- 鳥取県人権尊重の社会づくり協議会差別事象検討小委員会 -
令和3年度第1回差別事象検討小委員会会議録
開催日時令和30727日(曜日) 01:00 PM 02:00 PM
開催場所とりぎん文化会館(鳥取市尚徳町101−5)
2階 第3会議室
出席者名荒益正信; 池谷千恵; 北村秀徳; 松田博明 ; 山本真輝 (5名)
議題
(1)委員長の選任、委員長代理の指名について
(2)会議の公開、非公開について
(3)県内で発生している差別事象について
(4)その他
問い合わせ先総務部 人権局人権・同和対策課
0857-26-7073
その他(1)公開又は非公開の別
公開
(2)傍聴者数
1
(3)その他(会議資料等)
当日資料PDF.pdf当日資料PDF.pdf

会議内容:

■議事1 委員長の選任、副委員長の指名について
 ・事務局が荒益委員を委員長とする案を提案し、委員からは異議なく承認。その後、荒益委員長が副委員長として北村委員を指名した。

■議事2 会議の公開、非公開について
 ・事務局から非公開としたい議事はない旨を説明 → 委員からは異議なし

■議事3 県内で発生している差別事象について
○県立高校生徒による授業中の同和地区に関する発言
 <発言内容>
 教員(授業者)が、江戸時代が循環型社会として優れていたことを押さえるために、鋳掛屋・たが屋等のリサイクル関連の職業を板書していたところ、生徒Aが「被差別部落」と発言した。
 教員が「どういうこと?」と言うと、続けて「○○(同和地区)」と発言した。
【主な意見】
・鋳掛屋・たが屋といった職業が被差別部落と繋がってしまうということがどういうことなのか。変わった職業、どちらかというと皆が嫌な職業を目にしたとき、部落に繋がってしまう。
 そういったことが部落に対するマイナスイメージ、忌避意識に結び付くようなことになってはいけない。生徒の認知経路をしっかり読み取ることが重要となる。
・生徒Aが小学校・中学校でどういう指導を受けて、どういう認知をしたのかを把握することで、次の学習を進めるうえでの留意点が明確になる。
・こういったことが起こるのは、高等学校だけの問題ではない。小中学校の指導にも関わるので、出身の中学校との連絡体制が大事。連絡会等でこうした事例があったということを
 きちっと中学校に伝えていくということが必要である。
・こういう場合は、授業をその場でストップさせて、今彼は板書された職業の名前を見て、すぐに被差別部落に繋げた発言をした。そういったことを公の場で発言することは差別につながるが、
 このことについてどう思うのかということを学級の生徒全員で考え、共有することができていればよかった。そこが残念である。
・学習を指導する教員としては、もしも自分の担当している授業でこういった場面が出てきたら、どうすべきなのか掘り下げて考えることが必要。今後の教訓として、差別発言等があった場合、
 教員自身が教育的に考えてどうしたらいいのかという心構えを持っておくことが必要ではないか。
・今回は保健の授業であったが、本来であればすべての科目について人権の視点に立った教員の共通認識が必要だと考える。
・こういった場合、教職員の認識に基づいた取組を検討することが大事となる。該当の先生が、生徒Aだけではなく、同じクラスの生徒B(部落出身)の家にも出向き、家庭で実際にどういう話
 があったのか等をきちんと受けとめているのかどうかも大事であり、教職員研修をやっていく場合でのポイントとなる。

○鳥取ループ講演会、インターネット上の人権問題について
・県内企業が計画した同和問題をテーマとした講演会の講師として、「全国部落調査」復刻版出版事件や「部落探訪」と称してインターネット上に全国各地の被差別部落の写真・動画等を掲載
 するなどの差別行為を繰り返している者が登壇予定であった。講演会は中止されたが、その後、同講演会がユーチューブで配信された。
・インターネットのGoogleマップに、「鳥取県内の同和地区施設(被差別部落)」と題して、県内の同和地区に関する施設の所在地を地図上に表示したものや、「【学術】部落研究」と冠して、
 鳥取県内の被差別部落を含む全国各地の被差別部落を撮影した動画(部落探訪)が動画共有サイトに掲載されており、これらについて、法務局、県、関係市町、部落解放同盟等が、
 プロバイダー等に削除要請を行ったが削除されていない。

【主な意見】
・ネット上の誹謗中傷に関する加害者の特定については、プロバイダー責任制限法の改正で、若干迅速化は図られたが、裁判には費用や時間がかかる。被害にあった場合、どうしたらよいのか
 を学生と話したことがあるが、無知な学生が多く、泣き寝入りする子がほとんどである。学校教育でもこうした問題を取扱っていく必要があると感じる。
・インターネット上の人権問題は、罰則規定がないことや表現の自由とのせめぎ合いが悩ましいところ。
・インターネット上で誹謗中傷が出やすい背景として、匿名という環境がある。ネット上であってもface-to-faceのときと同じく自分の発言に責任を持つという姿勢が必要だが、どうすればよいのか
 難しい問題である。
・被差別部落の動画をアップするなどの行為は、かなり問題だという印象があるが、表現の自由等の関係もあり、掲示板等の管理者もなかなか自主的に削除することが難しい状況なのかなと感じた。
・兵庫県の丹波篠山市で地元の市が削除の仮処分を申し立て、認められた事例もあるので、プロバイダーへの削除依頼の際にそのことを伝えるというのも1つの手ではないか。
・ネット上では差別事件や差別扇動が横行している。ネット上の同和問題に関する情報は多くの点で誤っている。その誤った情報、フェイク情報が一瞬にして社会に拡散されてしまうという危険がある。
・本県だけではなく、他県や他の自治体あるいは運動団体と連携して、ネットパトロール等を行い、削除要請できるものはどんどんしていく、また、法整備も含めた実効性のある救済制度を早急に確立
 することを国に積極的に働きかけていくというようなことしかないのでは。


【参考】差別事象検討小委員会について
@目  的:鳥取県内で発生した同和問題など人権に係る差別事象の正確な実態把握と原因や背景の分析及び対応策並びに今後の効果的な啓発方法の検討を行う。
A位置づけ:人権課題について広くかつ専門的に議論いただいている鳥取県人権尊重の社会づくり協議会の小委員会と位置づける。
B委  員:近年の新たな人権問題であるインターネット上の人権問題に詳しい委員や、現場に密着した法律家、活動の実践者や有識者で構成するとともに、活動に機動性を持たせるため、
        26名の協議会委員のうちの一部の委員(6名)で組織する。
Cそ の 他:検討結果を上部の組織である協議会へ報告する。

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