1 補正理由
平成23年度の国当初予算において、新規事業として「肝炎患者支援手帳の作成・配布」及び「より適切な肝炎治療につなげるための人材育成」が示されたところである。
これを受け、本県としても肝炎対策の一層の強化を図るため、肝炎患者に対し市町村等を通じて、肝炎の病態、治療方法、公的支援制度などの情報を取りまとめた手帳を配布するとともに、肝炎ウイルス検査後のフォローアップや受診勧奨など、肝炎患者をより適切な治療へと「つなげる」ための肝炎に関する知識の普及啓発(研修会)を行う。
2 事業内容
1 肝炎患者支援手帳の作成・配布(肝炎についての正しい知識の普及啓発)
肝炎患者(肝炎ウイルス検査において陽性となった者)等に対して、肝炎の病態・治療方法・肝炎医療に関する制度等を記載した「肝炎患者支援手帳」を配布し、正しい知識の普及啓発を行うとともに、今後の適切な治療を促す。
(事業概要)
1)対象者
肝炎患者(肝炎ウイルス検査で陽性となった者)
2)リーフレット掲載内容案
・B型及びC型肝炎について
・肝炎ウイルス検査の実施主体及び検査項目について
・治療方法について
・日常生活における注意事項及び予防について
・鳥取県の肝疾患診療体制について
・医療費の助成制度について、他
3)配布・設置機関
市町村、肝臓がん検診精密検査医療機関、保健所等
4)負担割合
国1/2、県1/2
2 肝炎対策従事者研修会の実施
市町村の保健師、職域の健康管理担当者等を対象に、肝炎に関する病態、治療方法、各種制度等に関する研修会を開催する。
当該研修を通じて、参加者のスキルアップを図るとともに、それぞれが受け持つ住民や勤労者に対して、肝炎ウイルス後のフォローアップや受診勧奨などの働きかけの推進、また、より細やかな相談を受けられる体制づくりの整備を図る。
(事業概要)
1)対象者
医師等を除く、肝炎ウイルス検診従事者(市町村、民間企
業の保健師等)
2)研修内容案
・内科学(B型肝炎、C型肝炎について)
・外科学(肝がんの外科的治療など)
・臨床心理学(肝炎患者の心理的ケアなど)
・公的支援制度(医療費助成制度を始めとした各種制度)
3)負担割合
国1/2、県1/2
3 必要経費
1 肝炎患者支援手帳の作成・配布
(1,205千円)
○肝炎患者支援手帳の作成に係る経費
・需用費 印刷製本費
33,100部×33円×1.05=1,146,915円
・役務費 結果通知(送付)等
183機関×315円=57,645円
2 肝炎対策従事者研修会
(446千円)
○肝炎対策従事者研修会に係る経費
・講師旅費6,040円×2人×8回=96,640円
・講師報償費24,000円×8回=192,000円
・その他、開催経費157,000円
これまでの取組と成果
これまでの取組状況
(1)無料肝炎ウイルス検査
○県内3保健所で肝炎ウイルス検査を実施
(鳥取保健所、倉吉保健所、米子保健所)
○県内123の医療機関と委託契約を締結し、肝炎ウイルス検査を実施
(2)肝臓がん検診等精度管理
ア 鳥取県肝炎対策協議会
適切な肝炎ウイルス検査や精密検査等の実施を確保するため、肝炎専門医等による協議会を開催し、検査実績等の評価・検討を行った。
また、鳥取県肝疾患診療連携拠点病院及び鳥取県肝疾患専門医療機関の選定なども行った。
平成20年度開催日:H20/8/28、 H21/2/14
平成21年度開催日:H21/9/5、H22/2/13
平成22年度開催日:H22/8/12
イ 肝臓がん検診従事者講習会
肝臓がん検診の精度確保を図るため、肝臓がん検診に従事している医師、保健師等の資質向上を目的に講習会を開催
平成20年度開催日: H21/2/14
平成21年度開催日: H22/2/13
平成22年度開催日: H22/3/5予定
ウ 症例検討会
具体的症例に係る知見の集積・共有化により診断技術の向上を図るため、症例検討会を開催
平成20年度開催日: H21/2/14
平成21年度開催日: H22/2/13
平成22年度開催日: H22/3/5予定
エ 追跡調査
検診の精度向上を図るため、継続してがん診断例の症状等の追跡調査・分析をおこなっている。
これまでの取組に対する評価
(1)無料肝炎ウイルス検査
肝炎ウイルス検査については、市町村が健康増進事業として実施されるものもあるが、実施日や実施場所等の都合により、受診が困難な方もおられる。
肝炎ウイルス検査の受けやすい体制を継続するため、保健所及び医療機関における肝炎ウイルス検査の実施は重要であると考える。
ただし、検診受診希望者数についは、各種報道等の取り上げ次第で、大きく変動する傾向にあることから、受診者数の推計が難しい側面がある。
肝炎ウイルス検査の無料検診については、平成20年度限りの時限措置であったが、現在もなお肝炎ウイルスの感染に対し不安を感じる者が多く、肝炎ウイルス検査の受診しやすい体制の確保するため、平成23年度も継続して実施する。
(2)肝臓がん検診等精度管理
医師会(専門医)、鳥大等に協力頂き実施しているものであり、本県の肝炎ウイルス検査及び肝疾患医療水準の発展に重要な役割をもつ事業である。
今後も継続して実施していく必要がある。