- 鳥取県人権尊重の社会づくり協議会 -
平成30年度第1回鳥取県人権尊重の社会づくり協議会会議録
開催日時平成300601日(曜日) 10:00 AM 12:00 PM
開催場所鳥取市尚徳町101−5
とりぎん文化会館 第3会議室
出席者名アベ 山田 マリア ルイサ; 荒益 正信; 今度 珠美; 太田 ちひろ; 川口 勝; 川口 玲華; 河原 道弘; 繫原 美保; 鈴木 直子; 竹内 良一; 中尾 美千代; 中瀬 香里; 西井 啓二; 原田 伸吾; 福安 和子; 松村 健司; 松村 久; 三谷 昇; 山本 充延 (以上19名)
議題(1)協議事項
   鳥取県人権施策基本方針(第3次改訂)に係る具体的施策の実施状況及び補助的指標について
(2)報告事項
   @ 人権尊重の社会づくり相談ネットワークの運用状況について
   A 差別事象検討小委員会の開催概要について
問い合わせ先総務部 人権局人権・同和対策課
0857-26-7590
その他(1)公開又は非公開の別
公開
(2)傍聴者数
0
(3)その他(会議資料等)
01_次第.doc01_次第.doc05_資料1_補助的指標.xdw05_資料1_補助的指標.xdw06_資料2_指標連動・具体的施策の実施状況(H29.30).xdw06_資料2_指標連動・具体的施策の実施状況(H29.30).xdw07_資料3_人権相談ネットの運用状況.xdw07_資料3_人権相談ネットの運用状況.xdw08_資料4_差別事象検討小委の報告.xdw08_資料4_差別事象検討小委の報告.xdw

会議内容:
■:議長発言、○:委員発言、●:事務局発言

議事
協議事項  鳥取県人権施策基本方針(第3次改訂)に係る具体的施策の実施状況及び補助的指標について
●資料1〜2により説明

■事務局の説明や資料記載の他の事業について質問等を願う。

○ネットパトロール事業を昨年度に引き続いて実施するとのことだが、今子どもたちがインターネット上で不適切な投稿などを行うのは鍵のかかった非公開の場所なので、ネットパトロールで発見することは難しい。この事業を継続するのであれば、どういった効果があり、どのくらい発見されていて、どういった対策を施しているのか聞きたい。実態にそぐわない事業なら再考されたい。

○文化を醸成することが前提にならないと、「人権尊重の社会づくり」というミッションとネットパトロールとがつながらない。その間をつなげるなにかを。たとえば通級で言うと、「元々教育を受ける権利がある、でもそれが侵害されているのだ」という考えで教育を保障するのか、それとも「この子にも教育を提供しよう」と上乗せを考えるのか。文化としてはどちらに当たるのか。この協議会が求めているのはそういう文化醸成と、元々国家権力や行政権力は人権侵害をするものだという前提でこの協議会が第三者として存在しているのだから、インターネットパトロール以前の戦略なり目標なりミッションなりをもう一度考えてもらいたい。

○資料1の5ページ「外国人の人権」は6項目あるうちの4項目に指標がない。これについてどういう見解か。
また、ここの「相談支援体制の充実」では相談窓口が年々増えてきているが、資料3では外国人の人権に関する相談はゼロだ。こういう状況をどう判断して今年度の新しいビジョンに結びつけているのか。

●まさにそれが課題だと思っている。今回このように指標や施策を並べて横の整合性を見ていく中で、やはり足りていないと考えている。それぞれの関係課がそれぞれ事業をしているが、たとえば「外国人の人権」に対してどういうふうに施策をしていくか、という大きな方針がない。これは担当課も認識していて今後の取組を検討している。分野ごとに方向性を見ながら関係課と調整して、足りない施策を実施し、指標を設けたい。

○県職員採用の応募用紙は、国籍条項がない職種に関しても生年月日を元号で書くようになっている。日本国籍か外国籍かを書かせるものもあれば、書かせないものもある。そういうものに対する認識はどうか。早急に改善してほしい。
 最近外国人が増加し様々な就職先で非常に問題のある雇用の仕方が出てきているが、相談内容には上がってきていない。その辺はどうなのか。
 教育委員会が作成した「学校生活ガイドブック」は、以前は冊子が配られたが今はホームページ上で取得するようになっている。しかし、日本語が分からないと検索できない。外国籍の小中学生は何人くらいいるか。その保護者等には配付されているか。片方の親が外国籍のケースも把握して配付しているか。せっかくいいものがあっても当事者に渡されてない。でも県はこういう施策をしていると言われるのは、実のない施策がここの評価に出てこないといけないのではないか。
 より具体的に数値化することも大事だ。様々な取組の結果を、回数や人数だけでなく、「こういうふうに打って出たけれどもこういうふうには反応がなかった」なども出してほしい。

