1 事業内容
○研究のなされていない光触媒による水質浄化手法の開発研究
○湖水を対象とした室内実験により、次の事項を検証
・湖水中の難分解性有機物の分解性
・有効な分解率のための必要な条件:接触時間、必要面積など
・植物プランクトンなど難分解性有機物以外の物質の分解性
・各種資材の有効性の検討
・実用化に当たっての問題点・課題の把握
○実用化の可能性が明らかになれば、次年度に水路で実証試験を実施
【光触媒資材の利用想定例】
湖沼の直接浄化 | ・光触媒資材を設置した水路に湖水を導入し、浄化後に湖内へ還水
・太陽光の届く浅場に光触媒資材を設置する湖内浄化 |
湖沼への流入対策 | ・下水道処理水:施設敷地内に設置した水路等で処理水を浄化後に放流
・河川水:光触媒資材を設置した水路等で浄化 |
○効果的な湖沼浄化対策実施に向けて、各種浄化手法との比較検討を実施
2 事業効果
○従来の生物浄化手法等で削減できなかった難分解性有機物の削減が期待され、湖沼浄化につながる。
○県内でも光触媒に注目している企業があり、これらの企業と連携した実用化が成功すれば、新たな環境ビジネス等になりうる。
3 財政課長査定結果
「総合的な湖沼浄化に関する研究」:ゼロ査定
○湖沼の浄化手法について、他県の実例を解析して今後の試験研究に活かしていくことは、通常の業務で実施してください。
○光触媒による水質浄化を湖沼に応用する手法は、技術面やコスト面での課題もあり、早期に効果発現するものとは考えられません。
4 復活要求額
2,045千円
5 復活要求理由
○湖沼の汚濁指標であるCODの半分程度が難分解性有機物
○従って、湖沼の環境基準の達成のためには、難分解性有機物を浄化する必要があるが、従来の手法では分解は困難
○一方で最近注目されている光触媒は、強い酸化力を持ち、生物分解の困難な排水処理の実用化の例がある。
○しかしながら、湖沼の浄化手法については検討されていないため、今回、新たに研究開発を行うもの。
6 事業スケジュール等
| 事業内容 | 事業費
(千円) |
H21 | ○実用化への初期判断(室内実験での検証)
・有機物分解性等の水質浄化能の確認
・各種資材の有効性の検討
・実用化に当たっての問題点・課題の把握 等 | 2,045 |
H22 | ○実用化の可能性があれば、実証試験を実施
(実用化に向けた野外実験水路等での検証)
・実験水路等での水質浄化能の確認
・実用化に当たっての問題点の整理・判断 | 2,000 |
7 用語説明
【光触媒】
酸化チタン等の触媒が光を吸収することでその表面が強い酸化力を発揮し、有機物を分解する作用を持つ。
【難分解性有機物】
家庭排水や事業場排水等の人為由来の有機物や森の落葉などの自然由来の有機物は、排水処理施設や環境中の微生物により分解されていくが、最後には分解できないものが残ってしまう。これを「難分解性有機物」と呼んでおり、微生物の最終分解物(有機物のカス)といえる。主として特定の構造を持たない高分子の有機酸である。