1 事業の内容
今年度作成するサルボウの放流適地マップの精度を確認するため、現場での放流実験と追跡調査によりマップの精度確認と改良を行う。
2 事業の必要性
(1)現状と課題
●中海で漁獲されなくなったサルボウが近年になり発見されたことから、再生への機運が高まり、中海自然再生協議会で「サルボウの復活」が推進の柱として位置付けられた。
●こうした背景の下、当所ではH21より島根県・島根大学等と共同研究を開始、昨年度までに本種の悪環境耐性を解明し、現在はこれらの成果に基づいた放流適地マップを作成中である。
●ただし、現時点ではマップの精度が未確認であるため、実用化の前に現場での確認試験を実施する必要がある。
(2)必要性・緊急性
●サルボウの再生は鳥取・島根両県民の大きな希望である。これに応えるためには、放流適地マップを完成させた上で放流効果を最大化することが不可欠である。
3 事業の効果
●行政と関連団体に成果を公開することで、中海のサルボウ再生に関する施策・活動に資する。
●サルボウの分布域の拡大により中海の水質浄化が進む。ただし、この点の検証は分布拡大が確認された後に改めて行う必要がある。
4 平成23年度要求額の内訳
内訳 | 要求額
(単位:千円) |
備品購入費 | 285 |
旅費 | 345 |
需用費 | 534 |
役務費 | 0 |
使用料及び賃借料 | 18 |
合計 | 1,182 |
5 事業期間
区分 | 事業内容 | 事業費
(千円) |
平成21年度 | ●サルボウの無(貧)酸素耐性の解明(室内実験)
●サルボウ再生の指針作成(放流適地選定検討) | 1,190 |
平成22年度 | ●サルボウの低塩分耐性の解明 (室内実験)
●サルボウ再生の指針作成(放流適地マップの作成) | 1,284 |
平成23年度 | ●サルボウの現場放流実験
●放流後の追跡調査
●放流適地マップの精度確認と改良 | 1,182 |
6 共同研究機関
本事業は外部資金(H21〜23)を活用した共同研究として実施しており、次年度が最終年度となる。共同研究機関は以下の通り。
● 島根大学汽水域研究センター
● 島根大学生物資源科学部
● 瀬戸内海区水産研究所
● 島根県水産技術センター
● 鳥取県栽培漁業センター
7 用語説明
●サルボウ: かつての中海を象徴した二枚貝。地方名はアカガイ。湖水を濾過して成長した後、食用に漁獲される。
●中海自然再生協議会: 様々な主体(住民・専門家・行政等)が連携して立ち上げた中海再生を目標とする協議会。
これまでの取組と成果
これまでの取組状況
【H19〜20】
●単県事業として実施
●本種の水質浄化能力が最大となる塩分・酸素条件を解明
【H21〜22】
●外部資金を活用した共同研究として実施
●本種の生息が可能な塩分・酸素条件を解明(H21〜22)
●放流適地マップを作成中(H22)
これまでの取組に対する評価
当所でこれまでに得られた成果が評価され、H23年度の共同研究への参加が他機関より強く望まれている。この点を考慮し、前事業を継続実施することで外部資金を活用した共同研究を完結させるとともに、中海のサルボウ再生の出発点とする。