○学校生活ガイドブックが現場に届いていないことは改善が必要。ルーツが外国で日本国籍の方などは学校の先生方も知らない。こういういいものがあっても届いてない。
行政と技能実習生の雇い主との関わりや情報交換はどうなっているか。まだ日本語が不十分で現場で相談ができず、インターネットや携帯を通じて助けを求める例が県外であった。外国人がどういう環境で働いているか把握できるチェック機関があるか。今後、人材不足で社会情勢が変ってくるのであれば、その辺りの把握も必要ではないか。

○8か国語に対応した情報モラルリーフレットを作成したので、学校現場で活用してほしい。

■各委員の意見、質問についてこの場での回答は控え、後日文書か次回協議会での回答とし、今日は委員のほうの意見を全員から可能な限り聞く場とする。

○今学校の先生方が若くて、部落問題を学習する機会が少なく、内容が分からないとか、子どもたちにどう指導してよいか分からないという先生方がとても多い。児童生徒にはきちっと教師が指導すると書いてあるが、教師の学習が積まれておらず、きちっと教えていないのではないか。学校の先生方の教育はどのようになされるのか。
 資料2の4ページの「企業内人権啓発推進事業」では企業人権啓発相談員2名が企業を回って推進しているとのことだが、成果と課題が分からない。成果と課題も記載してほしい。

○資料1の3ページの「精神障がいのある人に関する施策の充実」は、平成27年と28年は実績値の記載があるが、29年だけ未集計になっているのはなぜか。

○精神障がいや知的障がいの方の施設を作ろうとした場合に地元住民の反対運動が起こってなかなかうまくいかない現状がある。そういうことに対する施策がもっと必要ではないか。

○資料1の2ページの「就労継続支援B型事業所の平均工賃」の実績は平成26年から28年まで横ばいだ。ひと月当たり33,000円という目標値はとても難しいと感じている。なぜ横這いなのか分析して教えてほしい。
 平均工賃の算出方法において、通所頻度に関わらず1人は1人とカウントするため、事業所としては毎日来てもらうと平均工賃が上がる仕組みで、毎日来られる人が優先されないか危惧している。報酬改定で、たくさん工賃を出した事業所がより多い報酬をもらえる仕組に変わったので、なおさら心配だ。
 資料2の17ページの「障害者差別解消に向けた取組」に関して、差別が起こらないように、特に民間企業に働きかけてやっていただきたい。

○資料2の6ページの「(2)啓発・支援体制の充実」で、男女共同参画推進員設置費の予算額が平成30年度にどうしてこんなに減ったのか。たぶん推進員制度を使う人が減っているためだと思うが、これはとても大事な制度なのに、ここ数年この制度のPRをほとんど聞かない。施策としては女性活躍推進ということで一生懸命取り組んでいるが、皆さんの男女共同参画に関わる意識は変わっていない。そうすると誰かにしわ寄せがきている。意識啓発と制度の両輪が回っていかないと暮らしやすい社会にならない。誰かが人権侵害を受けることになる。これはとても大事な制度だが、皆がこの制度のことを知らず残念。工夫してPRしていただきたい。
今年は5年ごとに実施する意識調査の年なので、その調査を待って、ほんとうに今の施策のやり方が皆さんに届いているのか、どのように変化しているのかをよく検証してこれからの施策に生かしてほしい。

○認知症で徘徊があったとしても、安心して徘徊できる町づくりを考えたほうが良いのではないか。米子市でされている、徘徊された方を町ぐるみで探していきましょうという取組が鳥取市でもあってもいいと思う。
 発達障がいのお子さん等への関わり方について専門職が訪問してアドバイスする事業を行っているが、これを受け入れる学校と受け入れない学校がある。外部の専門家と一緒に考えることを学校の先生方に受け入れてもらえるような取組ができたら発達障がいのお子さん等に対してもっといい支援ができると思う。学校の先生方に対するこの事業の取り扱い方の講習なども企画されるといい。

