- 鳥取県人権尊重の社会づくり協議会 -
平成30年度第2回鳥取県人権尊重の社会づくり協議会会議録
開催日時平成310207日(曜日) 10:00 AM 12:00 PM
開催場所県庁議会棟3階
特別会議室
出席者名アベ 山田 マリア ルイサ; 荒益 正信; 井上 菜穂; 今度 珠美; 太田 ちひろ; 川口 勝; 川口 玲華; 河原 道弘; 児島 明; 繫原 美保; 薛 末子; 竹内 良一; 中瀬 香里; 西井 啓二; 福安 和子; 船本 隆徳; 松村 健司; 松村 久; 三谷 昇; 山本 充延; 山本 充延 (以上21名)
議題(1)協議事項
  鳥取県人権施策基本方針(第3次改訂)のフォローアップについて
(2)報告事項
  差別事象検討小委員会の開催概要について
問い合わせ先総務部 人権局人権・同和対策課
0857−26−7590
その他(1)公開又は非公開の別
公開
(2)傍聴者数
0
(3)その他(会議資料等)
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会議内容:
■:議長発言、○:委員発言、●:事務局発言、△:関係課発言

議事
協議事項  鳥取県人権施策基本方針(第3次改訂)のフォローアップについて
● 資料1により説明

○ 旧優生保護法の問題については「補償しました、はい終わり」ではなく、このことの根底に流れている優生思想によって障がいのある人たちが端に追いやられてきた歴史を人権教育の中でしっかり伝えていかなければならない。やまゆり園の事件を擁護するような書き込みも見当たるが、それは絶対あってはならない。生徒にしっかり教育してほしい。

○ 資料には各事業の予算額が記入してあるが、それに見合ったマンパワーが手当てされているのか。学校の教育現場の先生と生徒に何らかのしわ寄せがいかないか心配だ。
県職員に対する単位制研修などは「国家権力や行政権力というものは権利侵害をするものだ」という自覚を促すテーマでも実施していただきたい。

○ 人権に関わる法律は変わってきているので、警察職員や消防職員への研修は、初任者だけでなく中堅職員にも必要だ。
参加型学習をするのはとても大変だ。きちんと行えば効果があるが、日々の素地がないところに突然専門家が入ってやってもなかなか難しい。県内で参加型学習を推進していけるようにしっかり検討していただきたい。

○ 警察官に対する教育は初任科教養だけではない。法制度が変わる度に周知されるし、昇任の度に警察大学校(東京)や管区の警察学校で1〜2週間から3か月ほど学ぶ。行政機関や民間企業も含め、頻度・期間・内容面において警察官に対する教育が最も充実していると思う。

○ 「看護師、保健師を対象とした研修の中で、看護倫理等の人権に関する研修」は、看護師を派遣する小規模の事業所にも機会を与えてもらいたい。今後、在宅が増えればますます必要だ。

○ 子どもの分野で、たとえば児童発達事業所とか放課後デイサービスの事業所の職員は人権の啓発や教育を受けられる状況でないと聞いている。そういった所にも広げていただきたい。
人権啓発ラジオCMはどの辺りの年齢層をターゲットにしているか。高齢の方が対象ならラジオでも良いが、もっと幅広く考えるなら他のものを使う方が良い。

△(人権・同和対策課)ラジオのターゲットは通勤時間帯の青壮年層や家で作業をしている人。これだけですべてがカバーできる訳ではないので、それぞれ色々な方面にやっていきたい。

■ 県職員の人権意識の状況は把握されているか。平成32年度に行う予定の県民の意識調査と併せて行っても良いが、行政職員の意識を把握しておくことが大事だ。

○ 男女共同参画についてはなかなか進んでいない分野がある。特に農林水産の分野。農業大学校や農業高校などで家族経営協定やワークライフバランスなど、男女共同参画に関する意識について伝えることが必要。特に進まない分野をどうしていくかを考えていただきたい。

