これまでの取組と成果
これまでの取組状況
<一時保護の必要性>
児童相談所における一時保護は、主に児童虐待等のより児童の生命の危険があるとき、あるいは、児童の安全を確保を図るために実施している。
保護者支援も、子どもの安全確保後に虐待の保護者への調査や指導を安心して進めることができる。また、児童から分離されることで自分(保護者)が自己を振り返る機会を与えることとができる。
子どもの観察や意見聴取においても、一時保護による安全な生活環境下におくことで、実際の児童状態の把握にもつながる。
<一時保護入所児童への配慮>
一時保護が必要な子どもは、その年齢も乳幼児から思春期までと幅広く、また一時保護を要する背景も非行、虐待あるいは発達障がいなど様々である。一時保護に際しては、こうした一人ひとりの子どもの状況に応じた適切な住環境をはじめきめの細かい支援が求められている。
<一時保護の重要性>
一時保護所は、子どもにとって家族分離され不慣れな環境に入ることである。特に、重篤な虐待を受けた子どもにとって、緊急避難場所として安心して生活できる場であるとともに、親子関係を見つめなおし、その後の生活の方向を決定する場でもあり、一時保護所での生活と支援は非常に重要な役割を担っている。
<一時保護中の支援等>
一時保護所は、安心して、一定の規則正しい生活の中での保育や学習、スポーツやレクリェーション等を通して、行動面の観察や生活指導を行っている。
この間に児童相談所のそれぞれの専門分野ごとに、児童福祉司の面接や心理職員による心理検査、精神科医の診察なども並行して実施している。
これまでの取組に対する評価
緊急に親子分離をしたり、職権によって強制的に一時保護したりするケースが多く、子どもは不安定な状況にあり対応に苦慮している。
職員からみると、困難を抱えた子どもが急に入所し、ほとんど情報がないまま対応せざるを得ない。また、子どもを親が取り返すのを防ぐ仕組みや子ども同士のいじめ、暴力を防ぐ安全確保対策の充実が求められている。
そのため、一時保護所の住環境整備はもとより、人的配置における安全対策が整えられているかも重要となっている。人員配置や夜間態勢については、緊急対応が多い中で一定の限界があるのが実態である。
児童虐待防止法が施行後、一時保護が長期化する傾向がある中でも、一時保護は原則、ほんの短い間の緊急避難的な場所であり、子どもが入れ替わり退所することを前提となっていることから、住環境や安全対策は、ほとんど変わることなく今日に至っている。
しかしながら、このような状況の中で、実際の子どもの安全確保を図るための最後の砦である児童相談所の一時保護所の老朽化、住環境の整備について改築を視野に入れた指摘がなされ、あわせて相談体制及び受入体制のあり方や充実について、決算審査特別委員会で文書指摘を受けたところである。
今年度、この指摘を真摯に受け止めて、児童相談所あり方検討会を立ち上げて、施設の老朽化や狭隘への対応、職員体制について、実務者レベルでの児童相談所の体制強化を検討してきたところである。
平成22年度以降は、さらに外部の方々の意見、特に、専門家等の意見やアカデミックな視点を取り入れてのさらなる検証が必要と考えているところである。