1 事業概要
NPO法人鳥取県自閉症協会に対して、発達の気になる子どもの保護者に子育てに関する助言者として、ペアレントメンター(よき相談相手、助言者、先輩保護者の意)の積極的な活用を図り、発達障がいに関する支援等の拠点としての役割を担うための体制を整備する初期投資としての補助を行う。
【事業主体】NPO法人鳥取県自閉症協会
【補助率】国10/10(安心子ども基金)補助上限額:1,690千円
【補助対象経費】備品購入、活動広報に係る旅費、事業の一部を事業所に委託する場合の委託料他
【根拠法令】発達障害者支援法(3条の2、13条、23条)
2 背景
[1]保護者の特性について
発達障がいは周囲からなかなか理解されにくい障がいであり、一番身近な存在である保護者でさえ理解しにくい障がいであるため、子育ての方法などについて悩みを抱き、一人で抱え込んでしまう保護者が多い。
[2]発達障がい児数の推移について
県教育委員会特別支援教育課の調査によると、発達障がいの診断のある児童については、年々増加傾向にある結果がある。また、文部科学省によると、小・中学校の通常学級に発達障がい児が6.3%いる可能性があるという調査結果がある。
[3]エールの役割について
エールでは、専門的技術等を要するケースに対応。人材育成、市町村等支援者へのバックアップ的役割を担う。エールの相談件数は毎年増加。平成21年度は年間延べ3,000件の相談受理。発達障がいの診断児数が増加していることから、エールへの相談も今後増加するものと思われる。
[4]保護者が相談者となるメリットについて
保護者は専門家ではないが、悩みを抱えている保護者に対して、同じ立場の保護者が対応することは、より身近で、安心感を与える。このような保護者にとって、今までの経験を通して、発達障がい特有の悩みを共感したり、助言、アドバイスができる保護者が支援することは非常に有効である。
[5]ペアレントメンターの認知度の低さ
保護者支援の一つとしてペアレントメンターが有効性が活かされておらず、保護者参加の意見交換会に参加してみて、「保護者同士で話しができて、いろんな意見が聞けてよかった」という感想を持つ保護者が多い。
[6]国の発達障がい支援施策の方針について
国はペアレントメンターの活用について促進している。
3 補正予算要求の理由
今年度、県でもペアレントメンターを養成(27名)しており、来年度当初から本格的に活動に入るようにするためには、今年度中に体制を整備しておく必要があるため。
4 補助対象
実施主体:NPO法人鳥取県自閉症協会
◆根拠法令:発達障害者支援法第三条2(国及び地方公共団体の責務)及び第十三条(発達障害者の家族への支援)、第二十三条(専門的知識を有する人材の確保等)
◆実施主体選定の理由
○ 鳥取県自閉症協会は保護者が中心であるNPO法人である。
○ 保護者中心であるため、子どもの様子や保護者自身の困り感等経験的に理解している方が多い。
○ 平成20年にペアレントメンターを27名養成済みである。
○ 会員は全県に現在約250名以上を数え、活動範囲として、全県的に広く取り組んでいる。
◆事業運営について
○ 依頼機関からの旅費(+謝金)により、事業を実施。
○ 鳥取県自閉症協会のペアレントメンターにより、5事業内容の内容に取り組む。
◆補助額内訳
補助上限額:1,690千円
費目 | 補助額(単位:千円) |
活動旅費 | 75 |
備品購入費 | 1,190 |
役務費 | 110 |
需用費 | 195 |
委託料 | 120 |
5 事業内容
[1]人材、資源の発掘、登録、管理
発達障がい児者やその保護者を支援する人材(ペアレントメンター)を管理する。
[2]情報発信
保護者の視点から、地域で生活するのに有効な情報などをホームページなどを通して発信する。
6 事業効果
○ 身近な相談者として、同じ保護者であることから安心感が得られ、相談者の孤立感の解消につながる。
○ ペアレントメンターは、自分の子育て経験をとおした助言やアドバイスができるため、より実態に即した支援が可能となる。
○ エールの相談の中には、専門的支援というよりは子育ての経験に基づいた助言の方が適切な相談もあり、これらをペアレントメンターが引き受けることで、エールの業務の負担軽減にもなり、エール自体もより充実した支援を提供することが可能となる。
今後の取り組み(予定)
○平成23年1月 体制整備開始(国基金利用)
* 人材、資源の収集、登録(自閉症協会のメンター、県養成のメンター)
* 人材派遣実施のため、関係機関等への広報
* 情報発信の準備(ホームページの整備、有効な資源のリスト作成など)
◆ 相談活動については、必要経費(旅費(+謝金))は依頼機関の負担とする。
◆ 今まで通りの相談活動を行いながら、データの登録や情報発信の準備を行っていく。
◆ 鳥取県自閉症協会内の発達支援員や保育士を活用するなど自閉症協会内でも相談体制の整備の充実を図る。
これまでの取組と成果
これまでの取組状況
◆ 自閉症協会では、平成20年度に日本自閉症協会主催の「ペアレントメンター養成講座」を鳥取県で開催し、27名のペアレントメンターを養成している。
◆ 平成21年度の活動状況
学習会 60回
電話相談 84回
面接等 81回
その他 ペアレントトレーニング補助(あかしや、陽なた)
ピアカウンセリング(皆成学園) など
これまでの取組に対する評価
◆ ペアレントメンターの派遣を受けた保護者や団体等は、非常に有効であるという評価を受けている(例:皆成学園でのピアカウンセリング)。