1 概要
平成22年12月1日の民生委員・児童委員の一斉改選(任期3年)に伴い、定数増となった委員の活動手当を増額するものである。
2 事業内容
地域において住民の立場で要援護者の相談、支援を行うボランティアである民生委員・児童委員について、活動費を支給するとともに、研修等により活動を支援する。
【民生委員の概要】
根拠 |
民生委員法及び児童福祉法に基づき設置(特別職の地方公務員:委嘱は厚生労働大臣)
※民生委員は児童委員を兼ねる。 |
任期 |
3年(改選後の任期:平成22年12月1日〜25年11月30日) |
手当 |
年額58,200円(H21年度地方交付税単価) |
定数 |
国の示す配置基準により、市町村の意見を聞いた上で、県が定めている。(民生委員法第4条)
※市町村単位で設定
【県内の民生委員定数の推移】※主任児童委員を除く
任期 | 定数 | 総世帯数 | 1人当り担当世帯数 |
H13.12.1〜H16.11.30 | 1,419人 | 206,821 | 145.8 |
H16.12.1〜H19.11.30 | 1,429人 | 215,990 | 151.2 |
H19.12.1〜H22.11.30 | 1,451人 | 222,625 | 153.4 |
H22.12.1〜H25.11.30(要望) | 1,462人 | 226,809 | 155.1 |
【厚生労働省の定める配置基準】
| 区分 | 配置基準 |
民生委員・児童委員(市町村毎に定める) | 人口10万人以上の市 | 170〜360世帯に1人 |
人口10万人未満の市 | 120〜280世帯に1人 |
町村 | 70〜200世帯に1人 |
※市部と町村部で配置基準が異なる理由
- 市部と町村部では人口密集の度合いが異なるため、町村部は市部と比べて民生委員の活動範囲の面積が広い
- 交通手段が少ないこと及び行政機能が市部に集中していることにより、町村部は援助が受けにくい状況にある
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※民生委員事務の市町村への権限移譲については、市町村の要望を踏まえて検討を行うこととして、市町村に伝達しているところ
3 補正要求額
214千円(増員分の活動手当(12〜3月分))
【内訳】19,400円×11人=213,400円
- 増員数 11人(1,451人→1,462人)
- 増員1人当たり単価 年額58,200円×4ヶ月(12〜3月)/12ヶ月=19,400円
4 背景
平成12年の社会福祉法の改正により、民生委員の任務は「常に住民の立場に立って相談に応じ、必要な援助を行う」とされ、地域福祉推進の中心的な役割が課せられている。
地域の繋がりの希薄化や個人情報への意識の高まりにより、援助が必要な世帯の把握が困難となっており、民生委員の活動の困難度が増し、市町村・地区において民生委員の成り手の確保に苦慮している状況。
県全体の人口は減少しているが、核家族化などにより世帯数は増加しており、民生委員の担当世帯数も増加傾向にある。
高齢化により要援護世帯が増加しており、地域での孤立防止及び援助を行う民生委員の活動の重要性が高まっている。
5 補正理由
民生委員の定数については、国の配置基準を考慮しつつ、個別の状況に応じ、実際に活動の指導を行っている市町村の判断を尊重すべきと考える。
増員に当っての判断基準に照らし、各市町村の1人当たり担当世帯数が国配置基準の下限以上であり、また、それぞれ世帯数の大幅な増加等の相応の理由が認められるため、要望どおり定数を11人増やして1,462人とするもの。
【増員に当っての判断基準】
- 市町村ごとの1人当たり担当世帯数が、国の配置基準の下限以上であること。(10万人以上の市:170世帯、10万人未満の市:120世帯、町村:70世帯)
- 地区からの要望を踏まえて市町村からの要望があること。ただし、地区ごとに個別に審査し、増員する合理的な理由があると判断されること。
※平成19年度の一斉改選においては、上記基準に照らし、鳥取市について配置基準の下限である1人当たり170世帯まで定数を認めている。
【増員市町村の内訳】
| 定数(人) | 担当世帯数(世帯) |
市町村 | 現行 | 要望 | 定数増 | 現行 | 要望 | 国基準下限 |
米子市 | 270 | 275 | 5 | 229.6 | 225.4 | 170 |
八頭町 | 62 | 65 | 3 | 95.1 | 90.7 | 70 |
湯梨浜町 | 44 | 46 | 2 | 133.5 | 127.7 | 70 |
南部町 | 32 | 33 | 1 | 120.8 | 117.2 | 70 |
計 | 11 | | | |
これまでの取組と成果
これまでの取組状況
<目標>
・地域ボランティアである民生委員の活動を推進・支援することで、地域福祉の向上を目指す
・研修等による民生委員の資質向上
<これまでの取組>
○活動支援
・県民児協や地区民協への活動補助
・県民児協や地区民協を通じた研修会の開催
・給与は支給されない(民生委員法第10条)が、活動に要する交通費
等に充てるものとして、活動費を支給(地方交付税から算定)
○3年に1度の全国一斉改選(次回H22.12.1)
・定数(H19.12.1改選)
区域担当民生委員:県内1,451人、主任児童委員217人
○近年の活動重点内容
・災害時一人も見逃さない運動の展開
・地域社会での孤独・孤立をなくす運動の展開
・児童虐待や犯罪被害等から子どもを守る取組みの推進 など
<達成状況>
○相談・支援件数 H20年度:55,391件(38.5件/人)
これまでの取組に対する評価
<取組評価>
○民生委員の活動
・地域の人々が自立して暮らすための様々な支援を実施
・安心して暮らせる町づくりを進める役割を果たしてきた
<課題>
○地域住民の理解度の不足
・地域住民の理解度は、委員活動のしやすさに大きく関与
・地域住民に対する積極的な啓発・PR が重要
○後任者の不足
・現任者の高齢化等に伴う委員交代
・後任者への活動の理解度向上が必要
・また、地域住民・後任者への理解促進が、新任した場合の円滑な活動にも寄与
○個人情報保護法の制定に伴う過剰反応
・民生委員活動への支障
○社会環境の変化に伴う活動内容の多様化・複雑化
・家族形態の多様化、家族機能の変化、家族の関わりの希薄化な
どにより、各相談・支援案件の複雑化
・引きこもり、児童・高齢者虐待対応など社会環境の多様化 など