現在の位置: 予算編成過程の公開 の 平成22年度予算 の 農林水産部の地球温暖化に対応した白ネギ安定生産技術の確立
平成22年度予算
当初予算 一般事業  課長要求      支出科目  款:農林水産業費 項:農業費 目:園芸試験場費
事業名:

地球温暖化に対応した白ネギ安定生産技術の確立

将来ビジョン関連事業(ひらく/食のみやこ鳥取県)

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農林水産部 農林総合研究所園芸試験場 弓浜砂丘地分場  

電話番号:0859-45-4616  E-mail:engeishiken@pref.tottori.jp

トータルコスト

  事業費(A) 人件費(B) トータルコスト
(A+B)
正職員 非常勤職員 臨時的任用職員
22年度当初予算額(最終) 1,142千円 17,750千円 18,892千円 2.2人 1.8人 0.0人
22年度当初予算要求額 1,142千円 17,750千円 18,892千円 2.2人 1.8人 0.0人
21年度当初予算額 1,142千円 16,570千円 17,712千円 2.0人 1.8人 0.0人

事業費

要求額:1,142千円  (前年度予算額 1,142千円)  財源:単県 

課長査定:計上   計上額:1,142千円

事業内容

概略説明


     鳥取県の白ねぎの栽培面積は418ha、産出額は43億円(平19年度)であり、鳥取県野菜の総販売額の30%と最も多く、出荷量は全国6位で、西日本一の産地となっている。
     近年は、地球温暖化に伴う夏期の高温・過乾燥、集中的豪雨、暖冬等の影響により白ネギの収量の低下、病虫害の増大が大きな問題となっており、安定生産技術の確立が強く求められている。
     一方、白ネギの販売価格は年間を通じて1,000円/ケース(3kg)前後と低位安定化しており、今後も高値は望めない状況である。併せて、肥料等農業資材の価格高騰による生産コストの増大から白ネギ経営は厳しい状況であり、白ネギ経営の安定化、白ネギ産地の維持・発展を図る上で、一層の安定多収化、低コスト化は重要な課題である。

1 試験の必要性


(1)

夏越し栽培
 9月以降に収穫(晩夏どり、秋冬どり)する夏越し栽培において、夏期の高温・過乾燥の影響により、圃場場内で白ネギが腐れ、収量が著しく減少している。安定生産に向けた夏越し栽培技術の確立が強く求められている。

(2)

周年出荷体系
 暖冬傾向の中、3月どり春ネギの過肥大が販売上の問題となっており、播種時期の変更(4・5月→6月)が必要となっているが、夏期高温期の育苗となるため、管理技術の確立が求められている。
 また、初夏どり(5月末〜7月)栽培では、冬期間のトンネル被覆栽培が行われるが、暖冬により生育が促進され、葱坊主の増加による収量低下が懸念されている。葱坊主抑制技術の確立が求められているとともに、トンネル被覆を用いない低コスト・軽作業栽培法の確立が求められている。その他、各作型における高品質・多収品種の選定が強く求められている。

(3)

病害虫防除
 夏期の高温乾燥の影響により、白ネギの葉の表面を食害する害虫(ネギアザミウマ)が大発生し(5月〜9月)、品質低下の原因となっている。また、暖冬の影響により10月〜翌年4月にかけて葉鞘部(白い可食部分)が褐変腐敗する病害(小菌核腐敗病)が増加しており、収量低下・品質低下の原因となっている。両病害虫の防除体系の確立が強く求められている

(4)

肥料費の高騰
 世界的な肥料原材料の高騰から肥料費が大幅に上昇しており、有機質肥料等の安価な肥料を用いた低コスト施肥技術の確立が求められている。

2 22年度の試験内容


(1)

夏越し栽培技術の確立
・夏期の最適土壌水分(灌水開始点、灌水量)等の灌水条件の解明
・ブロッコリー等の換金作物との輪作による連作障害の軽減効果の確認
・高温条件下で根の活性が強く、欠株の少ない耐暑性品種の検索
・夏越し栽培技術の総合組み立て

