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平成22年度予算
当初予算 一般事業  課長要求      支出科目  款:農林水産業費 項:農業費 目:園芸試験場費
事業名:

スイカ、ホウレンソウ輪作体系におけるカラシナ、ブロッコリー等収穫残渣の鋤き込みによる土壌病害防除効果の検証

将来ビジョン関連事業(ひらく/食のみやこ鳥取県)

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農林水産部 農林総合研究所園芸試験場 環境研究室  

電話番号:0858-37-4211  E-mail:engeishiken@pref.tottori.jp

トータルコスト

  事業費(A) 人件費(B) トータルコスト
(A+B)
正職員 非常勤職員 臨時的任用職員
22年度当初予算額(最終) 676千円 2,420千円 3,096千円 0.3人 0.2人 0.0人
22年度当初予算要求額 676千円 2,420千円 3,096千円 0.3人 0.2人 0.0人
21年度当初予算額 0千円 0千円 0千円 0.0人 0.0人 0.0人

事業費

要求額:676千円  (前年度予算額 0千円)  財源:受託 

課長査定:計上   計上額:676千円

事業内容

概略説明

 野菜類では同じ野菜の連作によって土壌病害虫が発生し、収量低下が問題となっていることから、こうした土壌病害虫の防除対策は、農業生産上極めて重要な問題である。薬剤を用いない防除対策として、太陽熱消毒1)土壌還元消毒2)が実用化され、既に普及しているが、太陽熱消毒は盛夏期の利用に限られること、還元土壌消毒は処理条件によっては防除効果が不安定であることなど問題があり、新たな方策が望まれている。

     そこで、近畿中国四国農業研究センターで開発された、抗菌作用のある植物を土壌に混和・密封し還元状態とする方法(バイオフューミゲーション3)土壌還元消毒の組み合わせ効果)による、効果持続性の高い土壌消毒法を実用化することを目指す。
     鳥取県においては、地域資源を有効活用したカラシナ、ブロッコリー等アブラナ科作物の収穫残渣の鋤き込み湛水被覆処理による土壌消毒効果を検証し、黒ボク土壌でのハウス栽培スイカ、ホウレンソウ輪作体系での実用性を評価する。

    1)太陽熱消毒
     夏季に土壌表面を透明なフィルムで被覆し、太陽熱で土壌の温度を上げることにより、土壌病原菌を死滅させる方法で、7月〜8月の盛夏以外は利用できない。
    2)土壌還元消毒
     土壌にフスマ4)等の分解しやすい有機物を混和し、十分に散水して透明なフィルムで被覆することで、これらを栄養分とする土壌微生物が急激に増殖する。これによって土壌中の酸素が消費され、還元化(酸素不足の状態)して土壌病害菌を死滅させる方法で、6月〜10月まで利用できる。
    3)バイオフューミゲーション
     植物を土壌に鋤き込む(混ぜ合わせる)ことによって、殺菌作用のあるガスを放出させ、それにより土壌を消毒する方法。
    4)フスマ
     小麦粒の表皮部分。小麦粒からフスマと胚芽が取り除かれた(精製された)ものが小麦粉である。フスマには栄養成分が豊富に含まれており、家畜の飼料等に利用されている。

1 事業の必要性

(1)土壌病害に起因したスイカ急性萎凋症ホウレンソウ萎凋病など野菜類の連作による土壌病害虫の発生により顕著な収量低下が問題となっている場合がある。
(2)土壌くん蒸剤による土壌消毒は、作業者に対する負担が大きく、コストが割高である。
(3)太陽熱を利用した太陽熱消毒と還元土壌消毒が実用化されているが、太陽熱消毒は盛夏期の利用に限られる点、還元土壌消毒は海外由来有機物であるフスマを使用し、処理条件によっては防除効果が不安定であることなど問題がある。

2 事業の内容

(1)遠沈管を用いた室内試験による最適処理条件(アブラナ科植物の種類、処理量、処理温度、処理期間)の解明
(2)スイカ及びホウレンソウで問題となる土壌病害に対する防除効果及び収量への影響を検討
(3)自走式刈り取り装置の利用等による省力化の検討
(4)スイカ、ホウレンソウ輪作体系における現地実証試験

3 事業の効果

(1)地域資源を有効活用したカラシナ、ブロッコリー等アブラナ科作物の収穫残渣の鋤込み湛水被覆処理によって、ハウス栽培スイカ−ホウレンソウ輪作体系で問題となる土壌病害に対する防除効果の安定した土壌くん蒸技術が確立される。
(2)慣行の土壌還元消毒にかかる経費の70%以上を削減することが可能となる。
(現行の土壌還元消毒:約5万円/10a 1.5万円/10a

