教育関係・報道提供資料

氷ノ山(鳥取県若桜町)から新種の昆虫「ヒョウノセンヒメハナノミ」が発見されました

2020年07月07日提供 記者発表資料


提供機関

提供課等:教育委員会(事務局)博物館   担当/係名:自然担当 
電話番号:0857-26-8044

内容

鳥取県立博物館の鶴智之(つる ともゆき)専門員が鳥取県の氷ノ山で新種のハナノミ科の昆虫「ヒョウノセンヒメハナノミ」を発見したので、下記のとおり記者発表を行います。

日時

令和2年7月15日(水)午後1時から午後2時まで 鳥取県立博物館 講堂(鳥取市東町2-124)

概要

鳥取県立博物館の鶴智之(つる ともゆき/昆虫標本専門員〔会計年度事務員〕)は2019年7月に鳥取県若桜町の氷ノ山で昆虫の生息調査を行い、これまでに見たことのない甲虫目ハナノミ科の昆虫を採集した。顕微鏡下で解剖するなど詳しく検証したところ、国内外に該当する種はなく新種であることが判明したため、ヒョウノセンヒメハナノミFalsomordellistena hyonosenと命名し、国際学術雑誌Japanese Journal of Systematic Entomology, Vol. 26, No.1(日本昆虫分類学会会報26巻1号)(2020年6月30日発行)に発表した。別紙(写真)も参照。

ハナノミについて

ハナノミは、カブトムシなどと同じ甲虫目(コウチュウ目)の中のハナノミ科に属する昆虫のことであり、世界から1200種以上、日本から180種以上が記録されている。体長2から17 mmと小さく、腹部末端の「尾節板」が針状にとがり、敵に襲われるとピョンと飛び跳ねて逃げる。成虫になると花に集まって花粉や花蜜を食べる。ハナノミの名前は、花に集まりノミのように小型で飛び跳ねることに由来する。

新種について

新種のヒョウノセンヒメハナノミは、体長3〜4 mmでビロウドヒメハナノミなどに似ているが、触角が非常に長いことや、オスの生殖器の把握器(パラメア)の形状が明瞭に異なることなどで区別できる。今回得られたヒョウノセンヒメハナノミはすべてイワガラミの花から採集されていることから、これらの花蜜や花粉を食べていると考えられる。幼虫の生態については不明。

発見の意義

ハナノミ科昆虫の解明に貢献したことはもとより、鳥取県の自然環境の奥深さを示唆している。新種のハナノミは未解明な自然が残されている琉球列島などの島嶼地域で見つかることが多く、本州などの本土地域で新種が見つかることは珍しい。とくに今回の採集地点は標高約800mの豊かな森林に囲まれた林道沿いであり、鳥取県が他県と比べても、良好な自然環境に恵まれていることを示しているかもしれない。

今後の課題

分布範囲と生態の解明が課題である。これまでのところヒョウノセンヒメハナノミは氷ノ山からしか得られてなく、他の地域でも2018年から継続して採集調査を行っているが、これまでのところ確認されていない。県外もふくめヒョウノセンヒメハナノミの分布の解明が望まれる。また、幼虫は樹木や植物の幹や茎に穿孔してその内部を食べるが、幼虫の生態の解明も課題である。

展示

2020年7月16日(木)から自然展示室内でミニ展示を行う(常設展示入館料/一般180円必要)。

掲載論文

Tsuru, Tomoyuki K. (2020) A New Species of the Genus Falsomordellistena (Coleoptera: Mordellidae: Mordellistenini) from Japan. Japanese Journal of Systematic Entomology, 26 (1): 157–160.

問合せ

鳥取県立博物館 主幹学芸員 川上靖(かわかみ やすし)、昆虫標本専門員 鶴智之(つる ともゆき)
電話:0857-26-8044/ファクシミリ:0857-26-8041

報道機関に提供した資料(PDFファイル)

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