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鉄造白山本地仏像


 ( てつぞうはくさんほんじぶつぞう:tetuzo hakusan honchi butuzo )

鉄造白山本地仏像の写真
鉄造白山本地仏像の写真




 鉄造白山本地仏像は、南部町賀祥区と倉吉市吉祥院に伝わる、鉄から鋳造した鉄仏で、十一面観音立像・聖観音立像・阿弥陀如来立像3躯と光背3面からなる。
 白山本地仏とは、石川県と岐阜県にまたがる白山(標高2,702m)に宿るとされた白山妙理権現・菊理媛神・大己貴命の3神を、十一面観音・聖観音・阿弥陀如来の3仏の本地(神が仏の姿をとって現れたもの)と解釈したもので、白山信仰の対象として3尊を一具で祀る事例が多くみられる。
 南部町賀祥区の十一面観音立像・聖観音立像2躯は、区内の白山神社と密接に関わる豊寧寺に伝来し、昭和17年(1942)には重要美術品、昭和61年(1986)には県の保護文化財の指定を受けている。光背が3面あるため、1躯が欠損していると考えられてきたが、この度の調査により、倉吉市吉祥院の阿弥陀如来立像がこれらと一具であることが分かった。
 三像とも光背に密着させるため、後ろ半身は表さない。本体背面に鐶が鋳造されており、光背の穴に通して留める構造で、本来はどこかに取り付けられたものであった可能性がある。造形は平面的で、童子形を思わせる体のバランスとともに優美な印象を与える。
 光背は、宝珠形の頭光と像左右側面の張り出し部が融合した特殊な形である。線描で鋳出された光背の文様は大らかで、一般的な木彫像の光背にはみられない魅力を具えている。
 光背には3面とも同じ銘文が鋳出されているが、2面は鏡文字である。内容から、元応2年(1320)に藤原泰親が、鋳物師の道覚に制作を依頼したことが分かる。泰親は、伯耆国長田荘の地頭または荘官「大舎人允藤原泰頼」(『吾妻鏡』)の子孫と推測される。
 鉄仏は、鎌倉時代に制作が盛んとなるが、そのほとんどが関東地方を中心とする東日本および愛知県に分布し、西日本には少ない。その中でも、この白山本地仏は、現在確認されている中では中国地方唯一の鉄仏の作例となり、大変稀少である。
 像高は、十一面観音立像38.9p、聖観音立像35.7p、阿弥陀如来立像33.0p。

文化財の種別 有形文化財
区分 指定
指定種別 県指定保護文化財
分類 県指定の彫刻
所在地 西伯郡南部町及び倉吉市西伯郡南部町法勝寺341(キナルなんぶ)、倉吉市西岩倉町2189(吉祥院)
指定年月日

昭和61年4月18日(令和3年6月18日追加指定)

所有者等

参考文献

参考リンク
問合せ先

備考

銘文(光背3点に同文が陽鋳)

「大旦那藤原泰親
大願主藤原氏女
院主宗賀 大工道覚
元応二庚申四月十一日」


アクセス方法

祐生出会いの館:米子駅からバス上長田線で35分、緑水園前下車すぐ
吉祥院:倉吉駅からバス関金線で14分、福吉町下車徒歩2分

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公開状況

キナルなんぶ(鳥取県西伯郡)及び
吉祥院(鳥取県倉吉市西岩倉町2189)にて公開。キナルなんぶは月曜と年末年始は休館。