1 事業概要
種雄牛を生産するための雌牛の確保、雄牛の購入、後代検定用子牛の交配、後代検定を実施する肥育農家への価格補償を行う。
また、県の和牛改良の方向を学術的に検討するための委員会の設置、雌牛の遺伝的能力の分析等総合的な肉用牛改良を行う。
2 種雄牛造成の流れ
(1)現状分析及び改良方針の決定
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(2)優秀な雌牛の選定と計画交配の実施
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(3)直接検定(種雄候補牛の発育等の調査)
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(4)現場後代検定(種雄候補牛の産子を肥育)
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優良種雄牛造成
3 事業の背景・目的
(1)鳥取県の和子牛価格はここ数年、全国平均より2〜3万円低い価格で推移している。
(2)歴史ある和牛産地である鳥取が復活するためには、優秀な種雄牛の作出が必要である。
(3)優秀な種雄牛を造成するためには、現状分析と学術的な考え方が必要であり、その体制を整備する必要がある。
(4)優秀な種雄牛を造成するためには農家の協力が不可欠であり、経営補償や謝金を支払うことで協力しやすい体制を整備する必要がある。
(5)優秀な種雄牛のいる県では和子牛の平均価格が全国平均より5〜10万円高い価格で推移しており、優秀な種雄牛が造成できた場合の経済効果は大きい。
4 財政課長査定結果
県内繁殖農家の県有種雄牛精液の利用率は決して高くないことから、県が多額の経費を掛けてまで種雄牛を造成する必要性は低いと考えます。
畜産農家の需要を踏まえて、今後の事業のあり方を検討して下さい。
5 復活要求理由
(1)平成20年度の「勝安波」号の現場後代検定試験終了後、県有種雄牛の利用率が増加し、「勝安波」号産子が上場された平成20年9月セリ以降は、セリ上場頭数に占める県有種雄牛産子の割合は増加傾向(平成20年度:17%→平成21年10月:31%)
(2)生産者は県の種雄牛造成を、@市場差別化A精液の安定供給Bブランド化の重要なアイテム、として期待(1/7鳥取県和牛再生ステップアップ協議会での意見)
(3)鳥取県和牛改良目標を確実に達成するため、毎年の目標数値を設定し、その目標達成に必要な種雄牛の具体的能力も設定
(4)そうした種雄牛を造成するためには、本事業の実施が不可欠
6 和牛ビジョン及び和牛改良目標の短期的目標値
(1)和牛ビジョンの短期的目標値
(2)和牛改良目標(肥育牛の枝肉成績の目標値)の短期的目標値
※目標値は、生産者、関係者及び県で構成する和牛再生ステップアップ協議会等で検証し、事業効果や今後進めるべき手法について検討
これまでの取組と成果
これまでの取組状況
<取組状況>
統計学的なデータ分析や、農家協力のための各種報償費等を整備し、効率かつ円滑に優秀な種雄牛を造るための体制を整備してきた。
H20年度概要
@育種価(県内繁殖雌牛の遺伝能力を把握)
年2回算出(育種価判明率約76%)
A改良基礎雌牛整備
28頭の改良基礎雌牛選定(1頭の高度活用利用)
B直接検定牛購入
5頭購入
E後代検定用牛作り
132頭の農家所有雌牛に指定交配
(香月:49頭、泰紀勝:43頭、安平久:40頭)
F改良推進基金(せり時に価格補償することで農家の指定交配参加を促進)
74頭の子牛価格補償
(勝大山:25頭、峰友:24頭、金勝忠:25頭)
G経営補償費(肥育農家への価格補償により後代検定の適切な農家配置を実施)
33頭の後代検定牛に対して経営補償
(北国桜15:4頭、平菊照:7頭、千宝:2頭、景平:10頭、龍平:3頭
糸寿:7頭)
これまでの取組に対する評価
<自己分析>
・平成19年度に試験が終了した「勝安波」号は、BMSナンバー6.6、上物率83.3%(全国平均5.1と51.7%)という成績を収め国内トップクラスの優秀な成績であった。また平成21年10月から勝安波産子が和子牛セリ市場に本格的に上場(去勢のセリ平均価格388千円に対し、418千円)されるようになり、今後の活躍が期待される。
・県が優秀な種雄牛を造成・所有し、安定的な精液供給をすることは県内農家の要望である。
・また優秀な種雄牛を造成するためには農家協力が不可欠であり、農家にも一定の負担をしてもらいながら、当事業を実施し、「勝安波」に続く優秀な種雄牛を造成することは、本県和牛振興のためには極めて重要である。