現在の位置: 予算編成過程の公開 の 平成22年度予算 の 生活環境部の鳥取県内の地下水・湧水の水質とその形成・循環に関する研究
平成22年度予算
当初予算 一般事業  課長要求      支出科目  款:衛生費 項:公衆衛生費 目:衛生環境研究所費
事業名:

鳥取県内の地下水・湧水の水質とその形成・循環に関する研究

将来ビジョン関連事業(守る/豊かな自然・環境を守り、育て、次代につなげる)

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生活環境部 衛生環境研究所 水環境室  

電話番号:0858-35-5417  E-mail:eiseikenkyu@pref.tottori.jp

トータルコスト

  事業費(A) 人件費(B) トータルコスト
(A+B)
正職員 非常勤職員 臨時的任用職員
22年度当初予算額(最終) 2,626千円 4,841千円 7,467千円 0.6人 0.0人 0.0人
22年度当初予算要求額 3,347千円 4,841千円 8,188千円 0.6人 0.0人 0.0人
21年度当初予算額 0千円 0千円 0千円 0.0人 0.0人 0.0人

事業費

要求額:3,347千円  (前年度予算額 0千円)  財源:単県 

課長査定:計上   計上額:2,626千円

事業内容

1 事業概要・目的

 豊富で良好な水質とされる鳥取県内の地下水・湧水について、水質を把握・評価するとともに、水循環と水質の形成過程に着目し、その年齢や涵養域、水質と周辺の自然環境(土壌・地質、植生)との関係に関する知見を得て情報提供し、鳥取県の地下水・湧水や周辺の自然環境の保全と、持続可能で賢明な利用に繋げる。

2 内容

(1)県内の地下水・湧水等の水質測定・評価(H22年度)


     鳥取県内の地下水・湧水等の水質を調査し、既存の水質指標、及びおいしさ指標他用途別指標等で解析・評価してマッピングし、県民に身近な県内各地の地下水・湧水についての科学的情報として提供して関心・気運を高め、保全や賢明な利用に繋げる。
    ○対象:県内各地の地下水・湧水等
    ○測定項目:陽イオン、陰イオン、ケイ素等
    ○評価:既存の水質評価指標、おいしさの指標等


    (2)地下水・湧水の年代や涵養域の推定(H22〜23年度)

     名水等県内の代表的な地下水・湧水の年齢(年代)や涵養域を推定し、これらがどこからどれくらいの時間を経てやってきているのかを示し、涵養域の保全や地下水・湧水が「長い年月を経て得られる大切な資源」としての認識に繋げる。
    ア 年齢(滞留時間)の推定
    ○対象:国や県の名水に指定されている地下水・湧水等(10箇所)
    ○項目・方法:水素の放射性同位体「トリチウムH」濃度を測定・解析し、大まかな年齢(滞留時間)を推定。
    イ 涵養域の推定
    ○対象:大山周辺の名水(天の真名井、地蔵滝の泉、本宮の泉)等の涵養域
    ○ 項目・方法:対象とする湧水及び周辺域の河川水・湧水等(50箇所)について、水の酸素・水素安定同位体分析や水質測定を実施し、その分布や変動を解析。
    ◆トリチウムH測定、酸素・水素安定同位体分析を外部委託


    (3)地下水・湧水の涵養域〜湧出域にかけての自然環境(土壌・地質、植生)と水質との関係の把握(H22〜24年度)。

     降水や河川水等の地表水が土壌・地質や植生に接触・浸透する過程や、地中での存在環境によって地下水・湧水の水質が形成されることに着目し、大山周辺地域の地下水・湧水(特に名水)の涵養域〜湧出域にかけての土壌・地質、植生を把握し、水質との関係等を捉えて示し、周辺の自然環境、特に涵養域の保全に繋げる。
    ○対象地域:大山周辺地域((2)−涵養域周辺)
    ○項目・方法等:調査や資料収集によって、以下のことを行う。
    ・植生の種類・分布、土壌の種類・化学的性質、地質の把握
    ・降水が森林内の樹木に接触して流下した水や林床土壌浸透水の水質を測定し、地下水・湧水の水質を比較。
    ・地質の主要鉱物の溶解性と地下水・湧水の水質との比較。

3 要求額内訳


要求内訳

内容

金額(千円)

委託料

トリチウムH測定、酸素・水素安定同位体分析の委託
  50ケ所→30ケ所

2,100
→1,379

普通旅費

情報収集・協議

127

需用費

調査や分析等に用いる消耗品、試薬等

970

使用料・賃借料

現地調査用機械の借り上げ

150

合計


3,347
→2,626

4 必要性・背景

○鳥取県は緑豊かな自然に恵まれ、“名水”と呼ばれる良好な水環境が多く存在し、昔から人々に親しまれ大切に引き継がれている。その多くが地下水・湧水で、特に大山周辺地域に集中。

○大山周辺地域に地下水利用を目的とした企業の進出が相次いだことを契機に、県内の地下水・湧水への関心が高まっている。

○上記を受け、H19年度から「持続可能な地下水利用検討事業(水・大気環境課)」で、鳥取大学の関連分野の専門家とともに、大山南西麓と鳥取平野を対象に、地下水の量や収支等を把握するための調査研究を実施。この結果を基に地下水利用の規制等の必要性やあり方が検討される計画。

