背景
国土交通省による直轄港湾整備事業の『選択と集中』の中で、重要港湾の中から43港が選定され、港湾の利用実態に注目が集まっている。こういう状況の中で、港湾計画に定められている目標取扱貨物量と実績の乖離が大きい港もあり、目標年次が超えた港湾について港湾計画の見直しを国土交通省から求められている。
一方、H24年度の鳥取自動車道の全線開通、沿線の河原工業団地の開発計画など、陸上交通等のインフラ整備によりさらなる企業立地、港湾利用が期待される。観光面においてもH22にクルーズ船が6隻寄港するなど、観光拠点としてのニーズが高まっているところである。
このような状況の中、鳥取港の港湾計画の目標年次(H10年代後半)が過ぎたこと、社会情勢も計画当時と比べて変化していることから、利用・活用策や将来像等についての検討に着手し、港湾計画の見直しを行う必要がある。
【鳥取港】
重要港湾指定 :S50.4
目標年次・計画取扱貨物量:H10年代後半・160万トン
比較年次・実績取扱貨物量:H19年・41万トン
補正要求理由
現在、鳥取港の利用は低迷しているものの、ピーク時(H12頃)の170万トンを超える取扱貨物需要に応える施設が整備されており、また、これまで巨費を投じてきた現有施設を有効活用することについて、検討を早急に着手する必要がある。
このため、課題や新たなポテンシャル等の分析を行うとともに、幅広く意見を聴く意見交換の場を設け、鳥取港の新たな利活用計画の検討を進め、港湾計画の見直しに活かしていく。
財政課長査定結果
(査定結果)ゼロ査定
(査定内容)外部委託による検討を始める前に、まずは港湾管理者として、今年度の取扱実績を含め、鳥取港の取扱量の実績が低迷している原因を分析してください。そうした分析や考え方の整理もなく外部コンサルに委託するのは無駄な経費と考えます。
部長復活要求理由
鳥取港における取扱貨物量が低迷している主な原因は、
〔輸入〕中国砂の輸入を802千トン計画していたが、最大で92千トン(1割強ほど)であった。(国内移入に転換した。)H19からは中国側の輸出禁止により途絶えてしまっている。
〔輸出〕H8から始まった中国砂輸入船の帰り荷として輸送機械(中古車、中古バイク、中古自転車)及び間伐材の輸出が計画されたが、実現されなかった。
〔移入〕計画においては、砂利・砂、石材は輸入でまかなう予定であり、移入は想定されていなかった(計画値無し)が、輸入量が足りない分、移入により補完していたものと思われる。
〔移出〕計画では4万トンであった砂利・砂、石材などの建設資材は、H12をピークに移入により鳥取港にストックしたものを福井など他県の公共工事に移出(84万トン)していたが、取扱企業の撤退ということもあり、しだいに県内供給中心となり、現在は砂・砂利の移出がストップしている。
などが考えられる。このため、現行の港湾計画策定時において想定できなかった経済情勢・企業の状況の変化に対応するため、速やかに港湾計画の見直しを行う必要があるが、まず今年度は、直営により分析した取扱貨物量低迷の原因や新たな調査委託(市場調査、企業ヒアリング等)による情報をもって、物流の専門家、学識経験者、県政アドバイザー等から幅広く意見を聞く場を設け、新たな可能性の模索を行いながら、鳥取港の新たな利用・活用策の具体案や将来像等の具体案の収集を行いたい。
要求額
○鳥取港の新たな利活用に関する意見交換に係る経費
〔対象者:有識者(大学等)、鳥取港利用会社等〕
・報償費C=276千円(9,200×10人×3回)
・特別旅費C=37千円(12,180×3回)
○市場調査・企業ヒアリング等情報収集に係る経費
・委託料C=6,170千円