鳥取県流行性感冒(スペイン風邪)新聞記事データベース

項目
内容
 資料番号2120
 発生時期大正8 ( 1919)年 2月8日
 旧郡名・旧市町村名等県内
 現市町村名県内
 発生区分
 記事見出し感冒予防通牒
 被害内容等目下悪性感冒は流行再燃し、その病毒はさらに一層猛威を逞くなりつつあり、死亡率も頓に増加しているため、本県ではこの際一般県民の自覚を促すため、次の予防心得を県下各郡市並に警察署長に通牒(つうちょう)した。1、住家の内外を清潔に掃除し、光線の射入を充分にする様注意する事。温暖な日には、なるべく戸障子を開放し、新鮮な空気と日光とに触れさせる様にすること。学校・寄宿舎・工場等、多数の集合する場所では、殊に一層の注意を要する。旅人宿・貸席等は、客なき間に必ず室を開放し、日光を充分射入させる様にすること。掃除に関しては、なるべく塵芥が立たない様に留意し、湿布を以て擦拭し、又は撒水の後掃除するのが良い。2、衣服の清潔に注意し、晴天の日には努めて衣服・寝具等を日光に曝す事。3、やむを得ない場合の外、多衆の集合する場所に立入らない様にする事。4、平素健康の者といえども、摂生を怠らず健康保持に注意する事。幼弱な者、高齢な者、平素呼吸器、心臓、腎臓等に疾病ある者は、殊に感冒に罹らぬ様に注意する事。5、咳嗽(がいそう)、噴嚏(ふんてい)時等には、布片・紙片等を以て必ず鼻口を覆い、唾液・鼻汁等の泡沫を周囲に飛散させない様に注意する事。4【原文ママ】、含嗽(がんそう)薬液(やむを得ない場合は単純な湯水、食塩水でも可)を用意し、就床前は勿論、時々含嗽する事。7、患者、又はその疑あるもの、並に咳嗽するものには接近すべきではない。患者のいる家を見舞う時は、なるべく玄関で挨拶するに止めて置くべきである。患者側は、訪問客を病室に案内すべきではない。8、頭痛、発熱、咳嗽その他、身体に異常ある時は必ず速に医師の診察を受け静養する事。風邪を軽視し売薬治療に委ね、あるいは外出し、又は身体を労する者が肺炎を惹き起こすことが多いため、注意する事。9、患者はなるべく日光射入の良好な別室に隔離し、看護人を一定し、猥りに他の健康者を病室に入らせない様にし、看護人は必ず呼吸器「レスピラトル」又は「マスク」とも称す、を懸け、病毒の侵入を防禦すべきである。使用した呼吸器は時々これを煮沸し、また、消毒薬を以て消毒するのでも可であるが、その後、日光に乾燥して再び使用すべきである。10、患者の咳嗽、噴嚏時等には必ず布片、紙片等を以て、その鼻口を軽く拭き、唾液、鼻汁等の泡沫を飛散させない様に注意する事。11、患者用食器は別にし、特に注意して清洗し、その汚水は下水以外に混入しない様に注意する事。12、患喀痰、鼻汁を拭たる紙片等は、焼却するか、又は少しばかりの消毒薬液(やむを得ない場合は普通の水でも可)を入れた痰壺その他、一定の容器に入れ、糞池に投棄すること。痰壺其他、不潔なる容器に触れた手指は消毒液、又は石鹸を用いてよく洗うこと。13、患者全治後、その病室及び病毒汚染のおそれのある物件は、医師の指示に従い、なるべく消毒する事、やむを得ない場合は病室を開放し、充分日光の射入を図り、湿布を以て拭き、洗濯できるものは洗濯する等、清潔保持並に乾燥に努める事。
 出典鳥取新報 年月日 19190208 号数 9657 記事掲載面 3
 備考