(2)

周年出荷体系の強化
・春どりネギの高温期の育苗技術の確立
・初夏どり(5月末〜7月)ネギの葱坊主抑制技術、低コスト・軽作業化技術の確立
・各作型の高品質、多収品種の選定と現地適応性の確認 

(3)

病害虫防除技術の確立
@ネギアザミウマ
・防除体系の確立
A小菌核腐敗病
・防除時期、防除方法の検討
・防除体系の確立

(4)

低コスト施肥技術の確立
・単肥(石灰窒素、亜リン酸等)の施用効果と施肥量の検討
・施肥体系の確立

3 試験の効果

 品質・収量が確保されるとともに生産コストが低減し、白ネギ経営が安定する。

(1)

夏越し栽培技術の確立
 高温乾燥期の栽培管理が適切に管理され、腐敗量が減少し、収量・品質が向上する。

(2)

周年出荷体系の強化
 3月〜7月どりネギの収量が確保されるとともに低コスト化が図られる。

(3)

病害虫防除技術の確立
 病虫害減少し、品質・収量が向上する。

(4)

低コスト施肥技術の確立
 肥料費が削減でき、生産コストが低減する。

4 得られた成果


(1)

夏越し栽培技術の確立
・積極的な灌水により夏期の生育を促進する効果が認められたが、同時に土壌病害の発生も認められた。
・連作障害対策として、4月・5月の温暖期に土壌表面ビニール被覆が不要で、防除効果の高い土壌消毒剤を選定した。

(2)

周年出荷体系の強化
・春どり栽培および初夏どり栽培の新品種導入に向けて、晩抽性(葱坊主の発生が少ない)新品種の特性を明らかにした。
・初夏どりネギにおいて、トンネル被覆資材、灌水、施肥が葱坊主の発生に及ぼす影響を明らかにした。
・春どりネギの高温期の育苗環境の好適条件(トレイの設置方法、遮光率等)を明らかにした。 

(3)

病害虫防除技術の確立
・ネギアザミウマの各種薬剤における処理方法別、生育ス テージ別の防除効果を明らかにした。
・灌水によるネギアザミウマの寄生密度抑制効果を明らかにした。 


5 要求額内訳(千円)

内訳
要求額
旅費
67
資材等消耗品費
1,004
通信運搬費等
71
合計
1,142

6  年次別試験内容と事業費

試験研究期間:平成20年度〜23年度

年度

試験内容

事業費
(千円)

20

(1)夏越し栽培技術の確立
  ・高温期の生育推移と夏期の灌水効果
  ・耐暑性品種の検索
(2)周年出荷体系の確立
  ・春どりネギの夏越し育苗技術の確立
  ・5月どりネギの抽苔抑制技術の確立
  ・作期別適品種の検索
(3)アザミウマ類防除体系の確立
  ・薬剤感受性の検定と天敵利用の検討

1,142

21

(1)夏越し栽培技術の確立
  ・高温期の生育推移と夏期の灌水効果
  ・耐暑性品種の検索
  ・夏越し栽培技術の総合組立
(2)低コスト施肥技術の確立
  ・堆肥の有効利用と施肥量の検討
(3)周年出荷体系の確立
  ・春どりネギの夏越し育苗技術の確立
  ・5月中下旬どり作型抽苔抑制技術確立
  ・作期別適品種の検索
(4)病害虫防除体系の確立
ア)ネギアザミウマの防除体系の確立
  ・薬剤感受性の検定と天敵利用の検討
  ・防除体系の確立
イ)小菌核腐敗病の防除技術の確立
  ・防除時期、散布方法の検討

1,142

22

(1)夏越し栽培技術の確立
  ・夏期の最適灌水条件の解明
  ・ブロッコリーとの輪作の連作障害軽減効果
  ・耐暑性品種の検索
  ・夏越し栽培技術の総合組立
(2)周年出荷体系の確立
  ・春どりネギの高温期育苗技術の確立
  ・初夏どりネギの抽苔抑制技術確立と低コスト、軽作業化
  ・作型別適品種の選定と現地適応性
(3)病害虫防除体系の確立
ア)ネギアザミウマの防除体系の確立
  ・防除体系の確立
イ)小菌核腐敗病の防除技術の確立
  ・防除時期、散布方法の検討
  ・防除体系の確立
(4)低コスト施肥技術の確立
  ・安価資材の施肥量の検討
  ・施肥体系の確立

