事業名:
豚凍結精液の生産技術の改善試験
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農林水産部 農林総合研究所中小家畜試験場 養豚研究室
トータルコスト
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事業費(A) |
人件費(B) |
トータルコスト (A+B) |
正職員 |
非常勤職員 |
臨時的任用職員 |
| 22年度当初予算額(最終) |
21,915千円 |
12,102千円 |
34,017千円 |
1.5人 |
1.6人 |
0.0人 |
| 22年度当初予算要求額 |
21,915千円 |
12,102千円 |
34,017千円 |
1.5人 |
1.6人 |
0.0人 |
| 21年度当初予算額 |
13,825千円 |
8,285千円 |
22,110千円 |
1.0人 |
0.4人 |
0.0人 |
事業費
要求額:21,915千円 (前年度予算額 13,825千円) 財源:単県
課長査定:計上 計上額:21,915千円
事業内容
1 概略説明
○肉豚の生産農場でも使える、融解後の活力の高い凍結精液の生産技術を確立する。
○凍結精液の生産技術を確立するまでの間、系統造成が完了するデュロック種を中心に、精液を生産する種豚を維持することにより、農家に人工授精用の精液(液状精液)を供給する。
2 背景・目的
○購入した精液による人工授精は、コストと労力の削減に効果的であるため、実地講習などを積極的に行った結果、普及率は64%(全国40%)まで上がった。
○人工授精の利用が進むなかで、凍結精液による人工授精を望む声が上がっている。
凍結精液は永久に保存でき、いつでも使えるので、牛では一般的である。しかし豚では、融解した後の精子の活力が弱いため、成績(受胎率と産子数)は実用レベルに達していなかった。これまでの当場での研究から、成績は年々向上している。
○農家の8割が試験場の種豚を使用している。良質肉をエンドユーザーに供給するため、高い能力の豚を維持(選抜)し、またその精液を供給するなど試験場の果たすべき役割は大きい。
○特に、D種の純粋種である「大山赤ぶた」は、脂肪交雑(サシ)が良く入り、旨みもあるため、雄豚として県内肉豚生産に期待されている。
3 試験(研究)内容及び経費
4 期待される効果
○液状の精液は、10日しか保存できず、宅配で届けるため急には使えない等の問題が解決され、人工授精の活用が促進される。人工授精によるコスト削減は、母豚100頭規模の農家で、年間81万円である。交配にかかる労力も削減でき、繁殖成績も向上して利益が増える。
○他の県にない優良な種豚を維持し、農家に供給することで、生産性と利益が確保される。21年度で系統造成を完了するデュロック(D)種は、肉用豚(LWD;3種の雑種)の品質に最も影響する重要な豚であり、改良の結果、特に脂肪の量(サシ)と旨みが増え、エンドユーザーと農家の高い評価を得ている。造成が完了したD種は、今後、精液供給を通じて本格的に肉豚生産に活用される。
○22年春に販売を始める銘柄豚「大山ルビー」は、D種と黒豚(バークシャー種:B)を交配したもので、黒豚特有の脂肪の旨みから評価が高く、販売を待ち望む外食産業が多い。このため、銘柄豚の生産にもD種精液が活用される。
○凍結精液の生産技術を確立した段階で、液状精液供給から、凍結精液供給へ移行する。
5 これまでの成果
○凍結精液の調製方法を改善した結果、融解後の精子活性が向上し、受胎成績が液状精液と同等となった(H21学会で報告)。産子数は改善が必要。
液状精液 凍結(従来) 凍結(改良)
受胎率 90% 54% 90%
産子数 10〜12頭 8頭 9頭
○人工授精(AI)の普及率はこの4年で倍増し、全国のトップレベルである。

これまでの取組と成果
これまでの取組状況
政策目標
(豚精液凍結技術の確立)
・生産方法の改善により、21年度前半までに、受胎成績については液状と同じレベルまで向上できた(90%の確率で妊娠)。一方子豚の数は平均9頭と、液状精液の10〜12頭には及ばなかった点は改善が必要。
・人工授精の普及率は64%(全国40%)まで上げられた。
(種豚の維持)
・2003年より、肉質を重視したデュロック種の改良を続け、あと1回の選抜を残し、1日平均増体重の到達率98%をはじめ、おおむね目標をクリアできる見込み。
<現時点での達成度>
(凍結精液)
・凍結精液の受胎率は改善でき、実用化に向けて着実に成果を上げられた。
・人工授精の普及率は全国でもトップレベルとなり、農家の利益の向上に貢献できた。
(種豚の維持)
・デュロックの純粋種である「大山赤ぶた」は、既に大阪市場で高額で取引されている。県内でもホテルのメニューに組み込まれるなど、完成を待たずに高い評価を得ている。
・県外より豚を購入していた農家が、徐々に試験場の種豚に切り替えている。現在8割が試験場の豚を利用している。
・数値目標
1日増体重:838g(2003年)→976g(2008年)→1000g(2009年目標)
脂肪(サシ):3.6%(2003年)→4.3%(2008年)→5.0%(2009年目標)
オレイン酸(旨味):38%(一般の豚)→44.8%(2008年)
これまでの取組に対する評価
<自己分析>
(凍結精液)
・農家レベルで、凍結精液を飼養管理に組み入れた例は、世界でも例がない。これまで人工授精の普及や精液販売によって培った農家との信頼関係をもとに、まずは母豚の生産に、凍結精液を使ってもらえそうな段階と考えている。
(種豚の維持)
・改良中の系統豚は、既に精液や母豚として、徐々に農家に払い下げている。それを使った肉豚(LWD種)の品質は向上しており、生産現場および市場の評価は高い。また体格も良く飼いやすい点も評価されている。
<改善点>
(凍結精液)
・新しい技術である深部注入カテーテルの効果を検証し、凍結精液での利用をはかる。
・他県や大学との情報交換をより進め、効率的な研究開発を目指したい。
(種豚の維持)
・今後も優良な形質を維持できるよう、定期的に次世代の子豚の発育の成績や、肉質分析を行う。
工程表との関連
関連する政策内容
市場競争力を高める低コスト生産・経営管理技術の開発
関連する政策目標
豚精液の凍結技術の確立
人工授精の普及
財政課処理欄
要求額の財源内訳(単位:千円)
| 区分 |
事業費 |
財源内訳 |
| 国庫支出金 |
使用料・手数料 |
寄附金 |
分担金・負担金 |
起債 |
財産収入 |
その他 |
一般財源 |
| 前年度予算 |
13,825 |
0 |
0 |
0 |
0 |
0 |
6,678 |
0 |
7,147 |
| 要求額 |
21,915 |
0 |
0 |
0 |
0 |
0 |
10,703 |
0 |
11,212 |
財政課使用欄(単位:千円)
| 区分 |
事業費 |
国庫支出金 |
使用料・手数料 |
寄附金 |
分担金・負担金 |
起債 |
財産収入 |
その他 |
一般財源 |
| 査定額 |
21,915 |
0 |
0 |
0 |
0 |
0 |
10,703 |
0 |
11,212 |
| 保留 |
0 |
0 |
0 |
0 |
0 |
0 |
0 |
0 |
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| 別途 |
0 |
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