○ 障がいのある人の人権の農福連携推進事業は取組が始まってから随分年数が経つが、現状はどうか。進んでいるのか。

△(障がい福祉課)今数値を示せないが、農福連携を含む県内の就労継続支援B型事業所では、工賃が平成29年度の実績で1万8千円を超え過去最高で全国で高い方から9番目。農福連携だけではないが、障がい者の働く場は大変増えてきている。農福連携に限ると、作業所だけではなく特例子会社のような取組で一般就労も広がっている。具体の数値等については質問された委員に個別に説明したい。

○ 就労継続支援B型事業所では高い工賃を出しているところに加算が多くいく仕組みだ。工賃を上げることも大切だが、どのような支援を行うか、支援の中身が重要だ。工賃だけを重視することは無理な仕事の強要につながる心配がある。数字も大事だろうが、指導の際には支援の中身を見ていただきたい。

△(障がい福祉課)次の報酬改定では支援の中身に対する評価が報酬に反映されるよう国に要望している。

○ あいサポート運動が始まって数年経つ。効果測定をすべきではないか。登録者数だけでなく、障がい者があいサポート運動でどのように良かったと思っているのかを把握できたら良いと思う。

■ 当事者が満足しているかどうか、支援をする側の数ではなくて、その質を問うというのは大事な視点だ。

○ 「障がいのある方(身体・精神)の採用(県職員)」には「知的」がない。「教員採用試験における身体に障がいのある者を対象とした選考」では「身体」のみだ。「県教育委員会における障がい者就労支援事業」の説明では「精神障がい、視覚障がいの非常勤職員の任用」とわざわざ「非常勤職員」と記載している。それぞれどういう意図か。

△(総務課)県職員の採用について「知的」の記載がないのは記載漏れ。平成29年、平成30年の採用者には知的障がい者もいる。平成31年4月採用の知的障がい者・精神障がい者対象の試験も実施した。

△(教育総務課)学校現場の教員採用試験において、現在は身体障がい者のみ実施しているのが実態だ。知的障がい者と精神障がい者については事例があるかどうか、他県の状況等も参考にしながら、検討をするかどうかも含めて担当課に伝えたい。
  「県教育委員会における障がい者就労支援事業」の中の「精神障がい、視覚障がいの非常勤職員の任用」については、現在、非常勤職員として雇用してワークセンターを作っているのでそのような表記をしている。

○ 成年後見制度の利用者が少なく、平成28年に成年後見制度利用促進法が施行されたが、問題はニーズに対して受け皿がどうかということ。県内3センターではずっと市町村社協に法人後見に取り組むよう働きかけているが、なかなか進まない。ネックは人材の問題と金の問題だ。市町村社協が法人後見に取り組むに当たり、県による補助、助成を考えられないか。
  個別の相談が相談機関に来たとき、司法、医療、介護などいろいろな分野が一同に集まって、個別のケースについてきちっとアセスメントをして支援の方針を立てる仕組みが必要だが、現状は分野ごと制度ごとに縦割りになっていて連携ができていない。実際にサービスを行うのは市町村だが、県は市町村を指導する立場で、そういうふうにサービスを利用しやすくすることについて、どんな検討がなされているか。

△(福祉保健課)法人後見について、県としては東部・中部・西部の後見支援センターを設置し、そこで市民後見人の人材育成に力を入れていただいているところであり、直接市町村社協に補助金の交付はしていないし、今のところ考えていない。社協が後見をしたときにはいくらかの報酬が入る。補助金の必要性について市町村とも話をしてみたい。
  連携の問題については、以前、厚生労働省が「我が事・丸ごと」の地域づくり(自分のことのようにいろいろな相談を引き受ける)ということで市町村に総合的な相談窓口の設置を進めようとしたが、残念ながらあまり進んでいない。縦割りの仕組みを横につないでいくことは今後も県として市町村に働きかけていきたい。

○ 子どもの人権のネットパトロール事業は、県内の子どもによる書き込みをチェックするものだが、書き込みをした本人ではなく、差別的な書き込みを見た子どもたちが学校や地域でそれに連動した発言や行為をするという状況はあるか。また、ネットパトロールで指摘を受けた事例(県内の子どもによる差別的な書き込み)はあるか。