1,142

23

(1)夏越し栽培技術の確立
  ・夏期の灌水技術の確立
  ・耐暑性品種の検索
  ・夏越し栽培技術の総合組立
(2)周年出荷体系の確立
  ・春どりネギの高温期育苗技術の確立
  ・初夏どりネギの抽苔抑制技術確立と低コスト、軽作業化
  ・作期別適品種の選定と現地適応性
(3)病害虫防除体系の確立
ア)ネギアザミウマの防除体系の確立
  ・防除体系の確立
イ)小菌核腐敗病の防除技術の確立
  ・防除体系の確立
(4)低コスト施肥技術の確立
  ・施肥体系の確立

1,142

合計


4,568

これまでの取組と成果

これまでの取組状況


<目標>
H21工程表政策目標 高品質果実・野菜生産技術の確立
・白ネギの高品質・安定生産技術の確立

<取組内容>
(1)夏越し栽培技術の確立
・夏期の潅水技術の確立
・連作障害対策
・耐暑性品種の検索
(2)周年出荷体系の強化
・春どりネギの過肥大対策
・初夏どりネギの葱坊主対策
・各作型の高品質、多収品種の検索
(3)病害虫防除技術の確立
・ネギアザミウマ防除技術の確立
・小菌核腐敗病防除技術の確立
(4)低コスト施肥技術の確立
・施肥改善

<現時点における達成度>
(1)夏越し栽培技術の確立
・潅水による生育促進効果が認められたが、土壌病害が増加
・適性潅水量が不明瞭
・緑肥との輪作、土壌消毒による連作障害抑制効果を確認
(2)周年出荷体系の強化
・各作型の有望品種を選定、現地適応性を確認中
・トンネル被覆資材、潅水、施肥による葱坊主抑制効果を確認
(3)病害虫防除技術の確立
・ネギアザミウマの各種薬剤、処理方法の防除効果を確認
(小菌核腐敗病は21年度試験開始)
(4)低コスト施肥技術の確立(21年度試験開始)



 

これまでの取組に対する評価


<外部評価>
平成19年度鳥取県農業技術協議会野菜部会白ネギ研究会の外部評価(新規)の結果(7月17日、19日)
○評点 4.5(評点4以上、計画のとおり課題化)
○評価委員の主な意見
・「ネギに替わる品目を」という話が出るくらい夏に作りにくい状況である。
・中山間地域の水田転作における連作障害対策の研究もお願いしたい。

<自己分析>
・生産現場から寄せられる期待は大きい。
・技術の体系化前であっても利用可能な個々の成果は、あらゆる機会を通じて生産現場に繋げ、技術の普及を図る。
・生産現場への普及を意識した技術開発が必要。

<改善点>
・得られた個別成果を体系的に組み立てながら新たな問題点を抽出し、試験を行う。

工程表との関連

関連する政策内容

安全・安心、高品質な農産物の生産技術の確立

関連する政策目標

高品質果実・野菜生産技術の確立

財政課処理欄

要求額の財源内訳(単位:千円)

区分 事業費 財源内訳
国庫支出金 使用料・手数料 寄附金 分担金・負担金 起債 財産収入 その他 一般財源
前年度予算 1,142 0 0 0 0 0 0 0 1,142
要求額 1,142 0 0 0 0 0 0 0 1,142

財政課使用欄(単位:千円)

区分 事業費 国庫支出金 使用料・手数料 寄附金 分担金・負担金 起債 財産収入 その他 一般財源
査定額 1,142 0 0 0 0 0 0 0 1,142
保留 0 0 0 0 0 0 0 0 0
別途 0 0 0 0 0 0 0 0 0