1 事業の目的・概要
本県では、次世代ビジョンにおいて、IJUターンされたアーティストや地域に根付いて高いレベルの芸術・文化活動を行うアーティストと県民が芸術を介して活発に交流するアーティストリゾートの展開を促進しています。
鳥取市鹿野町では、平成18年度にIJUターンした劇団と地域とが一体となって、旧鹿野小学校(鹿野・鳥の劇場)を活動の拠点として、演劇祭や連携して行う地域体験事業を実施するなど、本県のアーティストリゾートの好事例として、徐々に定着しつつあります。
この鹿野・鳥の劇場は、全国でも先進的な「劇団付き劇場」として、地域の活性化の拠点、観光資源となるもので、一過性のものとしないよう、地元住民、鳥取市、県等の協働により運営を行う、全国でも新しい形態での運営による事業実施を行うもの。
2 要求内容
新たに設置する鹿野・鳥の劇場運営委員会(仮称)に対して、文化を中心とした地域振興の拠点(鹿野・鳥の劇場)で行う事業への補助を行うもの。
運営事業費補助金 7,000千円(定額)
3 アーティストリゾート創造事業内容
【拠点】鹿野・鳥の劇場(旧鹿野小学校)
【運営主体】鹿野・鳥の劇場運営委員会(仮称)
【体制】NPO鳥の劇場(委員会運営、事業全体の実施)
鹿野まちづくり協議会(地域体験事業等支援)
鳥取市(施設無償貸与、運営事業費一部支援)
鳥取県(運営事業費一部支援)
【実施内容】
○演劇祭(鳥の演劇祭)
⇒ 県民への鑑賞機会の提供
県内外への情報発信 >> 観光資源となる
韓国等との交流
○ワークショップ・出前講座
⇒ 裾野の拡大、教育分野への実験
○周辺地域の体験事業
⇒ 地域振興、観光への活用
4 昨年度との変更点
平成20、21年度は「鳥の演劇祭」の開催するための事業の経費の一部を実行委員会に対して支援を行った。
平成22年度は、個別の事業ではなく、文化を中心とした地域活性化の拠点となる鹿野・鳥の劇場で行う事業に対する支援を行うよう見直しをする。
5 全国の劇場専属の芸術団体の例
Noism(ノイズム)・・ダンスカンパニー
新潟市民芸術文化会館を拠点に芸術活動を行う劇場専属の芸術団体(レジデンシャルカンパニー)。諸経費、団員の給与及び公演に係る事業費を館の予算(新潟市の指定管理料)で賄っている。
活動事業費 145,000千円
SPAC(財)静岡県舞台芸術センター
専用の劇場や稽古場を拠点として、専属の俳優、専門技術スタッフが活動を行なう日本で初めての文化事業集団。
舞台芸術作品の創造と上演とともに、優れた舞台芸術の紹介や舞台芸術家の育成を事業目的として活動。
(参考)文化庁文化審議会文化政策部報告書
日本の芸術文化の継承、発展、創造を担う人材育成のため、優れた人材が自らの才能を伸ばし、更にその能力を最大限発揮できる環境の整備が重要な政策課題であるとして提言している。
国・地方公共団体に求められる方策のひとつとして、「地方公共団体は、劇場専属の文化芸術団体を増やすための取組を進めること」があげられている。
これまでの取組と成果
これまでの取組状況
平成20年度、21年度には鳥の演劇祭開催事業として、県・市・鳥の劇場及び地元関係者により実行委員会を設置し、「鳥の演劇祭」を開催した。
〔第1回鳥の演劇祭の開催実績〕
○開催時期 平成20年9月の土日を中心とした週末(3週間)
○上演プログラム(6公演・上演16回)
○来場者(延べ) 1,580名
○周辺事業として、「とっとり体験事業」「ワークショップ」等を実施
〔第2回鳥の演劇祭の開催実績〕
○開催時期 平成21年9月の土日を中心とした週末(4週間)
○上演プログラム(7公演・上演17回)
○来場者(延べ) 1,703名
○周辺事業として、「とっとり体験プログラム」「ワークショップ」「シンポジウム」等を実施。
これまでの取組に対する評価
「鳥の劇場」に対する評価
平成18年度に活動を開始して以来、「劇団員の鳥取への定住」、「本県では貴重なプロの演劇鑑賞機会の提供」、「鳥取の劇団として県外へ情報発信している」等の面で本県に貢献しているといえる。
また、特筆できる点として、「移住した団員によって、それまでの鳥取にはなかった新たな活動が生み出されている点」、「地域に定着してまちづくりの一翼を担う文化拠点の一つとなっている点」、「まちづくり協議会等の地元に受け入れられている点」が挙げられる。
以上のような点で「鳥の劇場」の活動は、一定の評価ができ、活動の幅をさらに広げ鳥取県の存在感を押し上げるような活動が期待できる。