○元気で一人暮らしのお年寄りは一日中誰とも話をしないことがある。今やっている施策はそのまま進めつつ、公民館で事業があってもそこまで出かけていけない方がいるということを頭において、そういう会話するチャンスがない方をうまくフォローする方法を考えていかなければいけない。

○目標数値を掲げて年度の実績と合わせて進めるのであれば、まず実態把握ができてないといけない。たとえば成年後見制度に係る高齢者、障がい者それぞれの指標、障がい者に係る相談件数、差別事象件数、介入内容と件数、障がい者の虐待の件数などが必要ではないか。
その上で数値をどう解釈するかという問題が出てくる。たとえば虐待の通告件数の増は県民の意識の向上を表す一方、虐待の認定件数としては少ないほうがいい。
 前回協議会後に送付された「意見・要望に対する対応」の中で、成年後見制度利用者数の目標値設定に関する私の発言内容の記述が不十分だ。先進諸国では利用者が総人口の約1%で、日本なら120万人程度が目標となるが、最高裁の統計ではその1/6の21万人が利用者となっていることを記載して残してほしい。

○子どもの虐待の全国での相談対応は12万件超。鳥取県の対応件数は381件。そのうち全国統計の12万件に入っているのは80件程。これはどういうふうに整えていくのか。全国の件数と鳥取県の件数とを比べることができない。
 資料1の4ページに「9 体罰防止に向けた取組の充実」があるが、体罰はないのが当たり前であって、これを「人権施策」と言うのか疑問だ。「当たり前のことができていません」という宣伝で、実際そうだが、これを人権施策だというのは、さきほどの教育を受ける権利の話と同じような疑問が湧いてくる。
子どものこと、家族のことを考えていくとこの項目のすべてが関連してくる。「同和問題」とか「男女共同参画に関する人権」などと区分けしてあるが、横断的な総合的な人権施策の基本方針をあらためて見直してほしい。いわゆる縦割りで、障がい者、高齢者、DVなどと別々に議論されているのではないか、ということを協議会としては問い詰めていかねばならない。

○病気に関わる人の人権について、病気とは難病だけではなく他の病気もあるのではないか。資料1の5ページの「7病気にかかわる人の人権」の「2相談体制の充実」では、がん患者と肝疾患患者の相談件数が記載されているが、これが「人権」とどのように関係していくか、指標としてどう実態とつながっていくかが見えづらい。
エイズとか難病とかハンセン病以外の様々な病気について広げていけたらいい。

○ハンセン病問題に関して、資料2の65ページの「H29年度実績」の1番上に「ホームページ、…(略)…研修等の機会を通じて周知した。」とあるが、この周知は「連絡した」とか、ただ「伝えた」みたいな感じだ。周知したことの実績と問題点が見えてこない。「H30年度取組」でも同じことで「周知」と括ってある。下の小地域懇談会への支援とかPTA人権研修会への支援なども同様だが、それらの実績と問題点を知りたい。それを踏まえて30年度の取組を考えてほしい。強制力がないので「周知」という言葉でどうしようもないのかもしれないが、それを承知の上で発言している。
 その下の「ハンセン病学習会」について、ハンセン病を学習するのではなくてハンセン病の問題から見えてくるいろいろな人権問題を学習するのだともう何年も前からこの会で言っているが一向に改善されない。平成29年度実績が29校となっていて、ここにも問題点があるが、この数字だけでは分かりにくい。
 67ページの「(4)ハンセン病回復者等への支援」の「伝統芸能の派遣」と「里帰り支援事業」は「平成29年度実績なし」で、30年度も同じ事業があがっている。ハンセン病の療養所に入所している鳥取県出身の方はだんだん少なくなり、現在10名未満ですごく高齢になっている。里帰り支援事業をこのままずっと続けていいのか、もうちょっと方法を考えられないか。
「療養所訪問等事業」には本当に入所している人たちの思いが入っているのか疑問だ。

○資料1の5ページの「7 病気に関わる人の人権」の「2 相談支援体制の充実」では、がん、肝疾患、エイズ以外の病気についても「その他の疾患」などとして相談件数が掲載されると良いと思った。
HIVに関する相談の中には性的マイノリティーの問題に深く関わる場合もある。資料2の77ページの性的マイノリティ(LGBT)研修会に医療機関で働く職員も加わり一緒に勉強していきたい。