○上記では水量や収支等が検討材料。水質やその形成過程や周辺の自然環境は考慮されない。

○地下水・湧水の良好な水質は周辺の自然環境によって形成されると考えられ、もっと目を向けられるべきであるが、水質形成や水循環、周辺の自然環境との関係について不明。

5 成果の活用方法・効果


◆「持続可能な地下水利用検討事業(水・大気環境課)」で構築しようとしている、「特定地域(大山南西麓、鳥取平野)の地下水の収支や量の知見を基にした制度(条例等の規制)」とは別のステージから、この研究で得られる知見を広く情報提供し、以下のとおり、人の感覚に訴えながら、地下水・湧水の保全や賢明な利用を図る。
○県内の地下水・湧水の水質や水循環(年代)に関する科学的知見
→ 「こんな良い水質で、長い時間をかけてやってきた地下水・湧水を、大事に上手に利用しなければ・・・等」のように県民の意識を高め、県内の地下水・湧水の保全や賢明な利用に繋げる。
○地下水・湧水の涵養域や、周辺の自然環境が地下水・湧水を涵養して水質を育む過程についての科学的知見
→ 県内の自然環境(森林、土壌・地質等)も「資源」として捉える意識や関心を高め、自然環境保全に繋げる。

◆ 「持続可能な地下水利用検討事業」での制度検討の結果として、条例による規制が必要となった場合も、県民の理解が得やすくなる。

これまでの取組と成果

これまでの取組状況


(1)大山周辺地域に地下水利用を目的とした企業の進出が相次いだこ
とを契機に、県内の地下水に対する関心が高まったことを受け、「持続可能な地下水利用検討事業(水・大気環境課)」で、鳥取大学の地盤・地質、水理等関連分野の専門家から構成される「地下水研究会」の一員として、企業の進出が相次いだ大山南西麓と、過去に地盤沈下が発生して問題化した経緯がある鳥取平野を対象に、平成19年度〜21年度の3カ年間、地盤・地質の構造、河川、地下水の流量・水質等の調査や情報収集を「共同研究」として実施。

(2)この共同研究の中で、当所は、対象地域の地表水や地下水の水質を調査・解析し、水質の類似性・規則性や違いを基に対象地域の地下水の水脈区分等、水の量や収支算定に繋がる情報を得るための作業を担当。

(3)得られている主な知見・成果等(H21年9月現在)は以下のとおり。
◆大山南西麓
・大まかな地層・帯水層の構造を推定。
・大山南西麓の河川(日野川支流)の水質調査・解析によって、この地域には大きく分けて5種類の湧水が湧出し、大山南西麓の日野川支流河川の流れを形成していると推定された。
・水収支を概算…年間降水量:10億6600万m3、深層地下水浸透量:4億9600万m3(47%)
◆鳥取平野
・浅井戸の帯水層は複雑。深井戸の帯水層は、大きなものは2枚。
・浅井戸の地下水位は長期的変動がなく安定。深井戸は徐々に上昇。
・鳥取市街地の北〜中心部の深井戸の地下水で高い塩分濃度を観測(一部で上昇を確認)。
・酸素・水素安定同位体分析による水の由来解析結果から、海水浸入である可能性は低く、温泉等の塩分を含む深部地下水の影響の可能性が高いことが判明。
(4)この共同研究によって対象地域の地下水の水脈・流動や水収支等を把握した上で、続いて立ち上げる「持続可能な地下水利用に係る制度検討会(仮称)」で、地下水利用に係る規制等の必要性やあり方を検討する予定。

これまでの取組に対する評価


(1)「持続可能な地下水利用検討事業」の共同研究では、大まかであるものの、水の量や収支の算定を行うために必要な知見が得られつつあり、当所もこの中で必要な役割を果たしてきた。

(2)この事業・共同研究では特定地域の水量や収支等が検討材料。地下水等の水質は水脈区分等の手段としての位置づけで、水質の評価や形成過程、及び周辺や地下水の涵養域の自然環境は考慮されない。

(3)良好な水質は周辺の自然環境によって形成されると考えられ、もっと目を向けられるべきであるが、水質形成や水循環、及び水質と周辺の自然環境との関係等については不明。

(4)以上のことを踏まえ、共同研究で得られた知見や手法等も活用しながら、鳥取県の地下水・湧水の「水質」や「水循環」、及び「水質形成」を掘り下げて、別の観点から保全や賢明な利用を図ることを計画した。

工程表との関連

関連する政策内容

環境の保全・再生と活用に資する調査研究

関連する政策目標

財政課処理欄


 委託料を精査しました。

要求額の財源内訳(単位:千円)

区分 事業費 財源内訳
国庫支出金 使用料・手数料 寄附金 分担金・負担金 起債 財産収入 その他 一般財源
前年度予算 0 0 0 0 0 0 0 0 0
要求額 3,347 0 0 0 0 0 0 0 3,347

財政課使用欄(単位:千円)

区分 事業費 国庫支出金 使用料・手数料 寄附金 分担金・負担金 起債 財産収入 その他 一般財源
査定額 2,626 0 0 0 0 0 0 0 2,626
保留 0 0 0 0 0 0 0 0 0
別途 0 0 0 0 0 0 0 0 0