・ツツガムシ病は、毎年300人〜500人が罹患しており、毎年数人の死者がでている。県内では、平成18年以降10件の報告がある。
・日本紅斑熱は、当初は四国の限られた地域のみで発生していたが、他の地域でも発生が確認されるようになり、鳥取県内でも平成19年に初めて患者が確認され、平成20年にも2件の報告があった。
・日本紅斑熱を引き起こすリケッチアの実態は今まで不明な点が多く、広く認知されていないため、実際の患者はこれより多いことも考えられる。
・これらの疾患には、的確な診断が必須である。日本紅斑熱の死亡例は診断の遅れが原因である。
・ツツガムシ病や日本紅斑熱は、山野や無人島などに立ち入ることで、リケッチア保有ダニに刺されて発症する。よって、その地域にリケッチアをもつダニがいるかどうかを知ることは、これら疾患の予防、治療には大変有用である。
・その一方で、県内におけるリケッチアをもつダニの種類や分布は全く分かっていない。
・現時点での予防対応は、ダニの発生地に発生時期(主に春〜秋)にはできるだけ立ち入らないこと。立ち入る際は、ダニ忌避剤を使用し、作業後は入浴により注意深くダニを除去することである。
・リケッチアの分布が判明すれば、医療機関や県民にその情報を公開し、日本紅斑熱の予防や治療に役立てることが可能。
・分布の情報提供により、予防的対応が可能。例;不用意に近づくのを避ける。近づく際は相応の用意をするなど。
・適切な治療が可能:前述の通り、日本紅斑熱の治療には的確な診断が必須であり、リケッチアのいる地域の既往歴は重要な診断材料になる。
・リケッチアの種類、遺伝配列等の解明により、国内他地域のリケッチとの比較が可能になり、県内へのリケッチアの感染経路を解明する手助けになる。