県立博物館 歴史の窓「新発見! 鳥取藩旧蔵のやきもの」の展示を行います
2023年11月20日提供 資料提供
提供課等:教育委員会(事務局)博物館
担当/係名:人文担当
電話番号:0857-26-8044
当館歴史・民俗展示室「歴史の窓コーナー」の展示替えを行いますので、県民のみなさんにひろく周知するため、ぜひ取材いただきますようよろしくお願いいたします。
記
展示テーマ
新発見! 鳥取藩旧蔵のやきもの
趣旨
当館では、一昨年度と昨年度にかけ、鳥取藩旧蔵のやきものである「色絵松竹梅文皿」と「色絵磁器皿」の2点を新たに収集しました。収集に至る過程で、京焼研究の第一人者・岡佳子氏(大手前大学教授)に調査を依頼したところ、「色絵松竹梅文皿」が江戸時代前期の1670年代という比較的古い時期の京焼のひとつ“御菩薩焼”(みぞろやき)であること、また「色絵磁器皿」は17世紀後半の仁清手(にんせいて)の有田焼(磁器)であることが判明しました。また、いずれも文様に「丸に揚羽蝶(あげはちょう)」が用いられていることから、鳥取藩が窯元に特別に注文して制作されたもので、かつ同じ窯元で焼かれた可能性がある貴重な作品であることがわかりました。
本展では、2点の絵皿をはじめて展示するとともに、それらが制作された17世紀後半の鳥取藩と京都の文化的関係について紹介します。
【語句説明】
京焼・・・江戸時代、京都で焼かれた焼物の総称。17世紀半ばから18世紀前半にかけて野々村仁清や尾形乾山らによって色絵焼物が作られ、同時期には粟田口焼を始め、八坂・清水・御菩薩・修学院・音羽・清閑寺焼などの窯が創始され、盛況を博した。その後一時衰退するも、18世紀後半、清水焼に清水六兵衛・奥田頴川らが出て京焼の主流となった。
御菩薩焼(みぞろやき)…17世紀後半に京都・深泥池周辺で焼かれていた焼物。伝世品が少なくその実態はよくわかっていない。
仁清手…色絵において黒い輪郭線を伴わない絵付で、京焼風の描き方がなされたものを仁清手と呼ぶ。京焼における色絵の創始者とされる野々村仁清にちなむ技法名。
主催
鳥取県立博物館
主な展示品
・御菩薩焼「色絵松竹梅文皿」(当館蔵)
1670年代の御菩薩焼絵皿。文様は鳥取藩主池田家の家紋である揚羽蝶紋と松竹梅で、外側は雷文。青・緑・金を主体とする色絵皿であるが、くすんだ青色が古様を示す。揚羽蝶紋が付されているところから、藩主池田家による複数枚セットの注文品のなかの1枚であると考えられる。天保13年(1842)、鳥取藩士鷲見勘解由が藩主池田慶行の初入国御用を無事済ませたことに対して下賜されたもの。
・有田焼「色絵磁器」(当館蔵)
17世紀後半のものと考えられる仁清手と呼ばれる有田焼(磁器)。文様は「色絵松竹梅文皿」と同じく揚羽蝶紋と松竹梅で、色彩も青・緑・金である。「色絵松竹梅文皿」と文様が同じであることから、同じ工房による作と考えられる。一般的に仁清手の有田焼は、有田で制作された京焼風の作品とされているが、本品の出現により、素焼きまでを有田で行い、絵付けは京都で行った可能性が高く、研究史的に注目される。
展示期間
令和5年11月14日(火) 〜 令和6年1月21日(日)
会場
鳥取県立博物館 歴史民俗展示室「歴史の窓」コーナー
入館料
常設展示観覧料180円(団体150円)
問い合わせ先
県立博物館学芸課 人文担当主任学芸員 大嶋陽一
電話 0857−26−8044
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