○ 子どもの人権施策は市町村では1人か2人でやっている。その現実を考えれば、たくさんのメニューや活性化、補助金を交付してもあまり現実的でない印象だ。まして、一つ一つの事業所にどうやって行き渡らせるかは大きな課題だ。
どんなにいいメニューがあっても、学校では校長先生の裁量次第だという印象だ。教育委員会がトップダウンでなにかをさせるのは難しいと聞いている。どうしたらいいのか。なにかいい方法を考えないといけない。

■ たくさんのメニューがあるが受け皿となる市町村が消化しきれるのか、という指摘だが、ここで精査できないので事務局と関係課で検討されたい。

○ 高齢者の人権で「各学校において…高齢者の話を聞いたり交流したり…高齢者から学び、そのよさに触れる学習を進める。」とあるが、実際はどのくらい実施されているか。どのような形で実施されていてどのような効果が上がっているか。
  「認知症支え合い運動事業」について、「認知症高齢者等SOS・サポートネットワーク推進事業」とも関連するが、認知症の人が外を歩いているのを近所の人が見たらすぐにピンとくるのが望ましい。しかし現状は、認知症の人の家族が、身内が認知症だということを公開しづらい状況で、そのようになっていない。公開しやすくする仕組み、地域の方とうまく連携ができる仕組みを作ることが望ましい。
「いきいき高齢者クラブ活動支援補助金」に関連して。年々、グラウンドゴルフの協会の加入者が減っている。しかし、地域でグラウンドゴルフをやる方は増えている。どういうことかというと、自動車運転免許の返納を促す取組が進められており、返納すると会場に行く手段がなくなってしまい、退会される。福祉バスの活用など、自分で運転して会場に行かなくても参加できる仕組みがないと難しい。
病院に行くのも大変だ。病院で払う額よりも交通費の方が高い人もいる。バスで行ける人はまだいいが、バス停まで歩いて行けない人はタクシーを使わざるを得ない。この辺りの補助も検討いただけるとありがたい。相乗りすれば、という意見もあるが、受診場所・曜日等がなかなか合わず相乗りも難しい。

△(教育総務課)学校における高齢者との交流は、学習指導要領に謳ってあることもあり、ほとんどすべての小学校で行われている。

○ 入管法改正の目的は労働力確保であり、外国人の人権について様々な問題が生じるだろう。実態に即した施策が必要だ。人権の問題の基軸として「やって来るのは人間であって労働力ではない」ということを行政の方には銘記してほしい。それを基軸とした具体的施策を考えてほしい。そのためには過去の歴史や近年の労働実態を精査することも必要だ。

○ 「外国人総合相談センター(仮称)」について、今まで相談センターを設けてもほとんど相談が寄せられない実態を考えると、これはどういう形のものになるのか疑問だ。「外国人の方に寄り添った多文化共生の取組を推進するため」とあるが、「寄り添う」とは一体なんなのか。「多文化共生ネットワーク会議」があり、それを推進する会議も作るけれども、その成果が今まで現れていないと思う。受け入れていく私たち自身の意識がどう変わったかが、来られる人に対する対応の最も根幹だと思うが、残念ながら資料の中にはほとんどない。その人たちが日常、住民・市民として生きていくためには何が必要かを地域の人たちといっしょに考えていくということがここの中に表われていない。多文化共生ネットワーク会議に当事者(10年、20年あるいは戦後から日本に住んでいる外国人の方)の参画が必要だ。
外国人の子どもや外国にルーツを持つ子どもの支援は、日本語指導だけではなく、周りの子どもたちとどう共生していくのかを指導できる教員の研修・配置を教育委員会にお願いしたい。
国籍要件を設けない県職員の採用試験や教職員の採用は以前から行われているが、近年の実態はどうか。

○ 「外国人総合相談センター(仮称)」について。現在、国際交流財団のベトナム語の通訳支援は1名、週1回で運営している。4月以降ベトナム人が増えると聞くが、2名の新規配置で大丈夫か。
外国人の人権についてはたくさんの施策が組まれていて、国際交流財団経由で実施されるものが多いと思うが、もう一度県と財団とで協議をして精査する部分が出てくると思う。
数年先も見据えた上で、日本語支援のみではなく、外国語の教員採用枠を考えていく必要がある。

