1 目的
宮崎県において口蹄疫が急速に拡大していることから、県内への侵入防止対策を徹底するとともに、風評被害等の影響をおこさないよう、子牛市場対策、農家経営対策、消費対策、食肉流通対策等を講じる。
2 事業内容
○緊急防疫対策費
県内農場への侵入を防ぐため、農場作業者等の靴底消毒や農場進入路等の消毒を実施する。消毒薬は県が購入し、偶蹄類飼養農場全戸(698戸)に配布する。
○防疫体制整備費
県内に発生した場合を想定し、対策会議等において関係機関による情報共有、防疫体制の整備等を協議するとともに、学識経験者から指導・助言を受け、有効な防疫措置が取れるようにする。
○市場活性化対策費
風評被害等による和子牛の市場価格下落を起こさないよう、購買者に対し、基準価格を超えて購入した場合、一律2万円/頭を助成する。(6月、7月、9月セリ)
○経営安定対策費
口蹄疫の発生に伴い、和子牛価格・枝肉価格下落の影響を受けた農家が経営維持のため農林漁業セーフティネット資金を借り入れた場合の利子補給を行う。(県1/3、融資枠14.6億円)
○消費対策費(既存事業対応)
風評被害等の影響による牛肉・豚肉の消費低迷対策として、消費拡大イベント・キャンペーン等に対する支援を行う。
・県産牛肉販売強化支援事業
・地元食材利用促進キャンペーン事業
○畜産物流通安定対策費(既存融資制度の拡充)
口蹄疫の発生に伴い、食肉事業者等の売上げ・営業利益の減少対策として、既存制度の融資枠に「口蹄疫対応枠」を創設して支援する。(融資枠:数億円)
3 要求額
細事業名 | 要求額(千円) | 科目 | 内容 |
緊急防疫対策費 | 15,000 | その他需用費 | 消毒薬の購入 |
防疫体制整備費 | 500 | 特別旅費
報償費
使用料及び
賃借料 | 対策会議等の開催 |
市場活性化対策費 | 5,000 | 補助金 | 肥育素牛購買者への助成 |
経営安定対策費 | 2,000 | 補助金 | 制度資金借り入れ農家への利子補給 |
消費対策費 | - | | (既存事業対応) |
畜産物流通安定対策費 | - | | 制度資金の拡充 |
計 | 22,500 | | |
4 宮崎県での発生状況
5月20日現在、宮崎県児湯郡都農町、川南町、高鍋町、新富町及びえびの市の5市町において発生し、146戸、飼養頭数(処分対象頭数)125,276頭(牛13,239頭、豚112,032頭、山羊5頭)。
5 県内の防疫体制
(1)現在の防疫体制(宮崎等で限局の場合)
○4月20日宮崎県で疑似患畜確認
○4月20日以降県内農場の緊急調査:異常なし
○4月30日鳥取県家畜伝染病防疫対策本部を設置
本部長 | 県農林水産部長 |
本部員 | 畜産課、農政課、各総合事務所農林局 等 |
○5月11日県が告示し、県内農場の緊急消毒
○緊急消毒期間を9月まで延長し、防疫体制を強化するため、6月補正予算要求
(2)近県で発生した場合
○鳥取県口蹄疫防疫対策本部に移行
・県内への侵入防止の強化
・県内での発生を想定した防疫体制の強化
○対策本部の組織案
総務班 | 防疫方針作成、予算、関係機関と連絡調整 |
情報班 | 発生情報等の授受・発信、広報 |
防疫指導班 | 現地の防疫措置の企画、指導、疫学調査 |
病性鑑定班 | 検査材料の採取、送付、病性鑑定 |
防疫支援班 | 焼埋却、防疫資材の調達、動員調整 |
流通調査班 | 家畜・畜産物の流通状況等調査 |
庶務班 | 経費の確保、支出事務 |
(3)本県で発生した場合
○鳥取県口蹄疫防疫対策本部((2)と同じ)を設置
○現地対策本部の設置(本部長:現地家畜保健衛生所長)
○防疫措置の流れ
6 本県で発生した場合の対策
口蹄疫発生時は防疫対応のほか、口蹄疫関連対策について国と連携し、農家等の支援を行う。
○主な国の追加対策
・殺処分家畜等に対する手当金、死体の焼埋却費の助成
・肉牛・肉豚価格差補てん等の生産者拠出金の免除
・処分後の新たな家畜導入経費の助成
・家畜市場再開に際し、購買者に対する輸送費助成 等
7 背景
・宮崎県内での発生が急激に拡大中であるため、6月15日から1ヶ月間の緊急消毒も継続実施予定。
・農家の自主的な消毒も実施中であるが、経済的負担が大きくなるとともに、消毒薬が九州地方に優先的に流通しているため、消毒薬の確保も困難となってきている。
・今後9月までの緊急防疫措置を行えるよう、必要な消毒薬の購入や県内で発生した場合に速やかに対応できるよう緊急体制の整備が必要。
・また、口蹄疫発生に伴い、子牛市場、農家経営、食肉流通、消費への経済的影響も懸念される。
これまでの取組と成果
これまでの取組状況
●県内農場の緊急調査
・宮崎県との関連農場12戸・・・異常なし
・県内偶蹄類飼養全農場(698戸)・・・異常なし
●防疫体制の整備
・家畜伝染病防疫対策本部の設置・・・4月30日に鳥取県家畜伝染病対策協議会を開催し、県内の防疫対応について確認するとともに、鳥取県家畜伝染病防疫対策本部を設置。
・庁内連絡会議の開催・・・5月20日に庁内関係機関を参集し、役割分担等を確認するとともに共通認識を図った。
●県内農場の緊急消毒
・県が告示し(5月11日)、知事命令により偶蹄類飼養農場の緊急消毒。
・県が消毒薬(炭酸ソーダ)を購入し、対象698戸に無償配布。(5月13日から配布開始)
・各農場においても自主的に消毒を実施するとともに、各農協からも消石灰等の配布による緊急消毒を実施。
これまでの取組に対する評価
●追加緊急措置(追加消毒)の必要性
・宮崎県内で急速な感染拡大が進んでいることから、防疫体制をさらに強化する必要性がある。
・農家は自主的消毒を実施しており、経済的負担が増加。
・消毒薬が九州地方に優先的に流通しており、消毒薬の確保が困難となっている。
・今後の緊急防疫措置が行えるよう、消毒薬の確保が必要。
●県内発生に備えた防疫体制の整備
・対策協議会や連絡会議を通じて、県内発生時の関係機関の役割分担等を整理。
・県内発生に対応する県の対応マニュアルが未整備。
・県内で発生した場合に有効な防疫措置が取れるような体制整備が必要。