○医療従事者はとても大事だ。一例として、県立中央病院は現在建て直し中だが、様々な人権課題について配慮していて、性的マイノリティーについてもハード面、ソフト面両方のことを考えている。誰もが入りやすい病院、使いやすい病院を念頭に、トイレのマークの見直し、多目的トイレや個別で使える更衣室などのハード面の準備をし、看護師や受付窓口の事務職員向けの研修も実施されている。誰でも病院に行くことはあるが、性的マイノリティーの人たちは保険証の性別と自分の今とが違うとか、同性パートナーの場合に説明を受けられないなど、重要な場面で様々な困難さを抱えている人は多いので、この病院のような例が今後も増えていくことを望む。

○犯罪被害者の人権に関して、被害者支援センターの課題が二つある。一つは周知不足。全国のネットワークの主導ですべての広報媒体で被害者支援センターを広報しているが、アンケートでなかなか「見た、聞いた」という結果が出ていない。二つ目は、外国人の被害者支援。鳥取の被害者支援センターで日本語を話せない外国人の被害者支援は困難だ。支援員(ボランティア)も職員も外国語が話せる人がいない。
 支援件数の目標値を設定することは疑問。支援件数はゼロ、つまり犯罪被害がないのが理想で、他の県も設定していない。ただ、犯罪の発生件数に比べて被害者の相談件数があまりにも低い、潜在的な要相談者がいるという現実があり、相談件数を増やしたい。

○職場における人権問題については、資料2の97ページの「企業内人権啓発推進事業」が一番重要だと思う。日頃の相談の中で、企業でのセクハラ、マタハラ、パワハラ、モラルハラスメント、障がい者がハラスメントを受けるとか孤立するというような相談がすごく多い。そんな中で県の施策としては、予防とか意識啓発を企業内で進めていくことがとても重要だ。県では年間3回研修を実施し今年も2,700か所の企業の参加を目標としているが、参加して終わりになっているのが実態ではないか。人権啓発推進員は設置して研修会には出ているが、それを企業の中で展開していくことが不十分なので労働相談も減らないし、人手不足のために一人に対する弱い者いじめがすごくきつくなってくるのではないか。それは企業としても労働力の損失につながる。病気や子育てや高齢など、多少のハンディーがあっても働いてもらえるような環境を整えていくには、人権啓発推進事業が重要だと思うので、これまで以上にもっと工夫のある事業展開を期待したい。

■いただいた意見については次回の協議会あるいは後日文書で回答してもらう。実態把握の調査内容をきちっとしたものにして根拠を明確にしないと、しっかりした施策にならないと思う。事務局は、今日出た意見を受けとめ、回答なり具体的な施策につなげてほしい。

○前回の会でお願いした件がどうなったのか。たとえば本人通知制度を全市町村で事前登録不要とする件は、この数か月間にどういう論議がされたのか。それから、旧優生保護法の問題の担当部署を聞きたい。
角界で起こった事件や信仰と女性のケガレの問題など、今までの因習風習による根強い女性差別に対してどういうかたちで進めていくのかということが今日の資料には無い。こういう問題についてどこに相談して良いか分からない。人権の講師団の中に対応できる人がいるのか知りたい。
ハンセン病療養所訪問は参加者が少なくなっている。平日でなく休日だったら子どもを連れていけるのに、という声も聞く。そういう具体的に課題として上がってきたものに対しそれぞれの課がどういうふうにされたのかがとても気になる。
 そういうところに全部つながっているのは、県民がどれだけそういうものに関心を持ってできたのかというのが啓発の最も大切なところなので、そういう丁寧な発想を示してもらうことと同時に、我々も自分のジャンルだけでなく広くこのことと自分の分野はどうなのかということを語っていきたい。
 部落差別解消法、障害者差別解消法、ヘイトスピーチ解消法等の法律ができた後に各行政機関がどういうふうに施策を進めているのかをこの会議で示して欲しい。

■本日各委員からいただいた意見は事務局で今後の施策の参考なり具体施策に反映されたい。

○外国人の相談がないが、相談があった場合には多言語に対応することができているのか。
また、類型別では「子ども」「女性」などと分けられているが、性的マイノリティーの方に配慮した相談の受け方であるとか類型別に分けるときに配慮されているのか。
●類型に分けるのが非常に難しい。一つの相談が「女性」、「障がい者」、「子ども」に関わる場合もあるし、LGBTも他の類型と重なるので、「この相談はこれ」と一つの類型に当てはめるのは難しい。
 外国人の方については、相談される場合は事前に予約してもらい、国際交流員や国際交流財団に協力を仰ぐ形になると思う。

■以上で本日の審議を終了する。

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