○ 病気にかかわる人の人権の「(1)教育・啓発の推進」で、学校教育、社会教育、HIV・エイズについては「偏見や差別をなくす」「偏見や差別の解消」と書いてあるが、ハンセン病問題の欄にはそのことがない。「ハンセン病を正しく理解する」「ハンセン病問題に対する県民の理解を促進します」と書いてあり、それはとても大事なことだが、それだけだと「可哀想な人たち」で終わってしまいがちだ。一番の大きな目的は差別の解消だ。そのことをここに加えてほしい。

○ 外国人の子どもに対する日本語指導が重要であるのは間違いないが、その先にどういうことを見据えての日本語指導なのか。日本語指導そのものが目的ではなく、いずれ進学や就職をして人と関係を結ぶことを考えた日本語指導であることが重要だ。
外国人の子どものことが全部、日本語指導に関わる教員に丸投げにされてしまい、子ども同士を切り離してしまう状況が生じている。日本語指導の教員と他の教員との協働をどう考えていくかも重要だ。

○ 性的マイノリティの人権の31年度の新規事業として「教職員研修用プログラム作成」と「児童生徒への指導資料作成」があるが、すでに良い教材(DVD、本)がたくさんある。その情報を整理して学校の先生に伝えること、今ある良いものを活用することが大事だ。学校の先生はとても忙しく、ただ「やりなさい」と言っても無理だと思う。
学校の先生たちの中にも性的マイノリティの人はいる。今の学校現場は、その人たちが安心安全に働ける職場でないと思う。そのような状況で教育を進めていくのは難しいだろう。先生たち自身が安心安全に働ける職場にすることも視野に入れてほしい。
鳥取県内には性的マイノリティに関する講師が非常に少なく、今の啓発のあり方では講師がつぶれてしまう。DVDなどの教材の活用や、県外の講師に来県してもらう際には何か所かで講演してもらうなど、うまく啓発をしていける方法を考えてほしい。
今の啓発の方向性は「私たちとは違う可哀想な人たちを理解してあげましょう」というスタンスのようで危惧している。「自分たちと同じ人」という視点で考えてもらいたい。
啓発だけでは不十分だ。啓発によって批判やからかいが生じることもある。啓発と併せて、安心して相談できる環境づくりや居場所づくりが大切だ。相談に対しては医療機関や法的な専門家による支援が必要なこともあるから、そういう専門機関との繋がりを具体的にどう進めていくか考えていただきたい。
  トイレをユニバーサルデザインにすることは大切な観点だ。学校だけでなく、行政機関や公的施設でも検討していただきたい。公の文書の性別記載欄やアンケート欄の見直し、「夫婦」などのことばの定義の見直しも行政がすべきことだ。
働くことの困難さから貧困に陥ることもあるため、資料にはないが、企業への啓発は非常に大切だ。

〇 インターネットにおける人権で、情報教育サポーターの派遣が今年度で終わるのは、毎年度文科省が実施する「学校における教育の情報化の実態等に関する調査」において、鳥取県は「情報モラルなどを指導する能力」が毎年最下位であるために効果がないと判断されたためだが、前年値からの伸び率は全国で一番高く、今まさに向上しているところであり、打ち切られるのは悔しい。
民間の調査結果では、親子のネットリテラシーが鳥取県は第3位、子どもは第2位で、子どもたちは情報モラルの知識やリテラシーに関しては非常に高い知識が備えられてきている。鳥取県の子どもたちのネットトラブルや人権侵害などの件数は非常に低い。文科省調査の結果は、学校での情報モラルの指導能力に係る教員の自信のなさが現れているのではないか。であればこそ効果がないと打ち切るのでなく、この伸び率が高い段階で、先生方に自信を持って指導していただけるような施策を継続することに意味があると思う。
ペアレンタルコントロールの普及に一番有効なのは、入学説明会で全ての入学生の保護者に説明をすることだ。

■ 県の各担当課は平成31年度事業をもう一度検討し、予算措置し、4月からスタートしていただきたい。協議事項については以上とする。

報告事項  差別事象検討小委員会の開催概要について
● 資料2により説明。

■ 今の説明についてなにかあればどうぞ。

(なし)

■ 以上で本日の審議を終了する。

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