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木造不動明王坐像


 ( もくぞうふどうみょうおうざぞう:mokuzo hudomyoo zazo )

木造不動明王坐像(正面)の写真
木造不動明王坐像(背面)の写真
木造不動明王坐像(側面)の写真
木造不動明王坐像の写真
木造不動明王坐像(銘)の写真
木造不動明王坐像(正面)の写真




 左手に羂索、右手に剣を手にし、軽く左を見込む姿で彫られた半丈六の不動明王坐像であり、像高が127.5pある。目の内側や両頬、鼻先、顎先が彫り直されていることから、作成当初は現在に比べて立体的で迫力のある姿をしていたと思われる。頭髪に特徴的があり、総髪と巻髪を組み合わせて表現されているほか、通常、巻髪は生え際から立ち上がるよう彫られるが、下に向けて彫られており珍しい。
構造については、針葉樹(ヒノキか。)の大木を使用し、頭部から胴部にかけての頭体幹部を1材でつくり、そこに膝前を取り付け、両腰脇に三角材を補うといった単純なつくりである。この頭体幹部については、両耳後方から体側半ばを通るように割矧いでおり、内刳りがなされ内側は空洞となっている。
 この内面の背中にあたる部分には銘文が残されており、梵字で胎蔵界大日如来の真言である「ア・ビ・ラ・ウン・ケン」が記されているほか、弘安8年(1285)に佛師泉國住人智月房禅慶によって建立されたという内容が書かれている。この他、本像の台座にも銘文が残されており、弘安10年(1287)に繪佛師観蓮が彩色を行ったという内容が認められる。
 制作年代については、その作風から判断すると10世紀末から11世紀初頭であるが、銘文には弘安8年とあり、作風と紀年銘において開きがあるが、鎌倉時代以前の作例であることは間違いない。鎌倉時代以前にさかのぼる半丈六以上の不動明王像は全国的に見て稀であり、本像はその一例となるほか、本体や台座に弘安年間の銘を残している点で貴重である。

文化財の種別 有形文化財
区分 指定
指定種別 県指定保護文化財
分類 県指定の彫刻
所在地 西伯郡大山町大山9 大山寺霊宝閣
指定年月日

平成31年3月15日

所有者等

宗教法人大山寺

参考文献

鳥取県立博物館編『鳥取県の仏像調査報告書』2004年
大山町教育委員会『大山僧房跡調査報告書』大山町文化財発掘調査報告書第12集、2011年
松岡久美子「聖護院とその周辺の不動明王像」(龍谷ミュージアム『聖護院門跡の名宝』図録、2015年)

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