1 財政課長査定結果
【暗きょ排水機能向上対策事業】
査定額 0千円(要求額 977千円)
(理由)
暗きょ排水の機能維持は集落営農組織自らが主体的に取り組むべき問題であり、県は維持管理の必要性や手法のPRにより、側面的な支援を行っていくべき。
また、本暗きょが破損している可能性は低いと想定されるので、洗浄等により排水機能が改善されなければ、点検調査を省略して補助暗きょを施行する等の手法もある。
2 復活要求理由
・暗きょ排水施設は地下構造物であり、その原因には各ほ場の立地条件(地形条件、周辺条件)、施設条件(本暗渠の破損、疎水材・被覆材の目詰まり、水こうの閉塞)、耕盤条件(不透水層の形成)等様々であり、現状では原因究明を集落営農組織自らの判断で行うことは困難。
・暗きょ排水の機能維持を集落営農組織自らが主体的に取り組むためには、維持管理手法や原因究明の判断手法を示した「簡易マニュアル」により啓発する必要があり、そのための実態把握を行う目的で県(地域整備課と農業試験場が連携)による実施を要求する。
【要求内容の変更点】
@点検調査の内容を変更
試掘、通水試験にかかる経費をコンサル委託としていたが、機械力の必要な試掘費を機械借上料のみとし、試掘確認や通水試験による原因究明は県(地域整備課と農業試験場が連携)の技術支援として変更。(要求額の減 977千円→261千円)
A簡易マニュアルの作成
全大豆生産組織の経営耕地を対象に年次的に実施する計画としていたが、集落営農組織自らの判断が可能となるよう支援する目的で、維持管理手法や原因究明の判断手法を「簡易マニュアル」としてとりまとめることとし、資料収集として5集落営農組織で原因究明調査を実施する。
3 事業内容
(1)排水不良田の原因究明調査(要求額 261千円)
5組織の水田(各1haづつ)で実態を把握し、必要な資料収集を行う。
(調査内容)
・耕盤層(不透水層)の形成確認の試掘調査
・暗渠排水管の破損・閉塞確認の通水試験
(2)「簡易マニュアル」の作成
(1)の調査結果を基にした排水不良田の原因究明手法及び農業試験場の研究成果を活用した暗きょ排水の洗浄方法や管理方法等を「簡易マニュアル」としてとりまとめる。
(掲載内容)
・施設の構造
・維持管理方法(水こう管理、洗浄方法)
・排水不良田の機能診断方法(原因究明の手法)
・改善方法(補助暗渠の施工等)
(3)暗きょ排水施設の維持管理方法の啓発
(要求額 84千円)
各営農組織の主体的な取組を支援するため、(2)で作成した「簡易マニュアル」により暗きょ排水の機能保全・維持管理のあり方についてPRし、地域での話し合い、点検、維持管理を啓発する。
4 背景
・中部管内では、各市町とも「産地づくり交付金」に「大豆」を主要作物として位置づけ、転作に取り組んでいるが、水田の排水不良が原因となった生育不良や収量・品質の低下が見受けられる。
・農家からは、暗きょ排水の効きが悪いという声が多くあり、営農機械の大型化による耕盤層(不透水層)の形成や疎水材のモミガラの腐植等により、排水が暗きょ排水管まで浸透していないケースも見受けられるが、排水不良の原因は様々であり、特定できていない。
・農家アンケートによれば、暗きょ排水の管理方法や耕盤(不透水層)に対する認識は低い傾向にあるため、暗きょ排水の洗浄方法や管理方法等を農家に啓発し、暗きょ排水の長寿命化を図ることが重要である。