小鴨元清家臣連署起請文木札
( おがももときよかしん れんしょきしょうもんきふだ:ogamo motokiyo kashin rensyo kisyomon kihuda )
伯耆国久米郡の小鴨神社に中世以来伝存してきたものである。
この起請文の書かれた天正10年(1582)5月5日は、織田・毛利戦争の主戦場が伯耆から備前・備中へ移ったため、小鴨氏が織田方から十分な援護が得られないなか、毛利方の攻撃を凌いでいた時期であり、戦国時代末期における因幡・伯耆両国の軍事情勢をうかがわせる史料である。
また、本県では中世以前の史料が希少であり、小鴨氏のような有力な領主家であっても、その家臣団の実像を知ることは容易でないことから、12名の家臣の名前が記されたこの木札は、その実像を知ることのできる基礎資料として貴重である。
また、小鴨神社の木札は、宛名がなく、12名の家臣の名前のあと、「右の衆中、虎口表において申し合わす儀、相違あるまじく候、何ほどの儀候とも、互いに見捨て申すまじく候、この旨偽るにおいては、大明神殿の御罰を罷り蒙るべきものなり」と記されており、小鴨元清家臣たちによる相互の盟約であると考えられ、中世において一揆を取り結ぶ際に作成された、いわゆる「一揆契状」の典型事例といえる。
さらに、木札に記される起請文の類例は全国的に見て少ないが、「読まれるため」のものである木札に記された本史料は、一揆外部の第三者に読ませることを強く意識して作成される起請文が持つ本質的な特徴を裏付ける資料として学術的に貴重である。
文化財の種別 |
有形文化財
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区分 |
指定
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指定種別 |
県指定保護文化財
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分類 |
県指定の古文書
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所在地 |
倉吉市倉吉市大宮33 小鴨神社 |
指定年月日 |
平成30年10月9日 |
所有者等 |
小鴨神社 |
参考文献 |
『新鳥取県史 資料編 古代中世2 古記録編』(鳥取県、2017年) |
参考リンク |
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問合せ先 |
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備考 |
総高15p、肩高13p、幅40.5p、厚さ0.7p |