岩美町田後沖で新種のウミクワガタが発見されました!
〜6月3日(火)から山陰海岸ジオパーク海と大地の自然館で展示〜
2025年05月27日提供 資料提供

提供課等:生活環境部山陰海岸ジオパーク海と大地の自然館
担当/係名:研究担当
電話番号:0857-73-1445
FAX番号:0857-73-1446

鳥取県立山陰海岸ジオパーク海と大地の自然館の学芸員と北海道大学及び京都大学の教員が共同研究した西日本におけるウミクワガタ科の標本調査において、新種5種を含む7種のウミクワガタが発見され、その研究成果が学術雑誌「Bulletin of Marine Science (海洋科学紀要)」に掲載されました。
ついては、このうち岩美町田後沖などで発見された新種「タジリウミクワガタ」ほか2種の標本を、6月3日(火)から山陰海岸ジオパーク海と大地の自然館で展示します。
記
ウミクワガタについて
・甲殻類の仲間で、等脚目(ワラジムシ目)ウミクワガタ科に属する。
・体長は、5ミリ以下の種が多い。
・幼生は魚の体表で蚊のように短い時間体液を吸う外部寄生虫で、成長して成体になると、オスのみがクワガタムシのような大顎を持ち、メスは大顎がなく、丸く膨張した体で子ども(幼生)が孵化するまで抱く。
・成体は魚に寄生することはなく、海底の岩の隙間や付着生物の中などに入りこんで、何も食べずに繁殖行動のみを行う。
・世界で12属、約240種、日本近海では6属37種が知られている。
今回発見されたウミクワガタ
| 新種 | 1種(タジリウミクワガタ*、ティダウミクワガタ、フシメウミクワガタ、リュウキュウイソウミクワガタ、トヨシオウミクワガタ) |
| 日本初記録種 | 1種(マエカドウミクワガタ*) |
再発見種
(99年ぶり) | 1種(ヨコナガウミクワガタ*) |
*岩美町田後沖などで発見
鳥取県立山陰海岸ジオパーク海と大地の自然館における展示
(1)展示期間:令和7年6月3日(火)〜8月31日(日)
(2)展示場所:山陰海岸ジオパーク海と大地の自然館 常設展示室(甲殻類のはく製のコーナー)
(3)展示内容:岩美町田後沖で見つかった新種1種を含む3種について、標本とパネルで紹介(生体展示は行いません。)
<展示するウミクワガタ>
【新種】タジリウミクワガタ、【日本初記録種】マエカドウミクワガタ、【再発見種】ヨコナガウミクワガタ
研究の概要
・鳥取県立山陰海岸ジオパーク海と大地の自然館の学芸員・太田悠造(鳥取県立博物館併任)と北海道大学及び京都大学の教員が、沖縄県から鳥取県にかけた広範囲の海域で甲殻類を収集。
・一連の標本を精査し、国内外で知られる種と、頭部や腹尾節(しっぽに見える部分の後端の部位)などの形態を比較した結果、5種が新種と認められた。その他、1種が韓国で報告され日本では初めて見つかった種、1種が1926年に長崎県で発見されて以来99年ぶりの再発見となる種であることが分かった。
・ウミクワガタ科は、国内で知られていた37種に加え、本研究により国内種が6種追加され43種(16.2%増加)となった。
・論文では、世界で知られる12属の検索表(形態の特徴から属を判別するための表)をまとめた。
鳥取県におけるウミクワガタ類の発見
鳥取県からは、以下3種がいずれも岩美町田後沖の水深約30mで見つかった。
・【新種】タジリウミクワガタ
沖縄近海から鳥取県沖の水深30-202mで見つかった。学名は「Gnathia tajiran(グナチア・タジラーナ)」。和名・学名ともに、田後の名前を献名した。
・【日本初記録種】マエカドウミクワガタ
韓国南部で見つかり、国内では宮崎県沖から鳥取県沖の水深20-484mで見つかった。学名は「Gnathia koreana(グナチア・コーレアナ)」。
和名の「マエカド」は頭部前方に張り出した突起があることから新たに提唱。
・【99年ぶりの再発見種】ヨコナガウミクワガタ
長崎で見つかり、フランスの研究者が1926年に報告して以来、詳細が分からなかった。九州の離島の馬毛島沖から鳥取県沖の水深20-119mで、成体は海底の付着生物の中から見つかった。学名は「Gnathia consobrina(グナチア・コンソブリナ)」。和名の由来は頭部の幅が広いことから。
論文を発表した学術雑誌
雑誌名:Bulletin of Marine Science (マイアミ大学から出版されている海洋科学紀要)
世界中の海洋に関する生物学、漁業、海洋政策などのあらゆる分野を扱う国際学術雑誌
論文名:Review of the Gnathiidae (Crustacea: Isopoda) of western Japan with a description of five new species, one redescription, and one new Japanese record.
(西日本におけるウミクワガタ科のレビュー:5新種、1種の日本初記録、1種の国内記録)
著者名:太田悠造 (鳥取県立山陰海岸ジオパーク海と大地の自然館)、角井敬知(北海道大学)、下村通誉(京都大学)
掲載日:2025年3月31日(オンラインのみ)
その他
共同研究を行った北海道大学及び京都大学においてもプレスリリースを行います。
問合せ先
山陰海岸ジオパーク海と大地の自然館 担当 小矢野(太田)
〒681-0001 鳥取県岩美郡岩美町牧谷1794-4
電話:0857-73-1445 ファクシミリ:0857-73-1446
電子メール:sanin-geopark@pref.tottori.lg.jp

鳥取県からウミクワガタの発見