在宅復帰支援モデル事業

　介護老人保健施設が本来の役割を果たし、施設退所後も利用者が安心して地域での在宅生活が行えるよう、県内２施設をモデル事業実施者として選定し、支援を行う。

・在宅復帰に向けた先進的な取組みを行っている県外施設に、施設職員を派遣し、実践を学ばせ、所属施設において実践し、在宅復帰の向上に向けた取組を行う。
（＠１００千円×３職種×年６回×２施設）
※派遣職員は、施設内でも指導者的役割も果たしている相談員、介護職員、介護支援専門員の３職種を想定
（例：県外の先進的な取組施設）
・介護老人保健施設　清雅苑（熊本市）
・介護老人保健施設　和泉の澤（福岡県飯塚市）
・介護老人保健施設　愛生苑（広島県庄原市）　等

・施設内の多職種連携による取組や自施設内での職員研修による資質向上の取組、その他在宅復帰率が向上するための方策の検討、実践の取組を行う。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　【追加・復活１２，６６０千円】

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　【復活５，７００千円】
　施設退所が可能な状態になり、本人が在宅復帰を望んでも、家族側に受入への不安等があり、受入に対して拒否や難色を示す例が多いことから、退所後も本人や家族に対し、在宅生活への不安感等の解消に向けたフォローを専門に行う支援相談員等を１名配置するための経費を補助する。（＠２，８５０千円×２施設）
　※Ｈ１９年度賃金統計　介護支援専門員（男）　から

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　【追加・復活６，９６０千円】　
　入所中で在宅復帰が見込まれる利用者に対して、退所後の在宅生活のイメージ、介護生活の体験をしていただくことで、本人及び家族の方の不安感をとりのぞくことを目的に、試行的退所を行う。この際、施設入所中から通所リハビリテーションに通う経費や、在宅での生活に必要な福祉用具の貸与等に係る経費の助成を行う。
・退所前体験　　　　　　　　　　　　　　　　　　 【追加３，９６０千円】
　　（＠３３千円×６０人／年×２施設）　　　　　　　　　　　　　　　
　　 ※要介護３の者が３〜４時間サービスを６回利用
・試行的退所　　　　　　　　　　　　　　　　　　 【復活３，０００千円】
　　（＠２５千円×６０人／年×２施設）　　　
　　 ※車椅子、ベッドのレンタル代、 ポータブルトイレ代等

　・在宅復帰に対して報酬加算が制度的に設けられており、在宅復帰が進むことで、報酬加算を得ることで施設収支の改善も図られる。
《報酬加算》
〈入所時〉
　１）初期加算 　３０単位／日（入所日から３０日まで）
　２）短期集中リハビリテーション加算
　　　　　　　　　　２４０単位／日（週４回、３ヶ月間まで）
〈退所時〉
　３）退所前後訪問指導加算　４６０単位
　４）退所時指導加算　　　　　 ４００単位
　５）退所時情報提供加算　　 ５００単位
　６）退所前連携加算　　　　　 ５００単位

　※報酬加算の試算例は、資料１１で添付

・在宅復帰率が高い施設であれば、第三者的な評価の高まりにもなる。

・入退所による人の流れが、施設職員のモチベーションの高まり、入所者同士の交流の広がりに繋がり、より元気な施設になる。

《２年目以降の取組について》
• モデル事業の成果を事例発表により、県全体として共有化
• モデル事業を終えた施設へ、県内他施設の職員が赴き、実践によりノウハウを学んでいく　等

（査定理由）
・追加要求は、在宅にお帰りになる退所者の円滑な地域移行への支援策にはなりえますが、在宅復帰の促進策とはなりえません。
・復活の要求だけでは、介護老健からの在宅復帰が進まない原因の解決にはならず、望まれる効果が得られるとは思えません。

• 長寿高齢化に伴い要介護認定者が増加し、施設入所希望者が増加しているのではないか？

• 老人保健施設が目指す理念が、職員の意識へ行き届いていないのではないか。またその意識が低下しているのではないか？
• 利用者の自立支援や自立向上が図られる観点でのサービス
• 提供が行われていないのではないか？（サービス提供の効率化のため、施設が利用者に過剰に手をかけている等）
• 家族に対して在宅復帰に向けたアプローチが不足しているのではないか？

• 入所が長期化することにより、利用者の自宅での居場所が失われていたり、家族も利用者がいない生活スタイルになっているのではないか？
• 家庭での介護経験が無い、介護経験不足による不安感や、介護に生活が縛られるのではないかという負担感があるのではないか？
• 利用者の状態が悪化し、再度施設への入所を希望しても、再入所は困難ではないかという危惧感があるのではないか？
• そもそも、家族側に老人保健施設は一時的な施設という認識がないのではないか？

• 在宅生活を支える拠点である介護老人保健施設が本来の役割である在宅復帰への支援、リハビリを要する方への援助、在宅生活となった時の支援に向けた積極的な取組みを行うことは、介護保険の理念に資するもの。（介護保険法１、２条）