4 これまでの成果

(1)カラシナ及びブロッコリー残渣の鋤込み(処理量5kg/u)湛水被覆処理を行い、土壌の酸化還元電位の変化を測定した結果、いずれの処理区においても-200mV程度まで土壌の還元化が進み、処理3週間後まで還元状態を保った。
(2)カラシナ及びブロッコリー残渣の鋤込み(処理量5kg/u)湛水被覆処理区では、ホウレンソウ萎凋病の発病がほとんど認められず、無処理区の発病に対して高い防除効果が認められた。

5 H22の試験内容

(1)遠沈管を用いた室内試験による最適処理条件(アブラナ科植物の種類、処理量、処理温度、処理期間)を検討する。
(2)スイカ、ホウレンソウ輪作体系において問題となる土壌病害の汚染ほ場を作成し、カラシナ、ブロッコリー等アブラナ科作物の収穫残渣の鋤込み湛水被覆処理による防除効果及び収量への影響を評価する。

6 平成22年度要求額内訳(単位:千円)

内 容
要求額
備品購入費(手押し式真空播種機
185
旅費
96
栽培資材・試験資材購入費等
395
合 計
676

7 受託元


独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構  
近畿中国四国農業研究センター

8 試験実施期間 平成21年〜平成25年(5年間)


これまでの取組と成果

これまでの取組状況

<目標>
H21工程表政策目標
 化学農薬に代わる環境にやさしい病害虫防除技術の開発
・スイカ、ホウレンソウ輪作体系において、カラシナ、ブロッコリー等収穫残渣の鋤き込みを利用した新しい土壌消毒法を確立する。

<取り組みの内容>
・遠沈管を用いた室内試験により、アブラナ科植物の種類、処理量、処理温度、処理期間等について検討した。
・スイカにおいて、カラシナ及びブロッコリー残渣の鋤込みを利用した生物的土壌くん蒸の防除効果を検討した。
・ホウレンソウにおいて、カラシナ及びブロッコリー残渣の鋤込みを利用した生物的土壌くん蒸の防除効果を検討した。

<現時点における達成度>
・室内試験及びほ場試験の結果から、地温と処理期間についての目安が分かった(達成度20%)。
・スイカの急性萎凋症に対して、カラシナ及びブロッコリー残渣の鋤込みを利用した生物的土壌くん蒸は防除効果が認められた(達成度30%)。
・ホウレンソウ萎凋病に対して、カラシナ及びブロッコリー残渣の鋤込みを利用した生物的土壌くん蒸は、病原菌に対する殺菌効果が認められた(達成度10%)。

これまでの取組に対する評価

<外部評価>
 農林水産省の平成21年度から実施する委託プロジェクト事業「地域内資源を循環利用する省資源型農業確立のための研究開発」に採択された事業で、鳥取県も21年度より参画している。

<自己分析>
・最適処理条件として、地温及び処理期間について目安がついたが、確定にはさらに試験の積み重ねが必要であり、アブラナ科植物の種類ごとの最適処理量についても検討が必要である。
・スイカの急性萎凋症に対して、カラシナ及びブロッコリー残渣の鋤込みを利用した生物的土壌くん蒸は防除効果が認められたが、最適な処理条件について検討が必要である。
・ホウレンソウ萎凋病に対して、カラシナ及びブロッコリー残渣の鋤込みを利用した生物的土壌くん蒸は、病原菌に対する殺菌効果が認められたが、防除効果は不明であり、さらに検討が必要である。

<改善点>
・最適処理条件を明らかにするための室内試験では、使用器材等の改善が必要である。
・ほ場試験では、被覆資材等について再検討が必要である。

工程表との関連

関連する政策内容

安全・安心、高品質な農産物の生産技術の確立

関連する政策目標

化学農薬に代わる環境にやさしい病害虫防除技術の開発

財政課処理欄

要求額の財源内訳(単位:千円)

区分 事業費 財源内訳
国庫支出金 使用料・手数料 寄附金 分担金・負担金 起債 財産収入 その他 一般財源
前年度予算 0 0 0 0 0 0 0 0 0
要求額 676 0 0 0 0 0 0 676 0

財政課使用欄(単位:千円)

区分 事業費 国庫支出金 使用料・手数料 寄附金 分担金・負担金 起債 財産収入 その他 一般財源
査定額 676 0 0 0 0 0 0 676 0
保留 0 0 0 0 0 0 0 0 0
別途 0 0 0 0 0 0 0 0 0