地をあわせても300-400個体程度と3府県の中で最も小さく、絶滅リスクが高い。
 トウテイランは環境省絶滅危惧U類に指定されている絶滅危惧植物ではあるものの、一方で園芸利用もすすめられている。このようなトウテイランの利用にあたっては、自生地保護に十分な配慮が必要である。また、トウテイランの数少ない自生地は互いに隔離分布しており、各自生地間には遺伝的な分化が見られることが指摘されている。自生地周辺での移植により、自生個体群が遺伝的な攪乱を受けないよう注意することも必要である。
 湯梨浜町のトウテイランは絶滅のおそれが高い状況ではあるが、幸いなことに3カ所に自生地(局所個体群)が残ることから、湯梨浜町全体を保全単位とした地域個体群の保全をはかることが必要である。

文化財の種別 記念物
区分 指定
指定種別 県指定天然記念物
分類 県指定の植物
所在地 東伯郡湯梨浜町
指定年月日

令和4年5月2日

所有者等

参考文献

足立仁志 2007. 鳥取県内自生の稀少植物「トウテイラン」. 日本植物園協会誌, 41:85-87.
戎谷 遵・中村 凌・岡 浩平 (2019) 隠岐郡西ノ島における希少種トウテイランが生育する切土法面の特徴. 日本緑化工学会誌, 45:173-176.
伊藤元己・井鷺裕司 2017. 新しい植物分類体系 APGでみる日本の植物. 文一総合出版(東京) 144pp.+リスト32pp.
加古哲也・持田耕平・中務 明・小林伸雄. 2020. 隠岐諸島に自生するトウテイラン(Veronica omata Monjuschko)の園芸化を目的とした各種形質の評価. 園芸学会誌, 19:339-347.
環境省 レッドリスト2020(令和2年3月公表). http://www.env.go.jp/press/107905.html (2021.1.14閲覧)
大橋広好・他(編)2017. 改訂新版 日本の野生植物 第5巻. 474 pp. 平凡社、東京.
清水寛厚(編) (1993) 鳥取県のすぐれた自然 植物編. 鳥取県, 273pp.
鐵慎太朗・黒田有寿茂・石田弘明 (2017) 絶滅危惧種トウテイラン(オオバコ科)の分布・生育立地と現存個体数. 植物地理・分類研究, 65(2):69-75.
鳥取県 (2012) レッドデータブックとっとり改訂版-鳥取県の絶滅のおそれのある野生動植物−. 鳥取県生活環境部,337pp.
野生生物調査協会&Envision環境保全事務所 2020. 日本のレッドデータ検索システム. http://jpnrdb.com/index.html (2021.1.14閲覧)

参考リンク
問合せ先

備考


アクセス方法

周辺地図
公開状況