| 被害内容等 | 最近流行し始めた流行性感冒は益々悪傾向を来し、患者数は先年ほどではないが、かえって死亡率は増加しているので、内務省衛生局では、地震の震り返しよりもこの病気の再発の方が恐ろしいとか、用心に亡びなし、健康者も用心が肝心とか書いたポスターや、予防心得を集会場所に貼付し、あるいは配布して、専ら病毒の伝染予防に努めているが、本年8月、初発新患者218名の内、154名は北海道で、9月に入ってからの新患者は山梨、富山、福井の比較的寒い地方に発生しているので、未だ南日本には比較的少ない。しかしこれから冬季に向かうにつれて、関西地方にも伝播することは必定だから、ますます新患者は増加するばかりだろう。衛生局では語る、「一昨年及び昨年の例によると、11月上旬〜1、2月迄が最も危険な時節で、1月が一番死亡者を出している。一般的な傾向として、まだ本年は患者数は少ないが、病毒は悪化して死亡率がすこぶる多い。いよいよ流行時期の11月に向かうのだから充分用心せねばならない。集会場所や夜更けに注意して、かりそめにも風邪に罹らない様にし、伝染の源は咳やくしゃみであるから、これを等閑にせず、殊に学校、寄宿舎、工場、劇場等では清潔に掃除するのは勿論だが、天気の良い日に戸障子を開け放して日光消毒をしてほしい。日光消毒は簡単で効果が大である」、とのこと。 |