- 差別事象検討小委員会 -
平成28年度差別事象検討小委員会会議録
開催日時平成280722日(曜日) 01:30 PM 02:30 PM
開催場所とりぎん文化会館(鳥取市尚徳町101−5)
2階 第4会議室
出席者名アベ山田マリア ルイサ; 荒益 正信; 今度 珠美; 下吉 真二; 山本 誠代(以上5名)
議題(1)会議の公開、非公開について
(2)差別事象について
(3)その他
問い合わせ先総務部 人権局人権・同和対策課
0857-26-7073
その他(1)公開又は非公開の別
公開
(2)傍聴者数
1
(3)その他(会議資料等)
H28.7.22小委員会資料(表紙、議案1、議案2、その他).pdfH28.7.22小委員会資料(表紙、議案1、議案2、その他).pdf

会議内容:
■議事1 会議の公開、非公開について
 ・事務局から非公開としたい議事はない旨の説明 → 委員からは異議なし

■議事2 差別事象について
 県人権局に報告のあった差別事象2件(差別落書き1件、電話での同和地区の問合せ1件)について、事務局から報告し、対応等を協議した。

1 差別落書きについて
<議事要旨>
・差別落書きを書かれたのは公の施設。従前にもこういう事例が何件かあがっている。落書きを書かれた現場をクローズして上司に報告するなどが必要だったのではと感じる。当該施設はその後職員等に対する研修を重ねておられるようなので、それは今後につながると思うが、今回の反省から改善していかなければならないと思う。

・同様の施設でも以前に差別落書きがあって、差別落書きかどうか自分自身で判断が難しい場合であっても、現場を閉鎖し上司に報告し、関係者に集まってもらってそれを判断するという対応マニュアルがあったはずなのに、なぜこのようなことになったのか?

(事務局)
→今回、差別落書きを発見した方が連絡した施設関係者は施設の契約業者の方だった。施設側は今回の件を受けて、施設に関係する外部の方々も含めて研修を行い、落書きがあった場合、内容にかかわらず施設の職員に報告するよう周知徹底された。

・今回の落書きでは差別的な言葉が使われており、これは明らかに書いた本人が部落差別だと承知したうえで記載している。何かに対しての不満としてこのような行為をしたと思われるが、そのことが人権、人の
尊厳そのものを傷つけることだということが分かる啓発活動を継続的に強化していくことが必要ではないか。今回のことを教訓に、何らかのかたちで施設自体が人権啓発を考えていく、施設職員だけが人権意識
を持つのではなく一般の利用者にも分かるかたちで、二度とこのようなことが起きないようにという施設側の意思表示をしていく取り組みも必要。

・いろんな方がいて、いろんな考え方があって、いろんなとらえ方がある。たとえば、小学校では4年生になると障がい者についての学習がある。学校に、車イスバスケットですごく頑張っている方が来られて、児童は、障がいがあっても頑張っていらっしゃる方がいます、という学習を受けた。ただし、その後、きょうだいに重度の障がいを持つ姉がいる児童が、家族に「ほかの人に、うちのお姉ちゃんは頑張っていないって言われた。」という旨の話をしたことがある。学校の趣旨としては障がいがあっても頑張っていることを伝えたかったと思うが、受け取る側には違った考えを持つ人がいることを思い知らされた。そのようなこともあり、いろんな方向からいろんな啓発や研修を考えてみてはどうかと思う。

・啓発も多面的な方向性を持ったものでないと、受け取る側はそう受け取らないという危険性もある。

・啓発事業の内容は「このようなものは許されない」という目線で語られるものもあるが、落書きを書いた人に向かって「あなたの心、悩んでいませんか?」という啓発のあり方もある。

・啓発の手法として一方的な禁止の方向で抑止するだけではなく、逆に加害者側の立場での心を揺り動かすような啓発の仕方、語りかけのような手法は、当事者が推測できれば可能だと思うが。

・属性というのは、私たちが一般的に想像するようなステレオタイプの人ではないので、おそらくこういうことをする人も、ごく普通の人ではないかと思う。今の社会構造の中で、自分は恵まれていないとか、自分はこんなに頑張っていても成果がでないなどと不満を感じ、その不満のはけ口として、偏見や差別の気持ちがうまれてくるのではと感じる。今回は、県の施設に落書きを書かれたということも大きな問題だと考えている。書いた本人もそのことは意識して書いたはず。「なぜ、ここでおきたのか」を考えることが大事。

・研修会も職員が入れ替わることも十分考えられるので、定期的に行う必要がある。

<まとめ>
・施設は異なるが、今まで同じようなことが発生している。他の施設にも徹底した対応等の研修を重ねることを周知していくことが必要。可能であれば、二度とこのようなことは許さないという施設側の意思表示をしていく取り組みも必要。

2 電話での同和地区の問い合わせについて
<議事要旨>
・この事象について補足すると、電話をしてきた方の年齢は50歳になったところ、ということだった。この電話の主は「自分が引っ越す」ということを言っているが、例えば、自分の身内などの結婚相手の身元調べの可能性もあるのではとも考えられる。

・結婚にかかる身元調査等のことも考えられるが、基本的には土地差別の問題。県や市町村の窓口に同じようなことが続く可能性もあるわけで、同和地区に対する忌避意識が大きな課題。

・昨年、鳥取市の公民館にも同じような問合せがあった。インターネットに書かれているものに誘発されて、行政に聞いてみるということにつながっているのではないか。

・このような問合せは人権侵害につながり、間違いだという意識を醸成していく。何が差別なのか、どんなことが人権侵害なのかを具体的に分かるようなものを県民に届けていくような取り組みが必要。何が差別
か、どのようなことが人権侵害かを知っていれば、ちょっとした会話のなかでもきちっとした対応ができる。県民一人ひとりが自らの課題だと当事者性を持って理解し、世論として形成されていくことが重要。

・差別をしている意識がなく、自分は偏見を持っていないと信念をもって発言している人に、あなたが考えている意識そのものが差別ですよ、と認識してもらうのは非常に難しい。

・地域に対する差別意識を持っておられることから、結婚相手の身元調べということもあるのかなと感じた。私が知っている事例で、外国籍で結婚を反対されているケースがあり、反対している人は悪いという気
持ちは全くなく、外国人はだめだと言い張ってしまっている。どうやったら考えを変えていただくことできるのかそのあたりが難しいところであり、今回の事象と共通する部分がある。

・人は自分に都合のよい情報しか受け入れない傾向があるので、都合の悪いことは遮断してしまいがち。事実ではない情報を耳にした際に、その情報だけがどんどん強化されていく。本人が信じている情報以外の情報も耳に入るようにし、具体的にこういう行為をすることは差別ですよ、と簡単な事例から挙げて、周知することを地道に繰り返すのが大事。

・大阪府が作成したようなガイドラインを作るのもひとつの方法。

<まとめ>
・何が差別なのか、どんなことが人権侵害に当たるのかが具体的に分かるようなものを県民に提示していく必要があるのではないか。同じような差別事象が続いているという実態があり、解決への方向について、県としてできること、あるいは県と外部機関とが一緒になって進めていけることについて、きちんと打ち出して取り組んでいただきたい。

■その他 差別解消方策の検討について
  平成28年1月の差別事象検討小委員会で提案した内容について、その後の国の動きなどを説明したうえで引き続き、委員に意見を伺った。

<議事要旨>
・もうそろそろ来年度に向けて動き出してもよいのでは。
・差別を受けた被害者の人権の救済はどうするのかという問題を忘れないようにしていただきたい。

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