(1)高校、大学等への進学にかかる制度の設定
平成22年2月議会において、養護施設等入所児童が高校・大学に進学する際、現行の措置費制度では入学支度にかかる必要経費に足りない場合があるとの議論があった。
児童本人が貸付制度資金等から借用する際、施設職員が連帯保証人となり、その後施設職員が保証債務を履行した場合に県が補助することとし、平成22年度中に受験する児童から適用できるよう、補正要求を行なうものである。
<事業概要>
【事業対象者】
児童養護施設・児童自立支援施設・自立援助ホームの職員、里親等で、児童の高校・大学・専門学校進学のため連帯保証人・連帯借受人となった者
【補助率】
補助対象経費の10/10
【補助対象経費】
児童の債務不履行により施設職員等が保証債務を履行した経費
(上限300千円)
【保証期間】
借入に対する返済完了時まで
(鳥取県生活福祉資金の場合は償還開始後最大20年)
【借入先の例】
鳥取県生活福祉資金(県社会福祉協議会取り扱い)
現行制度として、施設職員等が児童の就労や賃貸住宅入居の際の身元保証・連帯保証人となる制度があり、進学時にも適用できるように制度を拡充する。
<現行の事業>
養護施設等に入所している児童の就労・賃貸住宅への入居の際に身元保証・連帯保証人となった施設長等が、保証債務を履行した経費を補助する制度。
・就職時身元保証300千円/件
・賃貸住宅入居時連帯保証200千円/件
(2)事業の対象者の拡充
現行制度では対象となる施設が限定(児童養護施設、児童自立支援施設、自立援助ホーム、里親のみ)されているが、対象となる児童の置かれている状況に着目し、対象施設の限定は行なわないものとする。
【事業の対象となる児童】
児童福祉施設等に措置されている児童のうち、以下の要件を満たす場合
・児童に父母がいない、又は父若しくは母がいるものの心身の 障がい、逮捕拘留、その他の理由により保証人になれない場合
・虐待関係により、親が保証人とならない場合
・児童の親族等に適当な保証人がいない場合
親が死亡等の場合にこの制度が必要なのは理解できるが、親が生存しており資力もある場合に親が費用を負担しない現行制度はいかがなものか。県の条例や規則などで県から親に求償するなど、親の負担を求めるシステムとすべき。
⇒通常であれば親が保証人となるべきところ、親が保証人とならないことから、それに対応するため現行の保証人支援制度を創設したところであり、親に対し条例・規則により求償権を行使しても、保証人になる意思も支払う意思もなく、実効性がないと考えられる。(今後の検討課題)
⇒福祉的観点からは、親に求償権を設定することは、円滑な親子再統合を妨げる恐れが高い。