絹本着色愛染明王像
( けんぽんちゃくしょくあいぜんみょうおうぞう:kenpon tyakusyoku aizen myoozo )
愛染明王は平安時代後半から信仰が高まった密教の忿怒尊であり、一面六臂(いちめんろっぴ)の愛染明王は金剛智訳『金剛峯楼閣一切瑜伽瑜祇経(こんごうぶろうかくいっさいゆがゆぎきょう)』に基づくものである。種々の目的で行われる愛染法の本尊だが、左第三手の持物はその目的に応じて変化し、画像の場合は行者の心中に想い浮かべることになっている。
縦長画面に宝n(ほうびょう)上の蓮華座に坐す一面三目六臂の愛染明王を表している。肉身は朱色で、濃淡によるぼかしを加え、開口した忿怒(ふんぬ)相は小振りながら迫力がある。髪は怒髪(どはつ)で獅子冠をいただき、波状光入りの頭光(ずこう)、身光(しんこう)、および火炎入りの挙身光(きょしんこう)を負っている。彩色を中心とする作風だが、持物の弓の弦や、蓮弁には截金線を用いていて、こまやかな装飾感覚がうかがえる。持物・装身具それに宝nは、現在暗い色を呈しているが、もとは裏箔(うらはく)(絹裏から金箔を押す)であったと推測される。
仏画の伝統的な描写法に則った作品であり、新奇な表現こそないものの、ていねいな賦彩(ふさい)や裏箔といった抑制された金色の併用などにより、奥深い画面を作り上げている。絵絹の状態とも考えあわせると、鎌倉時代後半(13世紀)の制作と思われる。
文化財の種別 |
有形文化財
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区分 |
指定
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指定種別 |
県指定保護文化財
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分類 |
県指定の絵画
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所在地 |
鳥取市東町二丁目124 鳥取県立博物館 |
指定年月日 |
平成31年3月15日 |
所有者等 |
宗教法人大安興寺 |
参考文献 |
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参考リンク |
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問合せ先 |
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備考 |
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