1 事業概要
鳥取西部における底引き網漁獲時に大量に混獲されるヒトデを有効利用するため、豚飼料として利用可能かどうか検討する。産廃処理業者がヒトデを乾燥・粉砕し、それを試験場及び農家において豚への給与試験を行い、機能性飼料として健康改善効果及び作用機序を検証する。
2 事業の背景・目的・効果
(1)事業の背景
底引き網漁の際に混獲されるヒトデは網から取り除くのに手間がかかる上、その処理においても漁業関係者間で問題化している。そこで今まで飼料として利用されていなかったヒトデを乾燥粉末にして母豚に給与し、血中Ca等の血液成分や繁殖能力に与える影響を検証する。
(2)事業の目的
ア.中小家畜試験場および養豚農家で未利用資源の飼料化とその給与効果を実証する。
イ.母豚の産後回復を早め、健康状態を維持することにより繁殖成績を向上させる。
ウ.試験場、農家、産廃処理業者、漁業者間でデータ等を共有し、県内養豚農家の生産性の向上を図る。
(3)事業の効果
ア.中小家畜試験場では未利用資源の飼料化による廃棄物の有効活用と、ヒトデに含まれるサポニン等成分は生理活性作用が認められ、給与した豚への健康増進が期待できることから、飼料機能性を実証し、それらを生産農家へ普及することによって農家の収入の安定確保が図られる。
イ.試験場と産廃処理業者と漁業者で役割分担を行うことでトータルコストが削減できる。
3 事業の内容
乾燥・粉砕したヒトデを中小家畜試験場及び養豚農家で繁殖母豚の飼料に添加して給与し、健康状態及び血中成分に及ぼす影響を調査する。農家にて繁殖に関するデータを収集し、給与効果を検討する。
4 年次計画
5 これまでの成果
平成18年度の予備試験においてヒトデを肉豚に給与したところ、血中カルシウム濃度が上昇し、リンが低下するなど、血中成分が正常値に保たれた。これらのことから健康維持に効果があると推測された。また、水産試験場とは平成20年度の「海の美味しさ発見調査事業」の中の新商品開発基礎調査、海底未利用資源の機能性成分測定のサンプリングのために漁獲したヒトデの一部の提供を受ける等の連携をしている。